ドル円は日銀金融政策イベントを通過し、156.82円まで1990年5月以来の高値を更新した。その後、日本当局の円買い介入警戒感でまとまった売りが入り一時154.99円まで急落したが、あっさりと156円台に切り返した。
日銀は本日の金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決定した。また、植田日銀総裁は記者会見で、当面は緩和的な金融環境が継続するとの見解を強調し、円安は今のところ基調的な物価に大きな影響がないと述べた。日銀の追加利上げへの期待は高まらない一方で、米利下げ思惑は一段と緩んでおり、日米金利差を意識したドル高・円安の流れは変わっていない。
ドル円の上昇の勢いは止まらず、市場は日本当局の円買い介入を注目しているが、市場が介入ラインと警戒していた152円・155円での介入はみられなかった。一部では今の円安は、日米の経済の違い(金利差)による理由のある円安で足もとの動きでは介入はないとの見方もあるが、引き続きドル円は介入を警戒しつつ上値を試す動きが続きそうだ。もっとも介入効果に否定的な見解が多く、介入に踏み切っても「絶好の買い場」と捉えており、押し目には買いが入りやすいだけかもしれない。
本日のNY市場では米3月個人所得・個人消費支出(PCE)価格指数などの発表が予定さえている。米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注目する個人消費支出(PCE)価格指数は、変動の大きい食品・エネルギーを除くコア指数が前月比+0.3%と2月分から横ばいが見込まれ、前年比では+2.7%と、2月分の+2.8%から鈍化が予想されている。昨日は、1-3月期米国内総生産(GDP)速報値は予想を下回ったものの、個人消費支出(PCE)物価指数で食品とエネルギーを除くコア指数が予想を上回る前月から大幅上昇し、米10年債利回りは昨年11月以来の4.7%台に上昇し、ドル円にドル高・円安の圧力が強まった。一部ではFRBの利下げ開始は12月に先延ばしされるとの見方が強まっている。
・想定レンジ上限
ドル円は1990年5月11日高値156.98円や同10日高値157.28円が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円は本日これまでの安値154.99円が下値めど。
(金)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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