
まず中東情勢について、前週末に米国がイラン攻撃に踏み切ったことで、一段と緊迫化してきた。昨日は国連安全保障理事会で緊急会合が開催され、国連のグテレス事務総長は「戦争か対話かの岐路に立っている。平和を諦めてはならない」として外交での解決を呼びかけた。しかし、イランは報復を示唆したほか、米国は「報復があった場合、壊滅的な反撃を警告」とするなど、事態が収拾する様子は見られない。事態解決の糸口が見えない中、その間にもイランは議会でホルムズ海峡の封鎖を承認したほか、イスラエルにミサイルを撃ち込むなどしてている。事態が一段と混迷化する場合は「有事のドル買い」が進みやすいと見る。
また、本日は仏・独・ユーロ圏で6月製造業・サービス業購買担当者景気指数(PMI)・速報値が発表予定。市場予想は、仏製造業PMIが前月並みとなるものの、概ね製造業・サービス業ともに前月と比べて若干改善の見通しとなっている。結果発表直後の市場は予想比での上下に反応した展開が見込まれる。そのほか、NY序盤にはラガルド欧州中銀(ECB)総裁の議会証言も予定されている。
他方、英国でも6月製造業・サービス業PMI・速報値が発表予定。製造業・サービス業共に前月よりわずかに改善見通しである。しかし、前週の英中銀(BOE)理事会では利下げを投じた委員が3人と市場予想の2人より多かったことが明らかとなったほか、議事録で労働市場の低迷が指摘されるなど、追加利下げ観測がくすぶっている。予想に反して弱い結果となった場合はポンド売りに傾く恐れがある点には注意したい。
想定レンジ上限
・ユーロドル:16日高値1.1615ドル
・ポンドドル:21日移動平均線1.3512ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル:日足・一目均衡表の基準線1.1394ドル
・ポンドドル:心理的節目1.3300ドル
(川畑)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ