11日のニューヨーク外国為替市場でドル円は142.54円まで上昇した。8月米消費者物価指数(CPI)を受けて米大幅利下げ観測が後退したことに反応した。その後141円前半まで下押すも、引けにかけて142円半ばまで再び持ち直した。ユーロドルは1.1002ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米長期債利回りの上昇などを受けて底堅い展開が予想される中、タカ派の田村日銀審議委員の見解には警戒しておきたい。
ドル円は昨日の東京午後、年初来安値140.71円まで下落した。しかしながら、米8月コア消費者物価指数(CPI)が予想を上回る前月比+0.3%、米連邦準備理事会(FRB)が注目するスーパーコア指数も+0.33%と7月の+0.21%から上昇していたことを受けて、142円台半ばまで反発した。
CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ開始確率が前日の60%台から80%台まで上昇。0.50%の利下げ確率の低下がドルの買い戻しに繋がっている。
他のドル買いの要因としては、米国次期政権の拡張的な財政政策、すなわち金利上昇への警戒感もあるだろう。
ドル円のテクニカル分析では、昨年12月28日の安値140.25円を起点にして、7月3日の高値161.95円まで上昇した後、ほぼ全値押しを達成したことになる。また、127.23円(2023年1月16日安値)から161.95円までの上昇トレンドのフィボナッチ・リトレースメント38.2%押しである140.39円もほぼ達成したことになる。
8時50分に発表される8月企業物価指数では、輸入物価指数に注目しておきたい。昨日、中川日銀審議委員は「輸入物価上昇による消費者物価の上振れに注意する必要がある」と述べていた。
7月の輸入物価指数は前年比+10.8%と発表され、6月の同比+9.5%から上昇していた。8月のドル円相場は、7月3日に1986年12月以来の高値161.95円を付けて以来、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入や日本銀行の追加利上げなどで、140円台まで下落しており、円高の影響を見極めることになる。
10時からのタカ派の田村日銀審議委員のあいさつでは、植田日銀総裁や昨日の中川日銀審議委員と同様のタカ派的な見解が予想されるものの、最もタカ派の委員の見解、例えば中立金利水準の1.00%に向けた利上げへの言及などには警戒しておきたい。
植田日銀総裁は、「経済・物価見通し実現の確度が高まれば、金融緩和の度合いを調整する」と述べ、中川日銀審議委員は「日銀の経済・物価見通しが実現していくとすれば、金融緩和の度合いを調整していく」と述べており、日銀タカ派の統一見解となっている。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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