19日の日経平均は続伸。終値は263円高の40003円。米国株の上昇は好感できず、前日に4桁高となった反動で寄り付きは3桁の下落。前場ではマイナス圏で方向感に欠ける動きが続いた。300円超下げる場面もあったが、39500円を割り込んだところでは切り返し、前引け(39596円)では39500円を上回った。
後場に入って日銀が金融政策の結果を公表。マイナス金利の解除、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール:YCC)の撤廃、ETFおよびREITの買い入れ終了などが決定された。内容自体は事前の観測報道で織り込みが進んでいたが、結果発表直後は強弱感が入り交じり、プラス圏とマイナス圏を行き来した。しかし、前場同様に39500円より下では買いが入ったことで、次第にプラス圏が定着。13時台半ば辺りからは値動きも落ち着き、上げ幅を3桁に広げた。14時以降は39900円近辺でのもみ合いが長く続いたが、引けにかけてもうひと伸びがあり高値引け。3月6日以来、9営業日ぶりに終値で40000円を上回った。
東証プライムの売買代金は概算で5兆2000億円。業種別では不動産、鉱業、輸送用機器などが大幅上昇。下落は海運、医薬品、銀行の3業種のみとなった。デフレ脱却期待から不動産株が後場に入って買いを集めており、住友不動産や東京建物が急伸。半面、三菱UFJや三井住友など銀行株は前場では買われていたものの、日銀会合の結果発表で目先の材料出尽くし感が強まり、後場に入ってマイナス圏に沈んだ。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1250/値下がり366。レーザーテックが3%を超える上昇。日銀会合の結果が出てきた後にドル円は150円台に乗せたことから、トヨタ、三菱自、マツダなど自動車株に買いが入った。香港投資ファンドの買い増しが判明した熊谷組が大幅上昇。通期の純利益見通し引き上げや復配を発表した西菱電機が後場に値を飛ばしてストップ高となった。
一方、前日に急落した東電HDは売りが止まらず2%を超える下落。川崎汽船など海運株が後場に入って値を崩した。ファストリ、アドバンテスト、三井E&Sなどが軟調。月次を材料に神戸物産が大幅安となった。通期で最終赤字に転落する見込みとなったマイクロ波化学は、売りが殺到してストップ安比例配分となった。
日経平均は続伸。日銀は大きな政策の転換を決定したが、事前の織り込みが十分進んでいたことから、マーケットは無難に結果を消化した。きのう4桁高となったことを踏まえると、きょうはプラスで終えたこと自体が強いが、引けにかけてはきっちり節目の4万円を超えてきた。日経平均よりも動きが良かったTOPIXは昨年来高値を更新している。
日銀が大規模緩和政策を止めることは2024年の日本株を見る上で大きなリスクになるかと思われたが、少なくとも決定自体はポジティブに受け止められた。事前のメディア観測をノイズとして遮断した場合、1月会合のメッセージから今回の決定はやや唐突にも映る。それでも、マイナス金利解除だけでなく、YCC撤廃やETFの買い入れ終了など、どこかでは実施した方が良いとみられていたことを一気に片づけた。今の日銀はメディアの扱いにも長けており、海外投資家の日本に対する評価がもう一段上がりそうな印象がある。
東京市場はあすは休場で、木曜21日はFOMCの結果を消化する。FOMCに関しては政策金利の据え置きが確実とみられており、その点での波乱要素は少ない。先の利下げ時期が後ずれするとの見方が強まった場合には、長期金利が上昇して米国株安につながる懸念があり、それをFRBメンバーのFF金利見通し(ドットプロット)や声明文、パウエル議長の会見のトーンなどから推し量ることになる。
日本株を見る上では米長期金利が上昇しない方が好ましいが、大幅な上昇とならなければネガティブな反応は限定的となりそうだ。米金利が上昇すればバリュー株が選好されやすくなるし、ドル円は円安(ドル高)に振れる公算が大きい。利下げへの期待が高まって米金利が低下すれば、半導体株を中心にグロース株に買いが入ると見込まれる。今週は休場を挟んで前半が日本、後半が米国の金融政策にスポットが当たるスケジュールだが、前半は非常に良い形で終えた。休場明けの一段高に期待したい。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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