昨日の海外市場でドル円は、海外市場では買い戻しが優勢となり155.53円まで上昇した。4月米輸入物価指数が予想を上回ったことが、ドルを買い戻す動きに結び付いた。ユーロドルは1.08ドル半ばから後半でもみ合いだった。
本日のドル円相場は流動性が悪いことで値動きは活発になりそうだが、依然として日米のファンダメンタルズの相違で円安トレンドが続くと予想する。
ドル円は14日に付けた156.74円を高値に、15日に発表された米経済指標発表以後は調整のドル売りが進み、昨日は153.60円まで下押しした。そして、昨日のアジア時間は終始上値が重かったものの、欧州勢参加後は買いが優勢となり下げ幅の半値(155.17円)を超えて再び強含んだ。
ドル円の下落局面ではドルが買われるのは、日米のファンダメンタルズにいまだ開きがあることが要因。米国サイドからは15日の経済指標[米消費者物価指数(CPI)や小売売上高]が比較的弱めな結果だったことで、市場では9月からの利下げ期待が高まった。しかしながら、それ以前に発表された、4月卸売物価指数(PPI)は予想を上振れ、ミシガン大学やニューヨーク連銀が公表した期待インフレはいずれも上昇するなど、今後インフレ低下を予想する声は少ない。
昨日、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁が講演で利下げを否定したものの、同時に「現時点で利上げの必要性もない」と述べたように、米連邦準備理事会(FRB)要人も今後のインフレ動向についてはいまだに不透明感がぬぐえず、市場ほど利下げには先走った考えを持っていない。
一方で、本邦のファンダメンタルズの弱さは明らかなことで、円が積極的に買われる要素はない。先週発表された、さえない本邦の経済指標に続き、昨日発表された1-3月期の実質国内総生産(GDP)は、年率換算で予想の-1.5%をさらに下回る-2.0%となった。円安を止めるために日銀が今後も長期国債の買い入れ削減をしたとしても、GDPが大幅にマイナスとなるような経済情勢下で、断続的に金利を引き上げるのは不可能だろう。
また、金利引き上げにより短期プライムレートも上昇することになると、住宅ローンも上昇し、底辺で上下している岸田内閣の支持率を更に下げることになり、政府もそれを望んでいないことで、現実的には本邦の金利上昇にも限界がある。
ここ最近の米経済指標後のドル売りの調整は、ごく短期間で終わっていることにも留意したい。3日に発表された4月の米雇用統計後にドル円は153円台から151.86円まで急落した。しかし、NY引けにかけては再び153円台に戻し、更に週明け6日には154円台に乗せ、その後じり高となった。本邦のファンダメンタルズの弱さだけではなく、介入を期待させたことによる円売りの遅れや、需給的にも円売り意欲が旺盛なことで、気が付くと数日で元の水準に戻すパターンが度々見受けられる。よって、週明けに再び156円後半に戻っていても不思議ではないだろう。
なお、本日は中国から4月の鉱工業生産と小売売上高が発表される以外は主だった経済指標の発表予定はない。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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