海外市場では、一時148.53円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢となった。日米金融政策の方向性の違いから押し目買い意欲も旺盛で、3時前には149.49円付近まで持ち直した。ユーロドルは9月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が総合・コアともに予想を下回ったことを受けて、欧州中央銀行(ECB)が追加利上げに傾くとの観測が後退するとユーロ売りが出た。米長期金利が上昇に転じたことも相場の重しとなり、一時1.0564ドル付近まで下押しした。
早朝のドル円は、週末30日に米上下両院で「つなぎ予算」が可決されたことを受け、政府機関の一部閉鎖も回避されたことで、ドル買いが優勢となり、先週末の高値を上抜けている。もっとも、この後は時間外の米債市場動向を確かめる必要がありそうだ。
「つなぎ予算」の可決により、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが警告を発していた、米国の信用格付けの引き下げなどが回避されたことはドル買いの要因になる。一方で、政府機関の閉鎖が現実味を帯びていたことで、売っていた米債(利回り上昇)の巻き戻しにより、米金利低下のドル売りに反応する可能性もある。本日のドル円はこの両面をにらみながらの展開になると予想される。
政府機関の閉鎖回避は米国からの良いニュースではあったが、週末は悪いニュースも流れている。29日に行われた全米自動車労働組合(UAW)と自動車大手との交渉は合意には至らなかったことで、今月15日から行われているストライキは継続され、更に新たに約7000人がストライキに参加することになった。8月はストライキで約410万時間の労働時間が失われたが、ある試算ではストライキの長期化、拡大化となれば、四半期GDPが1.7%下がる可能性があるとされている。これまで独り勝ちだった米国市場が、ストライキの影響が深刻化した場合は「より高く、より長く」という米金融政策のシナリオに変化が生じることもあり警戒したい。
為替介入については、一部では先月末までは企業の中間期決算があったことで、大幅な為替の変動は混乱を招くため、介入を手控えたとの声があった。ドルが全面高という流れではあるものの、NZドル円は2015年以来、カナダドル円は2008年以来の円安水準を更新するなど、円の弱さは際立っている。ドル円も150円という節目の水準に接近していることもあり、依然として為替介入の警戒感は高い。なお、本日は日銀・企業短期経済観測調査(短観)が発表される。かつては本邦の経済指標等の中では最も相場を動意づかせたものだったが、ここ最近は短観で市場が反応することは少なくなっている。しかしながら、短観で発表される「事業計画の想定為替レート」には注目したい。6月調査では全規模・全産業の2023年度はドル円が132.43円、ユ-ロ円は140.11円だった。また、大規模・製造業はそれぞれ131.55円、139.02円だった。
本邦以外のオセアニア・アジアからは、本日は主だった経済指標などの発表予定はない。ただし、本日から中国市場は週末まで国慶節休場、香港市場も国慶節の翌日で本日は休場となっている。市場流動性が悪い中で、些細なニュースなどでも大きな動きをする可能性があることには要警戒となる。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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