◆ポンド、英中銀と市場の見解相違が不安定材料に
◆ポンド、スナク政権による減税方針の影響を見定め
◆加ドル、7-9月期GDPや雇用統計に注目
予想レンジ
ポンド円 184.50-190.50円
加ドル円 107.50-111.50円
11月27日週の展望
今週は英国やカナダ発の材料は見受けられたものの、対円ではドル円に追随する展開が続いた。来週は月末をまたぐ週でもあり、月末に絡んだ実需のフローに左右されることになりそうだ。そういったなかでポンドは、インフレ動向に対する英中銀(BOE)と市場の見解の相違が不安定材料となっている。
ベイリーBOE総裁は先日、10月の消費者物価指数(CPI)が前年比4%台まで低下してきたことを受けて、「インフレ率は中銀目標の2%に回帰する兆しが見えてきた」と述べた。しかしながら、「市場は直近のデータを重要視し過ぎており、インフレ持続リスクを過小評価している」とも言及。複数の金融当局者からも、インフレの高止まりリスクを指摘する声が相次いだ。一方で、米大手銀行のエコノミストは、英中銀が2024年10-12月期に合計で0.50%の利下げを実施するとの見通しを明らかに。これまでは、来年末まで金利は現行水準で据え置くとしていた。前のめりな短期金融市場よりも遅めの感はあるが、市場参加者が金融当局よりもインフレに対して楽観的なのは確かだ。今後は、英中銀の懸念を市場がどの程度受け入れることなるのか注視したい。
また、スナク英首相は先日、減税の実施を表明した。政権が最も重要とした年内のインフレ率半減という目標を達成し、経済成長を後押しするため次のステップに進むことが出来るとしている。政権の目論見通りならば素直にポンドにとってポジティブなのだろうが、実際に結果を確認するまでは暫く時間がかかりそうだ。
加ドルは週後半に発表される7-9月期国内総生産(GDP)と11月雇用統計に関心が集まる。GDPは4‐6月期が前期比マイナスに落ち込んでおり、インフレを抑え込むために実施している金融引き締めの弊害が出てきた。今週発表された11月CPIが3.1%と想定よりも減速しており、GDPが弱い結果ともなれば、「来年の利下げが現実味を帯びてくる」と市場は捉えるだろう。もっとも、マックレム・カナダ中銀総裁はCPI公表後も「インフレは高過ぎる」と述べ、追加利上げに含みを持たせている。カナダも英国同様に市場と当局との認識の違いが意識されることになりそうだ。また、12月1日の雇用統計では前回が2022年1月以来の悪い結果となった失業率に注視したい。
11月20日週の回顧
ポンドは対円で186円台から184円半ばまで売りが先行。ドル円が147円前半まで下落した影響を受けた。その後はドル円が反発すると共に切り返し、187円台に乗せて上値を伸ばした。対ドルでは1.24ドル半ばで支えられると1.25ドル台まで上値を試した。英金融当局のタカ派寄り発言が支えとなったほか、予想より強い英経済指標にも後押しされた。
加ドルも対円では上値が重く始まり約2カ月半ぶりの安値となる107円前半まで下落。クロス円全般に円高に傾いたほか、予想比で下振れたCPIが重しとなった。ただ売り一巡後は、買い戻し優勢のドル円につれて109円台を回復。対ドルでは1.37加ドルを挟み上下した。(了)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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