
欧州のインフレ減速が顕著となったことを受けて、短期金融市場は欧州中央銀行(ECB)が来年春にも利下げを開始することを織り込んだ。また更に、0.25ポイントの政策金利引き下げが最大で5回との見方も広がりつつあるようだ。
ここにきて緩和観測が急速に高まっており、それについて本日講演が予定されているエルダーソECB専務理事、デコス・スペイン中銀総裁、ラガルドECB総裁がどのような考えを示すかが注目される。まだ1カ月だけではあるが、インフレ目標に0.4ポイントと迫ったのは事実。それにもかかわらず、具体的な理由を示さずに「利下げ議論は時期尚早」とだけ繰り返すようだと、当局への信頼が低下する恐れもある。
ユーロドルの上値が重いままであれば、市場のポジションの偏りも意識されるかもしれない。先月21日時点のデータではあるが、米国の通貨先物市場で投機筋のポジションはユーロのネットロングが12.9万コントラクトだった。過去2週間で4万ほどネットロングが積み上がっている。7月の17.8万にはまだ届かないが、明らかな買い持ちに傾いているのは確かだ。
なお、本日は欧州各国・地域の11月製造業PMIが発表予定。改定値のため、速報値から大きく振れない限り結果はスルーされそう。ただし、独PMI(予想42.3)が40に近づく雰囲気を見せるようだとユーロ重しになってしまうのではないか。
想定レンジ上限
・ユーロドル、日足一目均衡表・転換線1.0935ドルを目先のめどとし、その上が30日高値1.0984ドル。
想定レンジ下限
・ユーロドル、200日移動平均線1.0819ドル。
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ