9日のニューヨーク外国為替市場では、トランプ米大統領が「イランは昨夜、我々のヘリコプター1機を撃墜した。米国はこの攻撃に対し、やむを得ず対応しなければならない」と投稿したことで、原油先物の上昇とともにドル円は160.45円まで上昇した。ユーロドルは1.1578ドルまで上昇した後、1.1529ドル付近まで上値を切り下げた。
本日の東京外国為替市場のドル円は、引き続き中東情勢に関するヘッドラインや本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入に警戒していく展開が予想される。
トランプ米大統領は昨日、「非常に良い合意に向けた交渉が大詰めを迎えており、1-2日後には少なくとも見通しを得られる可能性がある」と楽観的な見解を語った。しかし一方で、ホルムズ海峡上空でイランが米軍ヘリを撃墜したことに対する報復を示唆していたが、先ほど米国東部時間17時にイランに対する自衛攻撃を開始したとのことである。
ドル円は、160円台半ばまで上昇して、4月30日の本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入が断行された際の高値160.72円に迫っており、本日も介入には警戒しておきたい。
2024年は、ゴールデンウィークの4月29日に高値160.17円を付けた後、為替介入が行われ151円台まで下落したものの、7月3日には161.95円まで切り返し、7月11・12日に介入が行われた。そして、31日の日銀金融政策決定会合での利上げとFOMC後にパウエルFRB議長(当時)が9月FOMCでの利下げを示唆したことで150円を割り込んでいった。
今年も、来週の日米の金融政策決定会合を控えて、ドル円が161円台を窺う展開となれば、為替介入の可能性が高まることになる。介入の原資としての5月末の外貨準備高は、証券が9317億ドル(@160円=149兆円)、預金が1622億ドル(@160円=26兆円)となっている。
昨日は、数回目となる「来週の日銀金融政策決定会合で、政策金利1.00%への引き上げ観測報道」が伝えられたものの、織り込み済みであり円買いへの反応は限定的だった。植田日銀総裁も、先日の講演で、「経済の下振れリスクに比べて物価の上振れリスクが高まると判断される場合には利上げの是非をしっかりと議論する」と述べており、金融政策見通しを反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では、0.25%の利上げはほぼ確実視されている。
注目ポイントは、「さらに年内に追加利上げの可能性もある」と報じられていることで、年内の利上げ回数やタカ派の委員が0.50%の利上げを主張する可能性となる。日銀が示唆している中立金利水準は1.10%-2.50%だが、1.00%に引き上げられても、依然として下限の1.10%にも届かないことで、ターミナルレート(政策金利の最終到達水準)は1.75%程度と見込まれている。
日銀の政策金利が1.75%だったのは、1993年9月頃から1995年3月あたりだが、当時の10年国債の利回りは3%から5%近辺となっていた。来週の植田日銀総裁の会見では、年内の利上げ回数やターミナルレートへの言及に注目することになる。
今夜発表される5月の米国CPIは前年比+4.2%と予想されている。米国ではインフレ率4%とガソリン価格1ガロン=4ドルは、政権維持のレッドラインと目されており、大統領選挙でガソリン価格2ドル未満を公約にしていたトランプ米大統領にとっては、14日の80歳の誕生日に向けて逆風が強まることになる。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
