FXブログ 今晶の「THE・為替記者!」


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豪ドル、マネー復活の試金石に

 外国為替市場ではオーストラリア(豪)ドルへの強気ムードが持続している。日米欧と豪州の景況感・金利格差が拡大したうえ、国際投資家のリスク回避志向が緩和しつつあるためだ。今後のマネー復活の度合いを占う試金石にもなろう。
 豪ドルの対米ドル相場は日本の26日朝方の時点で1豪ドル=0.92米ドル台後半と2007年11月9日以来の高値圏で上値を試している。豪経済は信用収縮や米景気失速の影響をあまり受けておらず、最近の貴金属相場の上昇傾向もプラスに働くことから豪準備銀行(中央銀行)は物価抑制目的の利上げを続けるとの予想が多い。同じ資源産出国でも米国との連動性が意識されるカナダとは状況が異なる。「豪ドルに死角乏しい」とみる投機筋などが積極的な買いに傾いた。
 足元では豪州よりも政策金利が高い隣国ニュージーランド(NZ)のドルも人気だが、NZは産業基盤などでやや見劣りするだけに最終的には豪有利との声が出ていた。
 米商品先物取引委員会(CFTC)が毎週まとめているシカゴ通貨先物市場の建玉報告でも投機的な豪ドルの対米ドルでの買い持ち高は増加基調だ。
 しかも商品市場は現在、リスク選好資金の流れが最も活発と見られている。ヘッジファンドらが鉄鉱石投資などで得た利益を豪ドル建て資産に振り向ける構図も生まれやすい。
 また、利息重視派の行動パターンの変化も豪ドルの追い風になる公算が大きい。金融緩和の局面にある米国や英国を筆頭に、ユーロ圏などで将来のインフレ(金利上昇で長期国債相場は下落)への警戒感が広がっているからだ。年金や生命保険といった保守的な運用スタンスをとる参加者は短めの期間での取引に移行するため「豪ドルなど短期金利が高水準の国の通貨にお金が集まる」(三菱東京UFJ銀行の高島修チーフアナリスト)。
 ある商品投資顧問(CTA)関係者は「資源価格や豪ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が世界景気の減速で打撃を被る可能性は依然、残存している」と前置きしたうえで「それでも豪ドル優位との意見に賛成したい」と語った。教科書的な通貨の買い材料に抗うにはそれなりの条件が要る。豪ドルの「賞味期限」が延びたことは間違いなさそうだ。〔GI 今 晶〕

2008年2月26日(火)11:34 個別ページ

英中銀、「硬軟使い分け」当分継続

 英国では金融環境や景気の先行き不透明感が依然として強い。中堅銀ノーザン・ロックは一時国有化に追い込まれ、中銀イングランド銀行(BOE)は同行向け緊急融資の回収のメドがたたない状態だ。本来は積極緩和策に打って出てもよさそうなものだが、足元では原油価格の上昇傾向が再燃。不況下のインフレリスクも意識されるだけに、声高に利下げをとなえるわけにもいかない。
 英政策金利は21日時点で5.25%。6—7日開催の金融政策委員会(MPC)で0.25%下がった。しかし、利下げ先行国の米国の3.00%を2.25%も上回り、カナダやユーロ圏(いずれも4.00%)といった今後の金利引き下げ観測が浮上している経済圏よりも高い。いわゆるG7では最高水準だ。「のりしろ」が十分にあるにもかかわらず、英消費者物価の前年同月比での伸び率が高止まりしている点にもある程度配慮せざるを得ないところにかじ取りの難しさがある。
 20日発表になった2月のMPC議事要旨によると、採決は賛成8・反対1の賛成多数。反対に回ったのはブランチフラワー委員で、金利の引き下げ幅を0.50%にすべきだと主張した。結果だけ見れば追加緩和へのハードルは低そうで、英株式市場では景気浮揚を期待するムードが広がったものの事はそう単純ではない。
 MPC内で「中立派」とされるバーカー委員は19日の講演で、英経済の行方について「インフレよりも景気下振れのリスクの方が大きいと個人的には最も懸念している」と述べながらも「不動産以外の(消費などの)セクターで減速が顕在化していないことなどから利下げが差し迫っているとは考えていない」と発言。次の一手に言質をとらせなかった。
 バーカー氏のコメントの中には「リスク」という言葉が何度も出てくる。目配りは実体経済と物価のどちらに傾き過ぎても危うい——。歯切れの悪い物言いがBOEの悩みを象徴しているようだ。〔GI 今 晶〕

2008年2月21日(木)14:12 個別ページ

「買わないリスク」も軍資金次第

 各国の株式市場ではリスク回避と資産圧縮の圧力が緩和傾向。欧米政府・金融当局の機動的な政策対応への期待もあって「買わないリスク」への意識が高まっている。半面、これまでに失われたお金はすぐには戻らない。信用市場の本格的な機能回復を待たずに株価が復活するとのシナリオにはやや無理がある。
 前週末15日のシカゴ・オプション市場(CBOE)で、S&P500種株価指数オプションの値動きに基づく変動性指数(VIX、通称恐怖指数)は25.02と前の週8日の28.01から約10.7%低下。ダウ工業株30種平均ベースのVXDもつられて低くなった。現物株相場が多少下がってもさほど動じてはいない様子がうかがえる。とはいえ、市場では「恐怖感の後退は売れる株は大方売り尽くしたということを示唆しているに過ぎない」(米国系証券)との冷めた空気も濃い。
 米財務省が15日発表した2007年12月の国際資本統計(対米証券投資動向)で、米居住者と外国人との長期の証券取引は売り買いの差し引きで565億ドル程度の米国への資金流入超。同月の貿易赤字額の約588億ドルに若干及ばなかった。米国株の買越額が前月の7倍前後に急増した一方、米中長期国債や政府機関債の需要が落ち込んだためで、米株式相場の一時持ち直しにもかかわらずマネーの減少には歯止めがかからなかったことがわかる。12月は中旬にかけ外国為替市場でドル高が進んだものの、米国勢の対外資産引き揚げに伴うものだったようだ。
 08年1月は信用収縮と株安の流れが拡大。昨年12月以上に市場参加者の投資余力は細った公算がある。米国に限れば米連邦準備理事会(FRB)が1.25%もの積極利下げに踏み切った分、安全志向の強い資金が短期国債などに流れ込んだとの読みも可能だが「結局は世界全体で限られたパイを奪い合っただけだろう」(欧州系証券の営業担当者)。日本の財務省統計によると1月中の外国人の日本株売却は1兆5000億円近かった。
 株式相場は数カ月先の経済情勢を織り込みながら動くとも言われる。米金融緩和などがいずれ効果をあらわすと判断されれば底入れも近いはず。しかし、それも軍資金あってこそだ。市場環境が一朝一夕に好転することはない。(GI 今 晶)

2008年2月19日(火)16:05 個別ページ

英中銀、「漸進的利下げ」姿勢継続か

英国では金融政策の微妙な手綱さばきが引き続き求められている。住宅市場の本格回復のメドが依然としてたたない半面、物価の上昇圧力がくすぶっているためだ。個人消費などを適度に刺激しながらの「漸進的利下げ」スタンスが当分継続しそうな雲行きだ。
 英住宅セクターでは供給減を需要の減少ペースが上回る傾向が強まったとみられる。英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)が13日公表した1月までの直近3カ月の住宅価格指数はマイナス54.7と前回2007年10—12月のマイナス49.1から一段と低下。記録的な低水準になった。RICSによると「銀行がローンの審査基準を厳格化したために値下がりした住宅を買おうとしても買えないケースが多い」という。結果的に在庫も増えているらしい。
 一方、12日発表になった1月の英消費者物価指数(CPI、欧州連合基準を採用していることからHICPとも呼ぶ)は前月比では0.7%低下したものの、前年同月比では2.2%上昇。英中銀イングランド銀行(BOE)の目標値である2.0%を超えている。また、次回2月からは1月のエネルギー価格の値上げ分が反映される見込み。現時点で目標上限の3.0%まではまだ余裕があるとはいえ、政策金利の引き下げに「前のめり」になることは難しい。
 実際、BOEは13日明らかにした四半期ごとの物価報告(インフレリポート)で景気急減速の見通しを示しつつも「市場の金利予測にしたがえばインフレ率は目標の2%を上回るだろう」と大幅利下げへの懸念を表明。外国為替市場での英ポンドの買い戻し加速につながった。この日発表になった1月の英雇用統計で失業保険の申請件数が急減するなど足元の労働環境の底堅さも重ね合わせれば、英金融緩和は緩やかなペースにとどまると読むのが自然だろう。
 住宅問題の「震源地」である米国では昨年夏以降、米連邦準備理事会(FRB)がしばらく物価にらみの葛藤を続けたが、結局、対応が後手に回ったとの批判を受けながら積極緩和の姿勢に転換した。英国では米信用収縮などとの類似性が意識される。米経済の復活度合いにもよるが、BOEが同じ轍(てつ)を踏む可能性がゼロとは言い切れない。〔GI 今 晶〕

2008年2月14日(木)14:46 個別ページ

米長期債、「悪い利回り上昇」やや警戒

米国債市場では前週、30年物国債の入札結果を巡りさざ波がたった。応札倍率が前回を上回ったにもかかわらず落札利回りは入札前取引よりも高かったためだ。2007年9月以降の大幅な金利引き下げで将来の物価上昇が意識されている。外国為替市場では中東・アジア諸国などのドル資産離れにつながりかねないとの読みも出ていた。
 米財務省が7日実施した30年物国債入札の応札倍率は1.82倍と前回07年8月の1.57倍を超えた一方、落札利回りは4.449%と締め切り直前の入札前取引の利回り(4.40%台)よりも上がった。しかも参加者別の落札額では海外の中央銀行や大手機関投資家が含まれる「顧客の応札」の割合が10.7%と前回の12.1%よりも低い。米国が経常・財政赤字の穴埋めを国外マネーに頼っている現状からは「低調」と評価せざるを得ない内容だ。
 米連邦準備理事会(FRB)は08年1月末までに2.25%もの積極利下げを実施。今後しばらくは緩和スタンスを維持する見通しだ。短期のゾーンでは市場金利や国債利回りの低下要因だが、効果が出始めれば経済立ち直りとインフレの流れが生まれる。超長期の30年債相場への悪影響は避けられない。足元の購入見送りはそれを先取りした動きというわけだ。
 仮に景気低迷期が長引いたとしても、エネルギー価格などの急激な調整が見込みづらい現状では不況と物価高が同時に進む「スタグフレーション」のリスクがある。そうなると長期債相場は結局売られる(利回りは上昇する)ことになる。
 一見、利息収入の積み上げを重視する資金には悪い話ではないようにも映るが、インフレは教科書的には通貨安を伴う。途中で換金の必要が生じた場合には債券の売却損と為替差損の双方を被りかねない。生命保険や年金、各国政府の外貨準備といった保守的な運用姿勢をとる参加者には悩ましいところだ。
 また、期間が長めの債券になればなるほどこうした「保守層」の比率は高まる。ヘッジファンドや個人投資家などは数十年単位でのポートフォリオの構築は事実上不可能だからだ。30年物国債が微妙な状況にあることは確かだろう。(GI 今 晶)

2008年2月12日(火)12:12 個別ページ

FRB、「タカ派」高官の景気懸念

米国では金融政策への不安と期待が交錯している。1月に1.25%もの大幅利下げを断行した点を評価する声がある一方、住宅市場などでは対応が後手に回ったとの恨み節も聞かれる。効果がある程度明らかになるまでは米連邦準備理事会(FRB)関係者も気の休まる暇がなさそうだ。
 米リッチモンド連銀のラッカー総裁は5日の講演で、米景気の今後について「可能性が最も高いのは減速だと思うが、緩やかなリセッション(後退)入りも想定している」などと発言。「一段の金融緩和が結局は正当化されるかもしれない」とも述べた。ラッカー氏は米連邦公開市場委員会(FOMC)での投票権があった2006年後半、政策金利の据え置き提案に利上げを主張して譲らず、反対に回った筋金入りの「タカ派」(経済への強気論者)だ。FRB内部での危機感は相当大きいように映る。
 おりしも5日は米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した1月の非製造業景気指数が41.9と昨年12月の54.4から急低下。1月から算出が始まった非製造業指数(NMI)も44.6とさえず、ともに好不況の境目とされる50を下回った。個人消費との連想が働きやすい分野だけに市場では「FRBは次回3月18日のFOMCを待たずに予防的な追加措置に踏み切る公算がある」(米系証券)といった読みが出ていた。
ラッカー総裁は6日の講演ではインフレ警戒色の濃いトーンにやや軌道修正したが、それでも言い回しは微妙なままだった。
 現在のFOMCメンバーでは、ダラス連銀のフィッシャー総裁が1月29—30日の会合で政策の現状維持を主張。臨時緩和策が検討されれば再び反対票を投じてもおかしくはない。またフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁が6日の講演で、物価にも目配りする姿勢を示した。ただ、いずれにせよ経済情勢の変化の度合い次第だろう。
 FRBのバーナンキ議長は14日、米上院銀行住宅都市委員会で経済・金融問題について証言すると伝わった。委員会にはポールソン米財務長官も出席する予定という。バーナンキ議長はその後、27—28日に半期に一度の議会証言に臨む見通し。米金融当局の「次の一手」が判明するかが米株式相場や為替の行方を占ううえで重要なポイントになろう。〔GI 今 晶〕

2008年2月 7日(木)11:44 個別ページ

英中銀、「既定路線」の利下げ実施へ

英中銀イングランド銀行(BOE)は6—7日に金融政策委員会(MPC)を開く。英住宅市場や信用収縮への不安がくすぶる中、市場では政策金利が現行の5.50%から引き下げられるとの予想が多い。利下げ実施となれば昨年12月以来。外国為替市場では利息収入の積み上げを狙うタイプの投資資金の萎縮(いしゅく)を通じて英ポンド安要因になりそうだ。
 BOEのキング総裁とセンタンスMPC委員は前週にかけ、5.50%の金利水準が個人消費などに悪影響を及ぼしているとの趣旨の見解を相次いで表明。物価重視派とされる両氏の「支持」を得たことで追加緩和の舞台は整った。
 ポイントは金利の引き下げ幅と会合後のBOE声明だ。米金融当局は1月だけで1.25%の利下げに踏み切ったが、英国が同調する可能性は極めて低い。通貨安加速に伴う輸入品の価格押し上げも意識される。下手に積極緩和策が議題に上ろうものならキング総裁らの反発は必至で、議論の行方次第では0.25%の変更すら僅差での決定になったり、声明がインフレ警戒色の濃い内容になったりしかねない。
 英紙タイムズがとりまとめ役となり、英経済問題研究所が協賛して開催する有識者会議「影のMPC」は賛成5・反対4でからくも0.25%の利下げを決めたという。物価にらみでのジレンマは相当に強いというわけだ。
 それでも英景気が金利面での刺激策なしに立ち直る事態は想定しづらい。2007年11—12月ごろから米国との類似性が一段と高まっているためだ。政策の効果があらわれるまで時間がかかる点なども考慮すると「米経済が短期間で劇的に復活しない限りは英金融緩和の局面も続くことになる」(英国系証券のエコノミスト)。
 一連の方程式を解くと、英中銀は緩和スタンスを維持しながらも追加措置のペースは抑えるというのが「解」になる。落としどころはどこか——。まずは、13日に公表される四半期ごとの物価報告(インフレリポート)での最新データ・シナリオに基づいた成長率見通しなどがポンドの下値余地を占ううえでも重要なヒントになりそうだ。〔GI 今 晶〕

2008年2月 5日(火)12:17 個別ページ

中東湾岸諸国、再び難題に直面

中東の湾岸諸国では金融・為替政策のかじ取りの難易度が再び高まってきた。多くの国で米ドル連動型の通貨制度(ドル・ペッグ制)を採用しており、米金利動向に左右されることが少なくない半面、景気減速下の米国とはファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の方向性が異なる。下手に追随すればインフレに苦しみかねない。
 米連邦準備理事会(FRB)は30日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.50%引き下げて3.00%にすることを決めた。利下げは22日の臨時会合での決定に続いて今月2度目で、昨年9月以降の低下幅は2.25%に達する。FRBは声明で一段の追加措置の可能性にも言及。景気後退を何とか食い止めたいとの強い決意がうかがえる。
 一方、中東産油国はここ数年の原油高の恩恵を受けており、好況がもたらす物価の上昇圧力が鮮明になっている。本来、金融緩和策は必要としていない。今後、世界経済が減速する事態になれば悪影響が及ぶと見られるものの、市場では「タイムラグが生じることから当面はインフレへの警戒姿勢を解けそうにない」(欧州系銀行)。制度維持のためには相当に工夫が要る。
 幸い、現在はオイルマネーが市中にあふれており、金融当局がスタンスを多少緩和寄りに変えたところで感応度は上がりそうにない。為替相場への波及効果も限られるはず。ある程度の金利引き下げで体裁を保ったうえ、他の分野で引き締め策を同時に進めることも可能だ。実際にバーレーンは前週、0.75%の米緊急利下げへの追随幅を0.50%にとどめ、預金準備率は逆に2%引き上げたと伝わった。
 そもそも、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などペルシャ湾岸諸国は湾岸協力会議(GCC)を設立して協調体制をつくりながらも常に足並みがそろっているわけではない。クウェートは07年5月、ドル・ペッグ制から通貨バスケットに連動する方式に改めたほか、GCCには現在もイエメンとイラン、イラクが非加盟だ。親米のサウジやUAEといった域内の大国次第だが、枠組み転換への障害はあまり存在しない。2008年も各国の動向から目が離せない。〔GI 今 晶〕

2008年1月31日(木)12:54 個別ページ

国際金融市場、続く緊張・疑心暗鬼

国際金融市場では信用収縮の帰すうを見定めることが一層困難になっている。仏大手銀ソシエテ・ジェネラルで株先物の不正取引が発覚した前週以降、金融機関の相互不信が再びかま首をもたげ始めたからだ。短期市場では各国の中央銀行の目が光っているだけに影響は限られそうだが、住宅ローン担保証券(RMBS)取引などでの投資家の慎重姿勢は強い。
 世界株安が加速した22日。シカゴ・オプション市場(CBOE)でS&P500種株価指数オプションの値動きに基づいて算出される変動性指数(VIX、通称恐怖指数)は一時37.57と前営業日18日の清算値の27.18から10ポイント以上も跳ね上がった。8月のマネー収縮時の「瞬間最大風速」である37.50よりも高い。その激しさゆえに「株式相場はようやくセリングクライマックス(売りの最終局面)を迎えた」との声が出たほどだ。
 また米連邦準備理事会(FRB)がこの日、0.75%の大幅な緊急利下げに踏み切ったことや、21—22日の株式売りがどうやら仏ソシエテの持ち高解消に伴う特殊売買だったと判明したことも市場心理の沈静化に一役買った。
 しかし、事はそう単純ではない。ソシエテ・ジェネラルでの不正行為はかつての米会計問題と同様、企業のリスク管理体制への信頼を損ないかねないものだ。銀行や証券会社の関係者の間では「事件は『氷山の一角』ではないか」との疑念が消えない。株式への売りや対円での外貨売りが膨らむと疑心暗鬼が生じてしまうようだ。8月の資産担保コマーシャルペーパー(CP)市場で、SIV(ストラクチャード・インベストメント・ビークル)などそれまで規制が緩かった発行体に不信感が募っていったのと構図は似ている。
 お金の目詰まりがこのまま解消しなければどうなるか。足元では短期スタンスの回転売買の比率が上昇するため、一方的な相場変動は起こりづらい。例えば外国為替市場では投機的な円の買い持ちが膨張しており、反動のエネルギーがたまっている。半面で低金利の円から欧米、オセアニア通貨建て商品への長期マネーの流れが戻らなければ債券の償還、利払いなどに応じて日本への資金還流が進行する。為替の含み損に耐え切れない参加者が戦線縮小を迫られれば円の上値の余地はさらに広がることになる。(GI 今 晶)

2008年1月29日(火)12:40 個別ページ

カナダ、にじむ「米ドルブロック」色

外国為替市場ではカナダドルの先安予想が徐々に増えている。米景気後退が現実となればいの一番にとばっちりを受けると見られているためだ。カナダは20世紀前半、米国を中心とした経済圏「ドル・ブロック」の一員だったが、貿易自由化と世界の相互依存度が高まった現在でもその「呪縛(じゅばく)」から完全には抜け切れていない。
 カナダドルの対円相場は22日、東京市場の朝方に1カナダドル=101円90銭前後まで下げ、2007年4月以来の円高・カナダドル安水準になった。米景気懸念を背景にした世界株安・マネー収縮と円高の圧力がかかる中、米国とカナダ経済との連動性も意識された。
 カナダ銀行(BOC、中央銀行)は同日、政策金利を0.25%引き下げて4.00%にすることを決めたと発表。声明では商品相場の高さが国内経済の支えになるとの見方を示す半面、米景気の失速がカナダ輸出産業に悪影響を及ぼすリスクに触れ、一段の利下げの必要性を示唆した。24日公表になる最新の経済見通しでは米国の2008年の成長率予測が07年10月時点の2.1%から大幅に下方修正されそうだ。
 渦中の米国では22日、米連邦準備理事会(FRB)が0.75%の大幅な緊急利下げ実施を決断した。ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)悪化に対する危機感のあらわれといえる。FRBは状況次第では追加措置も辞さない構えで、米政府がとりまとめを急ぐ財政面での施策との「合わせ技」で景気テコ入れを目指す。しかし、事が思惑通りに運ぶとは限らない。
 急ピッチの金融緩和は物価上昇の危険を伴う。仮に信用市場の混乱収拾に手こずり事態が深刻になった場合、不況とインフレが同時に進む「スタグフレーション」の恐れがある。産油国カナダとしては、価格が維持されたとしても輸出数量の減少ペースが速まるようなら意味がない。また、米経済の変調が世界中に負の作用を引き起こせばエネルギーの需給バランスそのものが一気に崩れてしまうかもしれない。
 市場では「29—30日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利がさらに引き下げられる公算もあり、08年半ばにかけてはスタグフレーションのリスクが飛躍的に上がる」との指摘も出ている。カナダが乗り越えなければならないハードルは相当に多い。〔GI 今 晶〕

2008年1月24日(木)13:18 個別ページ
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