
東証プライムの売買代金は概算で3兆9300億円。業種別ではプラスは水産・農林、鉄鋼、非鉄金属の3業種のみ。一方、電気・ガス、パルプ・紙、保険などの下げが大きかった。通期の利益見通し引き上げや配当方針の変更が好感されたノリタケカンパニーリミテドが後場急騰。半面、上期が大幅な営業減益となった清水建設が後場に入って急落した。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり380/値下がり1241。米長期金利の上昇を受けてもレーザーテックが大幅上昇。ソニーGやソフトバンクGなど主力グロースの一角が逆行高となった。マルハニチロが決算を受けて買いを集め、水産・農林セクターの上昇に貢献。イルグルムやアドバンストメディアが業績関連のリリースで急騰したほか、AIAIグループが連日でストップ高となるなど、グロース市場の銘柄に動きの良いものが散見された。
一方、決算が失望を誘った味の素が10.2%安。エーザイは通期見通しの引き上げが好感されず5%を超える下落となった。NTTデータ、セントラル硝子、大林組などが決算を受けて大幅安。米金利上昇を受けても、T&Dや東京海上など保険株が弱かった。電力株の下げが目立っており、関西電、中部電、中国電、北海電が5%を超える下落。北陸電と東北電が6%を超える下落となった。
日経平均は大幅安。米長期金利の上昇が日本株には逆風となったが、グロース株が強烈に売られたわけではなかった。ただ、それであればアグレッシブに押し目買いが入っても良さそうであったが、場中はリスクオフが意識されたかのように下げが続き、幅広い業種が売りに押された。
電力株が派手に下げているが、これらは今年のパフォーマンスは良好だ。同様にきょう弱かった製紙株も今年のパフォーマンスは良い。きょうの動きを好意的に捉えれば、この先、グロース株に資金を振り向けるために、値持ちの良かったものを外したとも考えられる。ただ、グロース株が買われるためには長期金利の低下が必要不可欠。4.6%台に乗せた米10年債利回りがここから4.7%~4.8%台へ上昇してしまうと、日本株は直近で非常に強かった分、反動による下げが大きくなる展開も想定される。米国では本日、FRB高官の発言機会が多く、木曜9日にはパウエル議長がIMF主催の討論会に参加予定。日経平均はきょう米国株高に連動できずに下に値幅が出たことから、目先は米債券市場の動向に振り回されることになりそうだ。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ