
先週、ユーロドルが2021年9月以来、ポンドドルが2021年10月以来の高値を更新し、高止まりしており、ドル安に調整が入る可能性はあるが、関税の不透明感が続く中でドルの買い戻しも限られるだろう。また、トランプ米大統領はイランがウラン濃縮活動を続け、核兵器保有の懸念が強まったと判断すれば、再び対イラン空爆に踏み切ると表明し、中東情勢には引き続き注目が必要となるも、米国を巻き込んだ戦争になるとの懸念が高まらない限り、再び「有事のドル買い」が大きく進む可能性は低いだろう。
本日のNYタイムでは予定されている米指標は6月シカゴ購買部協会景気指数程度と、指標の注目度は低い。また、ボスティック米アトランタ連銀総裁とグールズビー米シカゴ連銀総裁の発言機会がある。特にグールズビー氏は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持っており、米早期利下げ観測が高まっている中発言内容に注目。なお、先週ボスティック・アトランタ連銀総裁は労働市場・消費が依然として堅調であるとの見解を示し、インフレ懸念を強調し現時点での利下げは必要なく、今年後半の0.25%の利下げ見通しを示した。一方、グールズビー米シカゴ連銀総裁は具体的な時期には言及しなかったが、関税によるインフレへの影響が抑えられた状態が続けば、利下げを再開する可能性があるとの見解を示した。
来月9日に米政府が各国に付与する相互関税猶予期間が満了する予定だが、日米交渉は難航している。トランプ氏は輸入自動車の25%追加関税を譲歩しないとしており、交渉はなかなか進んでいない。トランプ米政権が貿易相手国・地域に課す上乗せ関税の一時停止期限が迫っているが、トランプ政権にとって大きな成果は見られていない。
トランプ氏や共和党幹部は米独立記念日の7月4日までに大型減税法案の議会通過を目指しており、上院は週末返上で立法手続きを急いでいる。採決は本日30日となりそうだが、与党共和党の財政規律派の反発は必至で、法案の議会通過は見通せない。上院が修正案を可決しても、下院が再可決する必要がある。共和党は上下両院とも僅差で多数派になっているにすぎず、法案成立のめどは立っていない。
・想定レンジ上限
ドル円、本日これまでの高値144.76円や日足一目均衡表・基準線145.08円が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、16日の安値143.65円や13日安値142.80円が下値めど。
(金)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ