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【見通し】株式明日の戦略-円高・株安への警戒が強まる、内需は資金の受け皿になれるか

8日の日経平均は4日ぶり大幅反落。終値は395円安の38937円。米国株安を受けて、寄り付きから300円を超える下落。序盤は39000円近辺でもみ合ったが、ドル円が円高に振れて日本株の買いづらさが意識される中、次第に下押し圧力が強まった。後場のスタート直後には下げ幅を500円超に拡大。38800円台に入ったところでは踏みとどまったが、売り一巡感が出てきても戻りは限られた。終盤にかけても低空飛行が続き、400円近い下落で取引を終了。終値で39000円を下回った。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆9400億円。業種別ではプラスは精密機器、電気・ガス、鉱業の3業種のみ。証券・商品先物、卸売、輸送用機器などの下げが大きくなった。9月度の月次好調が確認できたTSIホールディングスが大幅上昇。半面、9月の月次売上高が前年割れとなったシュッピンが急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり241/値下がり1386。米エヌビディアの上昇にアドバンテストが好反応を示して2.5%高。日立や富士通など総合電機の一角に買いが入った。証券会社が目標株価を引き上げたフジクラが商いを伴って大幅高。上期および通期の利益見通しを引き上げた東天紅が急伸した。

 一方、東京時間でドル円が円高に振れたことから、トヨタやマツダなど自動車株が大幅安。証券会社が目標株価を引き下げた日産自動車は5%安となった。株安を受けて野村HDや大和証Gなど証券株が全般軟調。米国の長期金利は上昇したが、三井住友、第一生命、東京海上など銀行・保険株は大きく下げる銘柄が多かった。上期が営業減益着地となったライフコーポが大幅安。下方修正を発表したネクステージが急落した。

 本日、名証ネクスト市場に新規上場したケイ・ウノは、初値が公開価格を下回り、終値は初値と同値となった。

 日経平均は大幅安。金融株は米長期金利の上昇を好感できず、半導体株の多くは米エヌビディアの上昇を好感できなかった。ドル円は急ピッチの円安にブレーキがかかった程度であったにもかかわらず、自動車株を筆頭に外需株は広範囲に売られた。米国の10年債利回りが4%を上回ってきたことで、リスク資産に資金が向かいづらくなったようにも見える。

 米国ではあす9日に、9月開催のFOMC議事要旨が公表される。10日には消費者物価指数(CPI)、11日には生産者物価指数(PPI)が発表される。9月のFOMCでは0.50%の大幅利下げが決定されており、足元で米国の物価指数は鈍化傾向が続いている。これらを材料に米国で長期金利が低下してハイテク株に買いが入り、米国株高を受けて日本株が反転するというのが目先で期待できるポジティブシナリオ。ただ、このケースではドル円は円高(ドル安)に振れるとみておくべき。国内ではあす、衆議院が解散され、選挙モードに突入する。政策絡みで注目される銘柄には内需株が多い。また、木曜10日には小売大手のファーストリテイリングやセブン&アイが決算を発表する予定。円高に耐性がある内需株が資金の受け皿となることで、悲観に傾きかけている流れを断ち切ることができるかに注目したい。



(山下)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ