
昨日NY時間にレビット米ホワイトハウス報道官が「トランプ米大統領はイラン攻撃について2週間以内に決定する」「トランプ氏はイランとの外交が依然として選択肢であると信じている」と述べたことで、中東情勢を巡る過度な懸念が後退すると、本日の東京市場では「有事のドル買い」の巻き戻しの動きが見られたが、心理的節目の145円を前に下げ渋った。背景には、懸念が後退したとはいえ、イスラエル・イラン両国が戦争状態であることには変わりないことがありそうだ。この後も引き続き、関係者の発言に神経質な展開が見込まれる。
また、経済指標は6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数が発表予定。市場予想は-1.0と、前月の-4.0よりマイナス幅が縮小する見通し。そのほか、5月景気先行指標総合指数も予定されている。なお、要人発言は特段予定されていない。
テクニカル面では、日足・一目均衡表の雲の上限が145.55円に位置しており、攻防の分岐点となっている様子。もし終値が雲の上限を上回ることができれば、強い買いシグナルとされる「三役好転」が点灯することとなり、翌週は上値を追いやすくなるかもしれない。取引時間中に前日高値145.77円を上回るか気になるところだが、こちらにも注目したい。
他方、カナダでは複数の経済指標の発表が予定されており、その中では4月小売売上高に注目か。市場予想はヘッドラインが前月比+0.4%と前月の+0.8%から鈍化、除自動車は同-0.2%と前月の-0.7%からマイナス幅の縮小が見込まれている。もっとも、市場の関心が中東情勢に集まる中では反応は限られるかもしれない。
想定レンジ上限
・ドル円は、昨日高値145.77円。超えると5月29日高値146.28円
・カナダドル円は、17日高値106.89円。
想定レンジ下限
・ドル円は、日足・一目均衡表の雲の下限144.89円。割り込むと転換線144.29円
・カナダドル円は、21日移動平均線105.28円。
(川畑)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ