
本日発表された日銀の想定為替レート(全規模・全産業)では、今年度の下期の想定為替レートは146.95円から145.56円に大幅に引き下げられている(通期でも147.06円から145.72円へ引き下げ)。ドル円が上昇する局面があった場合は、手堅くドル売り予約を行うことが想像できる。
また、一部市場筋の間では、今年に入り米先物市場で円ロングが過去最高を記録したことで、巻き戻しのドル買い・円売りが入りやすいという声が出ていたが、ほぼドル売りから入れなかった市場筋のポジショントークともみなされている。一時小幅に解消された円ロングを先週は更に増やすなど、米国勢はドル安・円高地合いを更に長期的スパンで見ているとも言える。よって、ドル円は日米ともに売り意欲が強そうだ。
本日NY時間で注目されるのは、主に2点。1点目は米国の予算案。議会の両院を支配する共和党は大型の税制・歳出法案、「大きくて美しい1つの法案(one big beautiful bill)」における減税措置を延長するために福祉プログラムをどの程度削減するかを巡って意見が分かれている。下院指導部は上院の法案の完全採決は早ければ水曜日の朝に行われる可能性があると述べてているが、法案に修正が入るかなど事細かに見ていかなければならない。5月下旬の米トリプル安のきっかけが、同法案による財政悪化懸念だったことを考えると、債券に売りが入った場合(利回りが上昇)でも、ドル安になることにも気を付けておきたい。
2点目は、米経済指標。本日は23時に発表される6月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数と5月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数に注目。ISMは雇用指数も発表されることで、景況感以外の部分に反応することもあり要警戒。弱い雇用指標となれば、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ圧力の高まりでドルがさらに売られることになりそうだ。
なお、本日はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、植田日銀総裁、ベイリー英中銀(BOE)総裁がECB主催の国際金融会議「ECBフォーラム」でのパネルディスカッションに登壇する予定になっている。サプライズとなる発言が出ることは期待できないだろうが、警戒は怠らないようにしておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、本日の東京勢本格参入後の高値143.93円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値は、6月3日安値142.38円。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ