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【市場概況】東京為替見通し=円安インフレ無策の与党、米圧力も重なり衆院選終了までは円安阻止か

先週末の海外市場でドル円は、植田和男日銀総裁の会見後「早期の利上げに慎重」と受け止められると買いが先行し一時159.23円まで値を上げたものの、一転下落し157.37円まで大きく下げた。その後158円半ばまで下げ渋ったが、NY市場に入ると再び売りが優勢となり一時155.63円まで値を下げた。米財務省の指示で米連邦準備理事会(FRB)が『レートチェック』を行った」との報道も伝わった。ユーロドルは、1.1834ドルまで強含んだ。

 本日の東京時間のドル円は上値が重くなると予想する。依然として高市政権の財政拡大に対する不信感から、円売り意欲は高いものの、先週末のドル円の急落に対する警戒感で円売りは一服となりそうだ。

 先週末のドル円は、レートチェックや為替介入のうわさもあり、159.23円から155.63円まで急落した。本日の早朝には下値を154.43円まで広げている。市場では水準的に160円に近づいていたことで、レートチェックなどの警戒感はある程度は想定されていた。また、市場は兼ねてから「政府・与党は2月8日の衆議院選挙が終わるまでは、与党にとってはこれ以上の円安は、インフレに対して無策と捉えられることを避けるためにも、円安進行は何としても食い止めるだろう」という政治的な動きも予想していた。すでに、ユーロやスイスフランに対して円は最安値を更新し、他のクロス円に対しても円安が進んでいたが、為替や金融に携わる者以外の多くの有権者は、対ドルでの円安以外は注目度が低く、ドル円の160円前に円安を阻止することは政治的な意義があったのだろう。

 ただ、市場の噂のように米連邦準備理事会(FRB)がレートチェックを行ったとなると、よりインパクトは大きくなる。先週、ベッセント米財務長官が「日本債券市場は6標準偏差=6σ(six standard deviation)の変動を記録」と発言した(6σは100万回の機会あたり3、4回以下の極めて稀なケースということ)。そして、本邦の債券売り(金利上昇)が米債売りにも波及していると責任を日本に押し付けている。先週の米債売りは、トランプ米大統領がグリーンランドの領有について明言したことによる米国売りの方が大きな一因だが、トランプ大統領同様にトランプ政権の要人は、自分たちの非を認めることは決してしない。日本政府にとっても、米政権の批判には強く反応するしかない。選挙・米国の圧力という国内外の要因が二つ重なり、円安の進行を選挙終了までは食い止めようとするのは納得のいく動きなのかもしれない。

 また選挙に関しては、野党・中道改革連合は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用益を食料品減税の財源に利用するだけでなく、資産の約半分がドル建てのこともあり、これを利用して円安対策を講じるとしている。さらに、同連合は新NISAの普及により、個人投資家が新NISAを活用した結果、投資先の多くがオルカン(全世界株式)などの海外投資が円安を加速させていることの懸念を表明するなど、円安対策は与党よりも積極的だった。

 その一方で、円安によるインフレ対策が乏しい与党は、食料品減税を後出しで選挙の公約に加えたこともあり、同じような公約を後追いで加えることはできず、限りある実弾を使ってでも衆院選挙の勝利のために、円安阻止に動く必要があるとの声がある。

 ただ、高市政権の財政政策に関して、市場の懸念が和らいではいないことで、円売りを遅れている市場参加者は、衆議院選終了に向けて中長期的に円売りを仕掛けてくることが予想される。

 財政政策について、高市首相は公約の「食料品の消費税2年間ゼロ」について、23日読売新聞のインタビューで、財源を国債発行に頼らず「税外収入に加え租税特別措置(租特)と補助金の見直し」と示している。しかしながら、選挙前の公約が翻されることは日常茶飯事なことで、国債発行をせずに補助金見直しを実行するかなどは定かではなく、市場が鵜呑みにすることはないだろう。さらに、財政拡大懸念は単年度のプライマリーバランス(PB)の黒字化を取り下げ、数年単位でバランスを確認する方針を示したことも材料視されている。数年単位に関しても「確認する」にとどめ、PBの黒字化を顧みない姿勢では円売り意欲が引かないだろう。
 
 さらに、これまで投資家が投機的に円売りポジションを増やしていたわけではない。23日に発表された1月20日付の商品先物取引委員会(CFTC)の円先物のみのポジション状況は、前週よりも小幅に円ショートが減少し、ネットの円ショートもさほど大きくはない。ポジションが円売りに大きく傾いていないことで、円が買いトレンドに戻るのも難しそうだ。


(松井)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ