19日の日経平均は大幅反落。終値は1011円安の37068円。米国株は3指数がまちまちで終えたが、寄り付きから300円を超える下落。台湾TSMCの慎重な半導体市況見通しが嫌気されて、半導体株が強烈に売り込まれた。さらに、取引時間中にはイランの複数の地域で爆発があったと伝わり、リスクオフの様相が強まった。半導体以外の主力株も売り込まれる中、下げ幅を4桁に広げると、節目の37000円もあっさり割り込んだ。前引け間際には1300円超下落し、36700円台まで水準を切り下げた。
後場に入ると売り圧力は和らいだ。イランの爆発に関して、午前中にはイスラエルからのミサイル攻撃といった報道が流れたが、それを否定するようなニュースも出てきたことで、やや下げ幅を縮小。ただ、情報が錯綜する中では戻りも限られ、37000円~37200円レベルでの小動きが続いた。37000円は上回ったものの、4桁の下落で終了。下落幅、下落率(2.7%安)ともに今年最大となった。
東証プライムの売買代金は概算で5兆4600億円。大きな動きが出てくる中で、商いは膨らんだ。業種別では鉱業、海運、医薬品の3業種のみが上昇。電気機器、機械、金属製品などが大幅に下落した。昼休みに前期の純利益および期末配当の見通しを引き上げた神栄が後場急騰。半面、東京エレクトロン、レーザーテック、ディスコが8%台の下落と、半導体装置株が軒並み急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり86/値下がり1554。中東の地政学リスクの高まりは原油高につながるとの見方からINPEXが上昇。海上運賃が上昇するとの見方から日本郵船や商船三井など海運株に資金が向かった。リスクオフの地合いの中、第一三共やアステラスなど薬品株の一角が上昇。動きの良さが目立ったのがさくらインターネットで、スパコン整備費用の補助を受けるとのメディア観測で朝から人気化する中、GPUクラウドサービス第2次投資計画が経産省より認定を受けたことを発表してストップ高で終えた。
一方、主力どころではソフトバンクG、日立、キーエンスが大幅安。アドバンテストやSCREENなど半導体株が総崩れとなる中、TOWAやタツモなど中小型の装置株も商いを伴って急落した。地政学リスクが高まった際に為替が円高に振れる場面があったことから、SUBARU、三菱自、スズキなど自動車株が軒並み安。強烈な株安を受けて野村HDや東洋証券など証券株が売りに押されており、後場に決算を発表した光世証券は前期の最終黒字転換や増配発表が好感されず11.7%安となった。
日経平均は4桁の下落。きのう反発しただけに踏みとどまってほしかったが、ダメ押しの下げに見舞われた。中東に関しては事の成り行きを見守るしかなく、軍事行動が過激になってくるのであれば、グローバルで株式市場のリスク回避姿勢が強まると思われる。株価指数が高値圏で推移していたのは日本だけではなく、不安の連鎖が広がるといったことも警戒しておかなければいけない。一方、過激化しないのであれば、きょう悲観に傾いた分は早期に修正されるだろう。まずは週明けの22日に、ある程度ギャップアップでスタートできるかどうかが注目される。横ばいもしくは下落スタートの場合、センチメントの改善には時間を要するかもしれない。
【来週の見通し】
波乱含みか。翌週の月曜29日が祝日で、三連休前の26日に日銀金融政策決定会合の結果を消化するスケジュール。日銀には不安定なマーケットを落ち着かせる役割を期待したいが、足元では円安が日本経済に及ぼす悪影響も懸念されており、日銀からは一段の円安をけん制するメッセージが出てくる可能性がある。米国では決算発表が本格化し、国内でも決算発表がスタートする。企業決算が反転の材料となる展開にも期待したいが、米国の長期金利は上昇傾向にあり、全体の地合いは悪化している。そのため、失望決算がリスクオフの流れに拍車をかける展開も想定される。中東の地政学リスクも警戒材料。日経平均は今週大きく下げており、買われる場面はあるとみる。ただ、現状では大幅高、大幅安といった極端な動きとなりやすい上に、日銀会合後の植田総裁会見を確認する前に三連休に突入する。金曜後場のボラティリティが大きくなると思われるだけに、落ち着かない相場が続くと予想する。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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