FXブログ 今晶の「THE・為替記者!」

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中国、金融引き締め強化策に一歩

 中国が金融引き締め策の強化に一歩踏み出した。中国人民銀行(PBOC、中央銀行)は8日、市中金融機関から吸収する資金の割合をあらわす預金準備率を1%引き上げ、現行の制度下では過去最高の14.5%にすることを決めたと発表。25日から適用する。預金準備率の引き上げ自体は5カ月連続で、今年10回目だが、その幅は前回までの0.5%の2倍に拡大した。

 中国政府・共産党は前週開いた中央経済工作会議で来年の金融政策を協議。景気の過熱と物価上昇への警戒感を示すとともに引き締めスタンスへの移行を鮮明にした。預金準備率の変更は「中央経済工作会議の決定を受けた具体的措置」(PBOC声明)という。利上げに比べると実効性は乏しいとはいえ、11日の消費者物価指数(CPI)の発表を待たずに決めたところに当局の強い危機感と並々ならぬ決意がうかがえる。

 中国内では相変わらず株式や不動産への投資熱が高く、とりわけ大都市圏での「不動産バブル」が不安視されている。景気指標などでインフレ圧力が表面化してからでは対応が後手に回る公算も大きい。市場では「中国は物価高との戦いには時間がかかるという点をかなり意識しており、今後はフォワードルッキング(先取り型)の金融政策に傾きやすい」(アジア系証券のエコノミスト)との声が出ていた。

 半面、中国のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)には力強さともろさが同居している。性急な政策推進は景気の急減速のリスクと背中合わせだ。米住宅市場の動揺が世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念もくすぶる中、軟着陸のためには速度が必要になる一方でより慎重な運転が求められる。

 また中国の人民元改革は依然、「漸進主義」の旗を降ろしていない。輸出依存度の急低下が見込みづらい中、人民元の上昇ペース拡大を容認しないとすれば人民元売り・ドル買いの為替介入が継続。市場への資金供給を通じて引き締め効果が薄れてしまう。輸入物価が高止まりするようならインフレの要因にもなる。12―13日開催に北京で開かれる米中戦略経済対話では人民元も議題に上りそうだが、米政府にこの点を追及された場合、中国側は本音と建前の使い分けに相当に苦慮することになろう。(GI 今 晶)

2007年12月11日(火)14:26 個別ページ

マネー収縮、回転売買のかく乱度増す

 外国為替市場では信用収縮の長期化が意識されるとともに腰の据わったお金の流れが滞り気味。短期スタンスで回転売買を繰り返す参加者の影響度合いが高まっている。薄商いの中などで相場のかく乱要因になるケースが増えてきた。

 最近では株価連動の機械的取引が回転売買の代表格だ。8月以降の主要テーマであるサブプライム(信用力の低い個人)向け住宅ローン問題を基点とした信用不安は株式相場を通じて円の方向性を左右することが多いためだ。米国株を中心に株高傾向が鮮明になればマネー拡大を見込んで円売り、株安となれば円買いに傾く。「モデル系ファンド」と呼ばれる通常は複雑なコンピュータープログラムを組んで売買の好機を判断する投機筋の中にも便乗しているところがある。

 円買いの場合には金利差に逆らう格好になるため、長期の保有には向かない。持ち高が偏れば偏るほど振り子が元に戻るさいの勢いも強まる。ここ1―2カ月、方向感を決定づけるような相場材料が乏しいにもかかわらず値幅だけ広がるケースが見られるのはこのためだ。

 うわさに基づいた売り買いや通信社などの速報ニュースの見出しのみに反応する「ヘッドライン取引」でも短期資金が暗躍している。サブプライムローン関連事業で欧米金融機関の損失計上が相次ぎ、投資家のリスク回避志向や銀行同士の相互不信が広がる中、憶測やニュースへの感応度の高い状態が生まれやすいからだ。「ある大手銀が巨額の評価損が発生したことを近日中に明らかにする」といった出所不明のうわさが流れ、為替相場が右往左往することはこのところ日常茶飯事になっている。

 ある欧州系銀行の外為ディーラーは「2007年の決算期末に向けて収益積み増しが遅れている関係者が必死になっていることも一因」と解説する。欧米のクリスマス・年末休暇が迫り、ヘッジファンドなどが鳴りを潜める12月中旬以降はこうした不安定な地合いは収まるとの見立てだ。今年最後のビッグ・イベントである11日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)を終えた後は日本の長期運用型のボーナス資金などが徐々に動きだすとの読みもある。結果はいかに――。〔GI 今 晶〕

2007年12月 6日(木)12:38 個別ページ

原油高、いたるところで存在感

 外国為替市場では最近、相場の変動要因としての原油価格の存在感が増している。原油高は生産コストや消費者物価の上昇を通じて実体経済のいたるところに影響が及び、金融政策を判断するさいのよりどころの一つになるためだ。また、急膨張したオイルマネーに各国の金融市場が振り回される場面も目立つ。

 よくよく考えれば、原油高だけで即座に通貨の優劣を判断することは難しい。日本や中国といった石油の輸入依存度が高い国でも、潜在成長力やエネルギー効率の良さなどで「負の作用」を最小限に抑えることが可能だからだ。エコノミストの間では「先進国であれば実質国内総生産(GDP)の低下圧力にはほとんど違いがない」との声もある。そうなると為替は資源産出国の通貨など一部を除き、原油との連動性は債券相場や株価に比べると小さいはずだ。

 しかし、取引参加者はすべての事象に目配りしているわけではない。「テーマ」と呼ばれる関心事や主に手掛けられる通貨ペア(組み合わせ)の順位は一定の周期で変わり、ある材料への解釈も状況次第で一変することが少なくない。原油相場に対しても同じだ。

 例えば、足元では米景気や金利動向が最大の焦点。これに英欧のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)や金融政策が続く。石油製品の値段が上がることで不況がもたらされれば株式相場や通貨の下落につながる半面、金融当局がインフレ抑制目的の利上げに踏み切ればドルやユーロに買いが膨らむかもしれない。

 オイルマネーの動きも複雑だ。中東の湾岸諸国では現在、米ドル連動型の為替制度(ドル・ペッグ制)を採用しているが、高成長下で物価の上昇傾向が続いているだけに米ドル安や米利下げに同調することには抵抗がある。市場ではドル・ペッグ制の廃止予想が根強い。現実となれば外貨準備の機動的運用が可能になることから、米ドル建て資産の比率低下とともに米ドル安がさらに進み、ユーロや英ポンドなどが恩恵を受けやすいとも読める。

 半面、米ドルの基軸通貨性は依然として高い。投資対象としての魅力も健在。最近ではアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ投資庁(ADIA)が11月下旬、米最大手銀シティグループへの巨額出資を決めたことが記憶に新しい。UAEやサウジアラビアなどの親米国と米政権と距離を置く国との政治的駆け引きも激しくなりそうで、事態は混とんとしている。〔GI 今 晶〕

2007年12月 4日(火)11:21 個別ページ

ユーロ・ドル、大台目前で「気迷い」

 外国為替市場ではユーロの相場観に微妙な変化が生じている。従来と同様、米景気テーマのドル売りや日本の低金利を背景にした円売りの受け皿通貨としての存在感は高いものの、ここにきてユーロ圏のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を吟味し直す動きが出ている。対ドルでは1ユーロ=1.50ドルの大台乗せを目前にした「気迷い」というわけだ。

 ユーロの対ドル相場は23日のアジア市場で一時1ユーロ=1.49ドル台後半まで急伸した後、1.47―49ドル程度の範囲で上値が重い。最近のユーロ買いは薄商いのタイミングを狙った仕掛け的な取引が中心で、長期マネーは総じて様子見を決め込んでいる。「ユーロ圏経済がここからの通貨高進行に耐えられるのか確信が持てない」(日本の投資信託の外債担当者)といった声があった。

 ユーロ高は輸入物価の抑制を通じてインフレ圧力を緩和する半面、ドイツやフランス輸出企業の国際競争力をそぐ。度が過ぎれば景気にはマイナスだ。ドイツのIfo経済研究所が27日発表した11月の独企業景況感指数は前月比0.3ポイント高い104.2と市場予想に反して上昇したが、安心してばかりもいられない。

 通貨・金融当局の欧州中央銀行(ECB)もユーロの上昇ペースには神経をとがらせているようで、トリシェ総裁ら高官が「急激な相場変動は望ましくない」などと述べる機会が増えた。ユーロ高阻止の実力行使は日米などとの利害調整が難しい分、ハードルは高いが、口先介入が繰り返されればそれなりの効果はある。

 中国の人民元改革を巡る議論も徐々に進んでいる。28日まで訪中したユーログループのユンケル議長(ルクセンブルク首相兼財務相)とECBのトリシェ総裁、アルムニア欧州委員は中国の経済閣僚らと相次いで会談。為替相場の大幅な変動回避や国際収支の不均衡問題への対応目的で協力しあうほか、中国側は、人民元がユーロに対して一段と評価されるべきとする欧州連合(EU)の主張に理解を示したという。対ドルのみならずユーロに対しても人民元の上昇余地が生まれれば円などアジア通貨にも対ユーロで投機的な買いが入り、ユーロ・ドルの重しになりそうだ。

 ユーロ強気派が勢いを取り戻すためには、米国側の「失策」がさらに拡大するといった補強的材料がいくつか必要になろう。〔GI 今 晶〕

2007年11月29日(木)11:38 個別ページ

豪州、金融引き締め策に変化なし

 豪州では24日投開票の総選挙で野党労働党が勝ち、自由党・国民党の保守連合からの政権交代が11年ぶりに実現する。ハワード首相は自らの議席も失い、政界からの引退を表明。ハワード氏の後継者と目されていたコステロ財務相も同時に身を引くことになった。とはいえ経済政策に限れば劇的な転換は見込みづらい。金融市場への直接の影響は限定的だろう。

 労働党と保守連合の選挙公約で明確に異なるのは外交と環境政策。労働党のラッド党首は京都議定書の年内批准とイラク駐留豪軍の2008年半ばまでの一部撤退を主張している。外交面での「親米路線」は維持すると見られているものの、一定の距離は置く構えだ。米国のブッシュ政権にとっては痛手といえる。

 半面、景気対策では両勢力ともに300億豪ドル超の大型の減税案を掲げ、歳出拡大とのセットで需要喚起と成長持続を目指していた。資源価格の上昇と企業収益・税収の増加基調が続くとの楽観シナリオに基づいている点で大差はない。

 高成長下での積極財政には物価上昇の危険がつきまとう。豪準備銀行(RBA、中央銀行)が継続している引き締め的な政策スタンスとの矛盾は生じない。RBAは実際に7日、総選挙の結果を待たずに追加利上げを決定。政策金利を6.75%まで引き上げた。「与野党のどちらが政権をとっても影響は軽微」との達観が透けて見える。

 ある豪州系証券のエコノミストは「豪金融当局はむしろインフレへの危機感を一層強めたのではないか」と読む。12日発表になった四半期ごとの金融政策報告では、物価の上昇率見通しは従来の3.00%から3.25%と許容上限を超える水準まで高くなった。市場では、2008年中に最低一度は政策金利が引き上げられるとの予想が多数を占めるものの、財政面での消費刺激策が現実となった場合、一段の利上げ実施を織り込む必要がありそうだ。〔GI 今 晶〕

2007年11月27日(火)12:04 個別ページ

英ポンド、「利下げ接近」観測が重し

外国為替市場では米景気テーマのドル安傾向が強まっている。対円では世界株安に伴うマネー収縮の圧力も加わって下げ幅を拡大。21日に一時1ドル=108円20銭台と2005年6月以来の安値を付けた。一方、お金の目詰まりが進み過ぎればオセアニア諸国やカナダ、新興国といった従来の人気投資先の通貨も無傷ではいられない。金融セクターなどに不安要因を抱える英国のポンドも不利だ。

 イングランド銀行(BOE、英中央銀行)が21日発表した7―8日分の金融政策委員会(MPC)議事要旨によると、この会合では賛成7、反対2の賛成多数で政策の現状維持を決めた。反対に回ったのはギーブ副総裁とブランチフラワー委員で、ともに金利の引き下げを主張した。

 今回、景気慎重論者とされるロマックス副総裁が賛成票を投じたことは「サプライズ」だったが、これまで実体経済を楽観視してきたギーブ氏が利下げ派に転じたこともサプライズ。MPC内で信用収縮への対応に揺れている様子がうかがえる。市場では「来年初めの政策転換がメーンシナリオだが、来月12月会合で金利が引き下げられる可能性も十分にある」(英国系証券)との声が出ていた。

 BOEは既に14日、四半期ごとの物価報告(インフレリポート)の中で、2008年に最低一度は利下げに踏み切ることを示唆。成長のリスクバランスは下向きとの見解を表明している。景気の下振れ懸念は11月のMPC議事要旨にも記されていた。これらがBOE高官の共通認識になりつつあるとすればあとはタイミングだけの問題だ。

 金利低下は他の国と歩調を合わせていれば影響は小さいが、単独で起これば通貨には下落圧力がかかる。日本のように絶対的な利回り水準が低い国の通貨に対しても、政策の「方向性」を重視する投機筋などが仕掛け的な英ポンド売りに動く公算がある。マネーのリスク回避志向が継続するようなら対ドルでもポンドの出遅れ感が生じかねない。

 ある欧州系銀行の外為ディーラーは「仮に利下げが実施された場合、外貨準備に絡んだお金がどう流れるかがポイント」と話す。ポンドはドルとユーロに次いで基軸通貨性があり、各国政府・中銀の「ドル離れ」が進行すれば恩恵を受けることが本来、多いはず。しかし、金利面での魅力が薄れて迂回(うかい)してしまったら――。ポンドの低迷は案外長引くかもしれない。〔GI 今 晶〕

2007年11月22日(木)14:15 個別ページ

ドル安、国際金融「パラダイム転換」促す

 国際社会では産油国中心にドル安進行への危機感が強まっている。ドルは現在でも貿易時の主要な決済通貨。各国の外貨準備に占める比率も高いだけに、このまま放置すれば受け取った輸出代金やドル資産の価値が目減りしてしまう。ドル連動型の通貨制度(ドル・ペッグ制)の見直しを含めた金融の枠組み転換が現実味を帯びつつある。

 石油輸出国機構(OPEC)は18日まで開いた首脳会議で、原油の安定供給を確約する趣旨の文言などを盛り込んだ「リヤド宣言」を採択。為替相場への踏み込んだ言及はなかったものの「財務相や石油・エネルギー相が通貨的に協力する仕組みを研究する」と記述することでドル安対応策を必要に応じて協議する可能性を示唆した。実際、OPECは12月5日に開催される次回総会の前に財務相会合を開く方向で調整に入ったという。

 18日のOPEC首脳会議ではイランとベネズエラがドル安への懸念を明言したとみられる。原油価格をユーロなどドル以外の通貨を交えたバスケットに連動する方式に改めることも提案したもようだ。両国とも米国との関係が微妙な段階にあるため「親米派」のサウジアラビアやUAEとの温度差は大きいが、相容れないわけではない。

 英ロイター通信は19日、UAE連邦協議会のアルグレア議長が「湾岸諸国はペッグ制の維持が重要かどうか再検討すべき時期が来た」と述べたと報道。既にUAE中央銀行のアル・スワイディ総裁が13日、東京都内での講演で「ドル・ペッグ制は岐路に立っている」と語っていたことから真実味をもって受け止められた。サウジの要人からもカタール、バーレーンやUAEとともに制度変更を検討することに前向きと解釈可能な発言が伝わっており、「ドル離れ」自体は後戻りできない状況になったようにも映る。そうなるとあとはやり方だけの問題だ。

 ポイントは二つ。一つは原油相場の動向だ。エネルギー価格の上昇はお得意先の欧米、アジア諸国の景気を冷やしかねない半面、ドル安のマイナス分を補える。

 もう一つはドル依存度の低下ペース。急ぎ過ぎれば投機的なドル売りを巻き込んでドルの一段安を招き、大量のドル建て資産を保有する国は大打撃を被る。どうやら最近の中国と同様、外部環境をにらみながら「漸進的改革」の旗を掲げ続けることが軟着陸のカギを握りそうだ。〔GI 今 晶〕

2007年11月20日(火)14:10 個別ページ

英中銀、物価・景気にらみ微妙な判断

 日米欧各国では金融政策の難易度が増している。米住宅市場発の信用収縮が実体経済にどの程度飛び火するかが読みづらいうえ、米以外の国では最近の米ドル安・自国通貨高の悪影響が懸念される。半面、商品相場の先高観が崩れていないだけに、インフレへの目配りも不可欠だ。中でも英国は米国並みに金融セクターに不安要因があり、利下げが現実味を帯びているだけに当局の悩みは尽きない。

 イングランド銀行(BOE、英中央銀行)は14日公表した四半期ごとの物価報告(インフレリポート)で、2008年1―3月期に政策金利を0.25%引き下げることを前提にした見通しを披露した。08年の消費者物価指数(CPI)の前年比伸び率は目標値の2%を上回る公算が大きいとしながらも「リスクは釣り合っている」という。一方、景気には下振れリスクがあると指摘。08年7―12月期の想定金利は5.3%、09年初頭は5.2%程度としており、0.25%の追加利下げあるいは市場での金利引き下げ観測の拡大を念頭に置いていることがわかる。

 BOEは10月開催の金融政策委員会(MPC)で利下げの是非を真剣に議論しており、エコノミストの間では既に緩和策への転換が意識されていた。今回のインフレリポートに「サプライズ」は薄い。

 しかも英中銀はフォワードルッキング(先読み)型の政策運営を標榜(ひょうぼう)している。06年8月以降、物価上昇を抑える目的で実施してきた利上げも先読み型の様相が濃い。米国のサブプライム(信用力の低い個人)向け住宅ローンの長期化予測が再燃する中、経済の失速を先取りする形での金利変更は自然ともいえる。

 とはいえ、MPC委員の中には「エネルギー価格の高止まり傾向が続けばインフレの脅威にさらされる恐れもある」(ビーン理事やバーカー委員)といった意見も根強い。13日発表された10月の英CPIが前年同月比2.1%だったこともあり、外国為替市場などでは利下げ開始が08年半ば以降にずれ込むとの声が出ていた。現時点でも参加者の一部はBOEの展望に半信半疑だ。

 ある機関投資家のユーロ圏・英国債担当者は「結局はクリスマス・年末商戦の見込みいかんではないか」と話す。12月にかけて原油高の基調が持続したとしても、それが消費低迷をもたらすようなら物価は上がらない。景気慎重論の下での「フォワードルッキング」であれば12月の金利変更の芽もある。〔GI 今 晶〕

2007年11月15日(木)08:41 個別ページ

年末までの円相場、市場関係者に聞く

 外国為替市場では、株価が不安定になる中でマネーのリスク許容度が下がり、原資である円への資金還流が進行している。ドルの対円相場は米景気テーマのドル安の流れにも乗った。12日の欧州市場では一時1ドル=109円10銭台と2006年5月17日以来の円高・ドル安水準を付ける場面があった。この傾向はどこまで続くのか。

 グローバルインフォ株式会社が市場関係者7氏に聞いたところ、ドル・円の下値模索はなおも続くとの見方で一致。半面、米経済への懸念は日本の「金利正常化」の先送りにつながりかねないことなどから、円が一方的に買い進まれる地合いにはならないとの声も多い。以下に各氏の見解をまとめた。(GI 今 晶)


◎酒匂隆雄・酒匂エフエックス・アドバイザリー代表
・ドル・円の下値メドと到達時期
年末までに1ドル=102円程度
・年末年始にかけての見通し
米国のサブプライム(信用力の低い個人)向け住宅ローン市場を取り巻く環境がいっこうに好転せず、ドルのみならず米株価にも逆風が強まる中、これまでの円安・ドル安・その他の通貨高の構図が崩れた。対ドルで出遅れ気味だった円には上昇の余地が大きい。 一方、欧州経済にも国際金融市場の混乱などの影響でピークアウト感があり、対ドルでのユーロ高のピッチは鈍りそう。結果的にユーロの対円相場には下落圧力がかかり、年末にかけて1ユーロ=151円台後半まで売り込まれる公算もある。


◎塩入稔・三菱UFJ証券クレジット市場部為替課長
・ドル・円の下値メドと到達時期
12月中旬ごろに1ドル=106円程度
・年末年始にかけての見通し
継続的な米利下げ観測を背景に日米金利差が縮小傾向にあり、教科書的な円高・ドル安の流れが生じやすい。根底には米国のサブプライムローンを巡るゴタゴタがある。住宅問題は米国内の出来事にはとどまらないため、今後はユーロ圏景気にも弱気な見方が出そうで、ユーロの対ドル相場の上昇ペースは鈍化。ユーロ・円は1ユーロ=154円程度まで調整してもおかしくはない。


◎藤田賢一郎・あおぞら銀行市場営業部部長代理
・ドル・円の下値メドと到達時期
12月始めにも1ドル=106円50銭程度
・年末年始にかけての見通し
米住宅ローン問題に絡んで金融機関の体力が下がり、米実体経済への悪影響の波及が不安視される中、中東・中国の政府・中央銀行のドル離れ予想も加わってドル売りが進みやすい状況。また、欧米勢の12月の決算期末に向けた資産圧縮の機運が高まれば元手になっている円には買い戻しが膨らむだろう。とはいえ日本の金利水準は低いままであり、日本の投資家からの外貨需要は根強い。マネー収縮と円の独歩高進行はあくまでもサブシナリオだ。


◎高島修・三菱東京UFJ銀行チーフアナリスト
・ドル・円の下値メドと到達時期
当面のターゲットは1ドル=108円前後
・年末年始にかけての見通し
金利正常化のプロセスが遅れている日本の円は本来、中国の外貨準備の多様化予測などに基づいたドル売りの受け皿通貨にはなりづらい。ただドル安の底流には米株安に象徴される米金融市場の動揺がある。マネーの目詰まりが同時に起こっているというわけだ。そうなると経常赤字の穴埋めを海外資金に頼っている米国のドルは不利で、経常黒字国の通貨の円やスイスフランは買われやすい。円はしばらくはユーロなどとの比較での出遅れ感解消に向けて上げ幅を広げると見るべきだろう。

 来年末にかけて想定していた円のレンジ上限を従来の1ドル=105円程度から上方修正することを検討すべきかもしれない。


◎牟田誠一朗・UBS銀行東京支店外国為替部ディレクター
・ドル・円の下値メドと到達時期
11月中に1ドル=108円程度
・年末年始にかけての見通し
サブプライムローン問題を発端とした「ドル離れ」が対円にも及んだ。また、貿易などに絡んだ「実需」の需給バランスはもともと円買い・ドル売り方向に傾いている。ただ、海外の決算期末に当たる年末にかけては投機資金の動きが弱まるため、ドル売りの主な対象になるユーロに比べると円の上値は重くなろう。ユーロ・ドルは年末までに1ユーロ=1.50ドル台に乗せる公算があるものの、ドルの対円相場は1ドル=110円台まで値を戻して一年を終えると見ている。


◎角田秀三・東京都民銀行外為業務部シニア外為アドバイザー
・ドル・円の下値メドと到達時期
11月中に1ドル=108円97銭、108円75銭の重要ポイントを探る
・年末年始にかけての見通し
米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が8日の議会証言で米景気の減速見通しを改めて示す半面、欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁がユーロ高をけん制したことで、ドル売りの矛先がこのところ出遅れていた円に向かった。ドル以外の通貨が下落したことも巡り巡ってドルの対円相場への売りを誘った。しかし円独自の買い材料には依然として乏しく、対ユーロに比べると円に対してのドルの下値余地は限定的だろう。年末にかけては1ドル=108―115円程度のレンジに収れんすると読んでいる。


◎藤田規之・トレイダーズ投資顧問取締役
・ドル・円の下値メドと到達時期
当面は108円前後への下落も
・年末年始にかけての見通し

サブプライム懸念がFRB議長の8日の議会証言で増幅され、決算期末に絡んだ円キャリー取引(借り入れた円を原資にした高金利通貨などでの運用)の持ち高整理の背中を押した。日本の輸出企業や機関投資家が円高方向への為替差損回避(ヘッジ、先物での円買い)に傾斜すれば円買いの厚みが増すことになろう。

それでもドル・円が大きく売り込まれることは考えづらい。金利面での日米格差に加え、サブプライムローンは証券化商品や米経済の成長失速を通じて世界各国に影響を及ぼすからだ。ユーロは基軸通貨性がある分だけ高止まりしそうだが、円の「伸びしろ」は小さいはずだ。

2007年11月13日(火)08:25 個別ページ

スイス経済、「ドル安」の影響は

 外国為替市場では、米景気の先行き不透明感や各国政府・中央銀行の「ドル離れ」観測を背景にしたドル安傾向が一層強まっている。ドル売りの主な受け皿になっている欧州やカナダ、オセアニアの通貨は軒並み記録的な高値圏まで上昇。原油高などに伴うインフレ圧力を抑える効果がある半面、自国の輸出産業への悪影響も無視できない情勢だ。2007年半ばにかけて通貨高を志向してきたスイスを取り巻く環境はどうだろうか。

 スイスフランの対ドル相場は7日序盤のニューヨーク市場で一時1ドル=1.12スイスフラン台半ばと2004年12月初め以来のドル安・スイスフラン高水準を付けた。ユーロやカナダドルが過去最高値を連日更新していることなどに比べれば出遅れ感があるとはいえ、スイスは政策金利である3カ月物の銀行間取引金利の誘導目標中心値が8日時点で2.75%と先進国中では依然、下から2番目に低い水準だ。ライバルがひしめく中でのスイスフランの「健闘」は光る。ドル安基調の定着を象徴する出来事といえるかもしれない。  また、中東情勢などがきな臭さを増す中、スイスフランには「有事に強い通貨」としての需要もある。スイスは実際にはこのところ独立色が弱まっているものの、「オイルマネーや伝統的富裕層には相変わらず人気がある」という。

 スイス国立銀行(SNB、中央銀行)は8月のマネー収縮の余熱さめやらぬ9月13日に利上げを実施した後、しばらく静観の構えだったが、9月下旬になると過度のスイスフラン高へのけん制発言が出始めた。米住宅市場の混乱はスイス系金融機関の業績悪化にもつながっており、米景気の減速は「対岸の火事」ではないからだ。隣接するユーロ圏などと同様、金融・通貨政策は物価と景気の間で微妙なさじ加減が求められる。

 経済協力開発機構(OECD)は6日、スイスに関する報告の中で「スイスフラン高が対ユーロでも進むようだと輸出依存型の経済には打撃となる」と指摘。SNBに対して信用リスク問題への配慮と追加引き締めへの慎重姿勢をとるよう求めた。OECDによるスイスの成長率見通しは2007年が上方修正される一方、08年は若干引き下げられた。「金融政策で追い討ちをかけないように」というわけだ。〔GI 今 晶〕

2007年11月 8日(木)13:46 個別ページ
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