◆対円では本邦通貨当局の本気度を見定め
◆ポンド、失業率悪化となれば政治的な利下げ圧力も
◆加ドル、金融政策に対する思惑に変化があるか注目
予想レンジ
ポンド円 192.50-198.00円
加ドル円 112.00-116.50円
5月13日週の展望
来週は、ポンド、加ドルとも対円では本邦通貨当局がどの程度まで円安是正に本気なのかを見定める展開となりそうだ。4月29日週に政府・日銀が行ったとされるドル売り円買い介入で、クロス円も円高方向に大きく傾いた。もっとも、4日にイエレン米財務長官が為替介入に対するけん制発言をしたことで、週明けから円売り戻しが優勢に。今後更に円安が進んだ場合、本邦当局が米国の意向をどの程度まで気にするのかが注視される。
英国からは週前半の雇用データに注目。前回の12-2月失業率(ILO方式)は4.2%と予想や前回値から悪化した。今回1-3月分で改善が見られないようだと、与党・保守党から英中銀(BOE)への利下げ圧力が高まりそうだ。来年1月末までに行われる総選挙を控え、保守党は現在支持率低下に悩んでいるという事情がある。2日のイングランド地方選では、野党・労働党が圧勝した。
英失業率と同時に発表される週平均賃金(除賞与)の伸び率も、英中銀が利下げ開始時期の判断材料としているため要注目。前回は前年比6.0%と2022年7-9月以来の低水準まで低下した。減速基調が続くとなれば、ハト派に傾きつつあるベイリーBOE総裁にとって追い風となるだろう。
なお9日の英金融政策委員会(MPC)では、予想通りに政策金利は6会合連続5.25%での据え置きが決定された。ただ、MPC委員による投票では、前回からのディングラ委員に加えてラムスデンBOE副総裁も0.25%の利下げを主張。議事要旨では、「短期的に」とされながらも「CPIは目標の2%近くまで低下する」との見方が示されている。
加ドルは週前半、10日発表の4月雇用統計の影響を引きずりそうだ。前回3月分の雇用データは新規雇用者数が減少に沈み、失業率も2021年後半以来の6%台乗せと弱い結果となった。失業率の悪化傾向が顕著となれば、市場は6月会合での利下げを織り込む動きを進めることになるだろう。なお、足もとの短期金融市場では、6月の0.25%利下げ確率は7割程度まで上昇してきている。カナダ中銀では、6月を含め年末まで5回の会合が予定されているが、そのうち2回の利下げ(合計0.50%)は完全に織り込済み。雇用統計を挟み、中銀の金融政策に対する思惑に変化があるようならば、加ドルの動意に繋がることにもなるだろう。
カナダの経済指標では、3月の住宅強化件数や卸売上高、4月住宅着工などが発表予定。
5月6日週の回顧
ポンド円は週初の191円後半で下げ渋り、194円後半まで上昇した。加ドル円も111円後半から113円後半まで買い戻された。前週は本邦通貨当局とみられるドル売り円買い介入の影響でクロス円全般も大きく下落したが、その反動で週明けから買い優勢に。米国の意向を気にして為替介入がしづらくなったとの見方も支えとなった。
ポンドドルは、英中銀で利下げ支持派が増えたことで一時1.24ドル半ばまで下押しするも、一巡後は1.25ドル前半まで切り返した。加ドルは、対ドルでは1.37加ドルを挟み上下した。(了)
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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