英国では景気と物価「両にらみ」の金融政策が継続している。英政策金利は19日時点で5.00%。主要7カ国の中では最も高いうえ、住宅セクターなどに不安の芽があるだけにおいそれと利上げには踏み切れない事情がある。かじ取りの難しさは顕著だ。
英中銀イングランド銀行(BOE)のキング総裁は17日、5月の英消費者物価指数(CPI)の前年比伸び率が3.3%と目標上限の3%を突破したことを受けて英政府に書簡を送付。インフレ率は年内に4%を超える公算があると述べながらも「上昇の圧力は一時的にとどまる」との見方を示した。実体経済の悪化リスクを意識したもので、英金融市場では「英中銀はユーロ圏などよりも引き締め的施策に慎重」と受け止めて金利先物への買いや英ポンド売りにつながった。
17日のポンド・ドル相場は日通し高値の1ポンド=1.96ドル台後半から1.94ドル台まで急落する場面があった。
キング書簡には「金融政策委員会は物価高の影響で景気配慮型の対応を強く進められなかった」、「経済の急失速でCPI上昇率は目標値(現在の下限は1%)を下回る可能性も否定できない」との趣旨の記述もあった。いかに困難な状況に直面しているか理解してほしい——。そんな「本音」が見え隠れする。
エコノミストの間では「イングランド銀は金利引き上げの観測が先走る事態を何よりも懸念している」との声も聞かれる。ユーロ圏では前週以降、過度の利上げ織り込みをけん制する高官コメントが相次ぎ、米国でもメディア報道などを通じて金利の先高観がかなり後退した。「発射台」が相対的に高い英国では一層神経質にならざるを得ないというわけだ。
ある英国系証券では、原油価格の高止まり傾向が持続した場合、8月以降の利上げ余地は残るとしたうえで「BOEは景況感低迷の観点からインフレ期待を抑えるスタンスを保つとみられるため最終的には現行水準に回帰する」などと予想。物価重視派はよほどのことがない限り勢いづかないと読む。ポンドは円に対しては金利格差テーマの買いが続くかもしれないが、ドルに対しての「復権」は当分おぼつかないとの立場だ。(今 晶)
2008年6月19日(木)13:14