FXブログ 今晶の「THE・為替記者!」

スイス中銀、信用収縮に警戒保つ

 国際金融市場では信用収縮の小康状態が続く一方、今後の欧米景気の動向次第では、大手銀行や証券セクター発の混乱が再燃しかねないとの懸念も消えていない。各国の当局も以前ほどではないにせよ危機管理モードを維持。英米やユーロ圏に挟まれた「金融立国」であるスイスも例外ではない。
 スイス国立銀行(SNB、中央銀行)のロート総裁は前週末23日の講演で、今後の政策運営について「問題がある民間銀の財務内容の改善を支援する目的で一時的、例外的に過度のリスク持ち高の形成を余儀なくされる公算がある」、「金融システムの安定は中銀の収益性(健全性)確保よりも優先される」などと発言。信用不安の拡大阻止に万全を期す考えを示した。ロート氏は「流動性供給などの施策がインフレにつながらないよう配慮したい」との趣旨の意見も述べたが、英米やユーロ圏当局の高官よりも物価上昇への警戒トーンは弱めだ。
 このコメントに先立つ19日、SNBのヒルデブランド副総裁は「信用危機は既に後半戦に突入した」との見解を表明したうえで「大手銀2行はより大きな『緩衝材』を備える必要がある」と語っていた。銀行間市場で借り入れた資金などを元手に資産が積み上がり、自己資本の比率低下の可能性が残る現状を軽視すべきではないというわけだ。
 スイスの政策金利である3カ月物のロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の誘導目標中心値は27日時点で2.75%。先進国中では日本の0.50%、米国の2.00%に次ぐ低さで、本来なら物価重視の姿勢に傾くべきかもしれない。半面、スイスは「永世中立国」としての存在感が引き続き強く、有事のさいには世界各国からお金が流れ込む。底流には金融機関への信認がある。スイス国立銀がシステム管理を優先するケースがひんぱんに生じたとしても不思議ではない。
 またスイスフランが「有事に強い通貨」の面目を保ち、価値が一定の範囲に落ち着けば輸入インフレの圧力が後退。政策面での整合性はとれるようになる。思惑通りに事が運ぶかは現時点ではまだ不透明だが、英米などに比べると不況下の物価高(スタグフレーション)に陥る恐れは小さい。(今 晶)

2008年5月27日(火)11:04
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