5日の日経平均は大幅続落。終値は347円安の38490円。米国株は3指数がそろって上昇したが、ドル円が大きく円高に振れたことが警戒されて3桁下落スタート。主力銘柄の多くが売りに押され、早い時間に下げ幅を400円超に広げた。38300円台まで下げたところで売り圧力は和らいだ。ただ、その後は幾分戻してくると売り直され、低空飛行が続いた。売買代金上位のレーザーテックが派手に下げたことも投資家心理を悪化させた。終盤にかけても戻りは緩慢で、節目の38500円を下回って取引を終えた。
東証プライムの売買代金は概算で4兆6200億円。業種別では医薬品、不動産、情報・通信などが上昇した一方、保険、鉄鋼、鉱業などが下落した。自己株取得や消却などを発表したマクセルが後場急伸。半面、ユーロ円建てCBを発行すると発表したトリドールホールディングスが、大幅に下落して年初来安値を更新した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり363/値下がり1246。5月の国内ユニクロ月次が好調だったファーストリテイリングが上昇。月次が良かったアパレル関連が強く、ユナイテッドアローズやアダストリアが大幅高となった。エリオットが自社株買いを要求していると伝わったソフトバンクGが終盤に買いを集めて4%を超える上昇。10億円の保証金受領に関するリリースを材料にステラファーマが急騰した。
一方、ディスコや東京エレクトロンなど半導体株が大幅安。7.5%安となったレーザーテックに関しては、投資会社によるネガティブなリポートが売り材料になったとの見方があった。日立やリクルートなど、上場来高値圏で推移していた銘柄に大きく下げるものが散見された。円高進行や認証不正問題を嫌気してトヨタやホンダなど自動車株が大幅安。米国では長期金利が低下基調を強める中、第一生命、MS&ADなど保険株や、北洋銀行、千葉興業銀行など地銀株の下げが大きくなった。
本日、グロース市場に新規上場したアストロスケールホールディングスは、高い初値をつけた後にストップ高まで買われる場面もあり、終盤に萎みながらも終値は初値を上回った。全市場の売買代金でトップ10入りするなど、市場の注目を大きく集めた。
日経平均は大幅安。4日の米国株は上昇しており、下げた理由は円高と捉えるのが妥当。ただ、東京時間では円高にブレーキがかかったにもかかわらず、買い戻しは入らなかった。円高そのものよりも、円高を引き起こした理由の一つ、日銀による国債購入減額観測、こちらが嫌気されたというのが本質だろう。来週14日の日銀会合の結果発表日までは、日本株は不安定な動きが続きそうだ。
米国の10年債利回りは一段と低下しており、本日は5月のADP雇用統計やISM非製造業景況指数の発表がある。これらを受けて米金利がさらに低下するようなら、早期の利下げ期待から米国株の動きが良くなると思われる。ただし、米金利が低下すればドル円は円高(ドル安)に振れやすい。6日のECB理事会で利下げが実施されれば、欧米の長期金利低下に弾みがつく展開も想定されるだけに、今は円高に耐性をつけて米国株との連動性を高めておきたい。内需株の中で全体をけん引するような銘柄や業種が出てくるかが注目される。
(越後)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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