◆ポンド、BOE総裁のハト派発言の影響を見極め
◆加ドル、失業率悪化に歯止めがかかるのか、9月雇用統計に注目
◆週末までは米国発の材料で振らされる展開続く
予想レンジ
ポンド円 190.50-196.50円
加ドル円 107.00-111.00円
10月7日週の展望
ポンドは3日に伝わったベイリー英中銀(BOE)総裁のハト派発言の影響がどの程度まで残るか見極めながらの取引となりそうだ。英ガーディアン紙のインタビューで総裁は、インフレ抑制が続けばBOEは利下げについて、「より積極的」かつ「さらに活動的」になる可能性に言及した。また、「中銀が危惧していたほど生活費圧力が長引いていないことに安心感を抱いている」とも述べている。総裁の見解が伝わると、市場ではポンド売りが一気に強まり、英金利も低下で反応した。英国では来週、11日に8月国内総生産(GDP)や同月鉱工業生産が発表されるものの、それまで相場を動意付けるような経済データは予定されていない。そのため、ベイリーBOE総裁のハト派見解を巡る動向が一層注目される。総裁発言に対する英金融当局者の見方や総裁自身がインタビュー内容を補足する可能性などにも注意しておきたい。
なお、9月英GDPは前回の横ばいから持ち直すことができるかがポイント。鉱工業生産は、前月・前年比ともにマイナスだった8月分からの回復度合いを測ることになる。
加ドルも、カナダ発の材料で動意付くには11日発表の9月雇用統計を待つ必要がある。そのため、同国経済が頼るところが大きい米国の要因が目先の加ドルのすう勢を決めることになるだろう。9日(日本時間10日未明)には9月17-18日分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨、翌10日には9月米消費者物価指数(CPI)、11日に卸売物価指数(PPI)が発表される。先週、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、一部で高まっていた大幅利下げ観測をけん制する発言をした。今のところ11月FOMCで0.25%利下げ織り込み度は6割強まで増加してきた。議事要旨の内容や米インフレ指標の結果を確かめながら、加ドル相場は神経質な動きとなりそうだ。
9月カナダ雇用統計では、前回3カ月ぶりに増加した新規雇用者数も重要だが、6.6%まで悪化した失業率も注視したい。単純比較では2021年以来の高い水準ではあるものの、新型コロナ禍中であり、コロナ要因を除くと2017年以来の水準まで失業率は上昇している。9月分の新規雇用者数は増加予想ではあるが、もし失業率の改善が見られない場合、翌週の9月CPIの発表を待たずにカナダ中銀の大幅利下げ観測が高まることになるだろう。
9月30日週の回顧
ポンド円は荒い値動き。石破新政権への警戒感から189円半ばまで売りが先行。反動で193円台まで戻すも、イランとイスラエルを巡る地政学リスクの高まりで再び戻り売りに押された。その後に石破首相が早期利上げに否定的な見解を示すと195円前半まで急伸も、ベイリーBOE総裁のハト派発言で192円前半まで押し戻されている。ポンドドルは1.34ドル前半から1.30ドル後半まで下落した。
加ドル円は104円後半まで売られたところから、106円後半まで反発。中東の緊迫化は原油高に繋がり、産油国通貨・加ドルは底堅く推移した。週後半には109円手前まで更に上昇している。加ドルは対ドルで1.35加ドルを挟み上下した。(了)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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