1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが一時4.1852%まで低下したことで142.68円まで下落後、予想を上回った米国の経済指標を受けて143.80円付近まで反発した。ユーロドルは、予想を上回った米経済指標や米長期金利の上昇を受けて、欧州市場序盤の高値1.1829ドルから1.1761ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ米大統領が対日関税率を30-35%と示唆したことで、上値が重い展開が予想される。
トランプ米大統領が7月4日の独立記念日までの署名を目論んでいた税制・歳出削減法案「大きくて美しい法案」は、上院(共和党:53議席・民主党47議席)で共和党議員3名の造反があったものの、バンス副大統領の決定票により51対50で可決し、本日は下院で採決される。
また、トランプ米大統領は7月9日が猶予期限となっている相互関税に関しては、延長することなく、合意できていない国には関税率を送ることになると述べている。そして、日米の自動車貿易や米国産コメ輸入に不満を表明しつつ、日本との合意は困難であり、対日関税は30-35%、あるいは我々が決める関税率を支払うことになると述べた。
昨日発表された6月調査の日銀短観での大企業・製造業の業況判断は+13となり、予想の+10や3月調査の+12から改善。大企業・非製造業の販売価格判断も1983年5月以来の高水準だったことで、円買い材料となった。大企業・製造業による米国向けの輸出の関税率は、鉄鋼・アルミニウムに50%、自動車には25%、その他の対米輸出には10%の相互関税がかかっているにも関わらず、3月調査時点よりも改善していた。
大企業・製造業の業況判断を検証してみると、「良い」が20%(※3月は21%)、「さほど良くない」が73%(※3月は70%)、「悪い」が7%(※3月は9%)となっており、「良い」が1%減って、「悪い」が2%減って、「さほど良くない」が3%増えた結果の13%=「良い20」-「悪い7」となっている。トランプ米大統領が30-35%の関税率を警告している日本に対する相互関税率(4月発表段階は24%=10%+14%)次第で、悪化する可能性もあるため、新たな関税率待ちとなる。
植田日銀総裁は先日「トランプ関税の影響は、ハードデータには表れてはいないが、ソフトデータには表れている」と述べていたものの、日銀金融政策決定会合での判断材料はハードデータ重視であることには留意しておきたい。植田日銀総裁は昨日のシントラでの欧州中央銀行(ECB)の年次フォーラムで、次の金融政策決定に向けて追加のデータを見極める考えを強調して、利上げを急いでいないことを示唆した。
10時30分に発表される5月豪小売売上高や5月豪住宅建設許可件数では、予想を下回った場合は、豪準備銀行(RBA)の追加利下げ観測を高めることになるため注視しておきたい。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
