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【市場概況】東京為替見通し=ドル円、米10月CPIの伸び率上昇予想から155円の攻防か

12日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが4.44%台まで上昇したことで154.92円まで上昇した。ユーロドルは1.0595ドルまで下落後1.0620ドル台まで戻した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ・トレード(米国債売り・ドル買い)や今夜発表される米10月消費者物価指数(CPI)の伸び率上昇予想を背景に続伸が見込まれているものの、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。

 ドル円が155円台に乗せた場合は、トランプ次期米大統領のドル安志向と整合的な本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。
 トランプ次期米大統領は、第1次トランプ政権でもドル高を牽制していたが、今年4月には、ドル円で34年ぶりの高値を付けたことに関して、米国の製造業にとって「大惨事だ」と述べていた。トランプ・トレードは、第2次トランプ政権での公約の実現(関税と減税)を材料視しているが、トランプ関税は米国の製造業保護のための防波堤であり、為替政策でもドル安を志向することが見込まれている。

 8時50分に発表される10月企業物価指数では、植田日銀総裁が「第1の力」として注視している輸入物価指数に注目しておきたい。9月の輸入物価指数は前年比-2.6%に落ち込み、ドル円が161円台まで上昇していた7月の同比+10.7%、植田ショックで140円台まで下落した8月の同比+2.5%から低下傾向にあった。10月のドル円は140円台から150円台へ円安気味に推移していたことで要注目か。

 植田日銀総裁は、物価の動向を「第1の力」と「第2の力」に分けて説明してきた。「第1の力」は起点となる輸入物価の上昇圧力が止まれば次第に和らいでいく一時的な性質のものであり、「第2の力」は、企業の賃金・価格設定行動の変化を伴いつつ、より持続的に物価上昇率を高めていくことが想定されるとのことである。

 また今夜は米10月CPIが発表されるが、2022年、2023年と続いた「CPIショック」の再現には警戒しておきたい。
 米10月CPIは前年比+2.6%と予想されており、9月の同比+2.4%からの伸び率上昇が見込まれていることで、ドル買い要因となっている。

 米10月のCPIに関しては、これまで、予想を下回るサプライズがあった。
 2022年11月10日に発表された10月の米CPIが市場予想を下回ったため、ドル円は146円台半ばから141円を割り込むまで円高・ドル安が進んだ。
 2023年11月に発表された10月の米CPIも市場予想を下回り、ドル円は151.80円台から150.10円台まで円高・ドル安が進んだ。


(山下)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ