
しかし、半導体株が弱く、開始早々に上値が重くなった。半導体株に関しては、24日の米国でエヌビディアなどが大きく下げたことが嫌気されたが、これに加えて中国スタートアップ企業DeepSeek(ディープシーク)の開発するAIが米国テック企業に脅威になるとの見方が出てきたことで、半導体株だけでなく電線株も強烈に売り込まれた。指数はほどなくマイナス圏に沈むと、前場は200円を超える下落となった。
半導体株と電線株を除いては買われる銘柄が多かったものの、弱い銘柄の下げの度合いが大きく、後場に入ると一時下げ幅を400円超に拡大。39500円台まで水準を切り下げ、安値圏で取引を終えた。前場ではプラス圏をキープしていたグロース250指数も後終盤に崩れてマイナス転換。一方、TOPIXは終日プラス圏をキープした。
東証プライムの売買代金は概算で4兆4600億円。業種別では不動産、ゴム製品、陸運などが上昇した一方、非鉄金属、電気機器、機械などが下落した。引け後に改めての記者会見を実施予定のフジ・メディア・ホールディングスが大幅上昇。半面、フジクラと古河電気工業が2桁の下落率となるなど電線株が急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1280/値下がり324。日経平均は大幅安となったものの、値上がり銘柄はかなり多かった。三菱UFJ、三井住友、みずほFGのメガバンク3行がそろって上昇。IHIや川崎重工など防衛関連の一角に資金が向かった。KDDI、NTT、SB、楽天Gなど通信関連が全般堅調。決算速報値が好感された岩井コスモHDが急騰した。
一方、アドバンテストが8.6%安、東京エレクトロンが4.9%安と半導体株の一角が急落。直近で米国のAI巨額投資を材料に買われたソフトバンクGも8.3%安と急落しており、この3銘柄で日経平均を500円以上押し下げた。日立やリクルートなどグロース系の銘柄が軟調。ファナックが決算発表を前に警戒売りに押された。新株予約権の発行が嫌気されたタスキHDは場中に値が付かずストップ安比例配分となった。
日経平均は大幅安。プライムでは1000を超える銘柄が上昇したにもかかわらず、366円安(39565円)とかなりいびつな動きとなった。きょうの半導体株や電線株が「DeepSeek」というワードに過敏に反応しすぎただけであれば、本日の米国株が下げたとしても弱材料を先取りしているため、あすは反転が見込まれる。一方、これらがあすも強く売られるようだと、「生成AI」というテーマに対するリスクが強く意識される。半導体株や電線株は今の日本株市場の中でかなり存在感が高まっているだけに、影響を注視する必要がある。
きょうの値上がり銘柄が多かったところを見ると、半導体株や電線株を買いづらくなったとしても、この先の日本株が総崩れする可能性は低い。ただ、日経平均はまたしても4万円に乗せた後の買いが続かなかった。足元では38000円~4万円レベルのレンジ相場が継続しており、半導体株が嫌われ続けた場合には、いったんレンジ下限に向けて下を試しに行くかもしれない。その場合は指数との連動性がそれほど高くない銘柄や、直近の株高局面で流れに乗り切れていなかった銘柄など、地味目のジャンルが相対的に選好されやすくなるだろう。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ