海外市場でドル円は、金融引き締めが長期化するとの観測が根強い中、米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いが先行し、一時149.12円付近まで上昇した。ただ、米長期金利が低下に転じると次第に円買い・ドル売りが優勢となり、148.31円付近まで下押しした。ユーロドルは米長期金利が低下に転じるとドル売りが優勢となり、前日の高値1.0532ドルを上抜けて一時1.0552ドルと日通し高値を更新した。
本日のドル円は、日本時間夜に米雇用統計が発表されることで、積極的な売買は手控えられレンジ取引となるか。
昨日の米長期金利は低下したが、依然として日米の金融政策の方向性の相違がドル円の買い材料となっている。しかしながら、ここ最近は急ピッチで上昇してきた米金利の弊害を気にする声が高まっている。今週に入り米10年債利回りの水準は4.8%まで上昇したが、これは2008年の金融危機直前以来の水準と重なる。この動きが住宅、金融機関、米政府の財政などへの懸念を高めている。今春にシリコンバレー銀行とファースト・リパブリックの破綻の要因が債券価格の下落(利回りの上昇)だったことで、新たな地方銀行の問題が表面化するとの声も徐々に出てきている。今晩発表される、米雇用統計が仮に強い結果となり、10年債利回りが5%に近づいた場合は、イニシャルアクションとしてはドル円が買われるだろうが、中長期的な金利高の弊害を孕んでいることには警戒をしておきたい。
ドル円の上値が重くなっているのは、3日の急落の影響もある。昨日は東京時間にまとまったドル売りが入ると、介入経験のある為替ディーラーからすれば介入とは思えない売り方なのにもかかわらず、個人投資家などはこれまで以上にドル売りの動きに神経質になっていることで、買いオーダーをキャンセルし売り逃げに回るなど、介入恐怖症状態になっていた。徐々に相場も水準に慣れてくるのだろうが、解散総選挙の前哨戦となる衆参補選が10月後半に行われることで、与党自民党が円安の流れを止めようとする可能性があるのも事実だろう。
経済指標は、本日は本邦から8月毎月勤労統計、同月家計調査、同月景気動向指数速報値が発表される。勤労統計の現金給与総額は前年比で1.5%増の予想、一方で消費支出は前年比で4.3%減の予想となっている。依然として給与がインフレ率に届かない反面、支出が抑えられる傾向が続きそうだ。
なお、他のアジア・オセアニア諸国からは市場が動意づくような経済指標などのイベントは予定されていない。しかしながら、株価動向に敏感なオセアニア通貨や原油先物価格が11カ月ぶりの水準まで下落していることで産油国通貨のカナダドルなどがアジア時間でも市場をけん引していることで、これらの通貨の値動きも注意深く見ておきたい。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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