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【見通し】週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、中銀の利下げ幅や声明に注目

◆ポンド、直近の雇用・物価データ受けた利下げ観測の高まりが重し
◆ポンド、引き続き月末の政府予算案関連のヘッドラインに注意
◆加ドル、23日の中銀会合での利下げ幅や声明内容に注目

予想レンジ
ポンド円 191.50-197.50円 
加ドル円 107.00-111.00円 

10月21日週の展望
 今週発表の英雇用・物価データを受けて利下げ観測が高まっている。ポンドは来週も上値の重い動きが見込まれる。6-8月期賃金上昇率(ボーナスを除く)は前年比4.9%と約2年ぶりの低水準となった。求人数も引き続き減少し、インフレ圧力の緩和を示す内容となった。賃金の伸び率は依然としてイングランド銀行(英中銀、BOE)の許容水準を上回っているが、賃金の鈍化ペースは金利を景気抑制的な水準から動かし始めるに朗報と言えそうだ。

 9月消費者物価指数(CPI)は前年比1.7%と前月の2.2%から予想以上に大幅鈍化し、2021年4月以来の低い伸びとなった。BOEが注視するサービス価格の上昇率も4.9%と2022年5月以来の低水準。BOEの直近の予測では、サービス価格の上昇率が年内に5%を割り込まないと判断していた。中東紛争に伴う原油高と国内エネルギー料金の値上げを受け、インフレ率は今後上昇する可能性が高いものの、市場は11月会合での0.25%利下げを完全に織り込み、12月会合での追加利下げを見込んでいる。

 今月30日発表予定の政府予算案関連のヘッドラインには引き続き注目したい。220億ポンドに上る政府の「ブラックホール」を埋めるために増税が見込まれている。現在最高28%のキャピタルゲイン税が39%に引き上げられるとの報道も出ているが、これについてスターマー首相は「的外れ」だと否定している。約2年前に当時のトラス首相が財源の裏付けがない大型減税を打ち出し、国債売りの殺到とポンド暴落を招いたこともあり、スターマー英首相が率いる労働党新政権が投資家を不安に陥れる予算案を発表する公算は低いとみている。来週は10月PMI速報値の発表が予定されている。9月のPMIは製造業・サービス業ともに3カ月ぶりに前月から悪化したが、依然として景気の縮小・拡大の分岐点とされる50を上回っている。

 加ドルは、23日のカナダ中銀(BOC)の政策会合に注目。11日に発表された9月雇用統計では、新規雇用者数変化が予想以上に増加。失業率は予想外に前月から低下したが、正規雇用の平均時給の伸びの鈍化が継続し、労働参加率は低下した。今回の数字は、依然として経済の弱体化懸念を払しょくさせる内容とは言えない。また、9月CPIは前年比1.6%と前月から予想以上に伸びが鈍化し、約3年7カ月ぶりの低い伸びとなった。CPI発表後に市場では来週のBOC会合での0.50%利下げ確率が約7割弱まで高まっている。今回の会合での利下げ幅や声明で積極的な利下げ姿勢を維持するかどうかに注目している。

10月14日週の回顧
 ポンドは9月雇用・物価データの結果を受けた利下げ観測の高まりで売りに押される動きとなった。ポンドドルは1.30ドル割れまで下落し、ポンド円は一時193円後半まで弱含んだ。加ドルは、予想比下振れの9月CPIが加ドルの重しとなり、ドル/加ドルは一時8月上旬以来の1.38加ドル台まで上昇。加ドル円は一時107円後半まで売りに押された。(了)


・提供 DZHフィナンシャルリサーチ