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「アフター・コロナの金融政策に焦点」外為総研 House View ポンド/円・豪ドル/円 2021年6月

【外為総研 House View】

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目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 5月の推移
・5月の各市場
・5月のポンド/円ポジション動向
・6月の英国注目イベント
・ポンド/円 6月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 5月の推移
・5月の各市場
・5月の豪ドル/円ポジション動向
・6月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 6月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

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ポンド/円 5月の推移

5月のポンド/円相場は150.927~156.068円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約3.0%上昇(ポンド高・円安)した。

スコットランドの議会選挙で、英国からの独立を掲げるスコットランド民族党(SNP)が単独での過半数議席を獲得できず「少数与党」となった事を好感して154円台に乗せるなど、上旬から堅調に推移。中旬は155円台手前で伸び悩んだものの、英国で新型コロナワクチンの接種が一段と進む中、景気回復への期待は根強く、ポンドの下値は堅かった。

27日には英中銀(BOE)のブリハ氏が、翌年前半の利上げの可能性に言及した事からポンド高が進行。155円台を一気に超えて156.07円前後まで上値を伸ばした。

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出所:外為どっとコム

6日
BOEは予想通りに政策金利(0.10%)と資産買い入れプログラム(8750億ポンド)の据え置きを決定。 また、緊急債券の購入ペースを44億ポンドから34億ポンドに減速すると発表した。 同時に発表した議事録では、決定が8対1であった事が明らかに。 反対票は債券購入目標額の引き下げを主張した、金融政策委員会(MPC)メンバーでチーフエコノミストのホールデン氏によるものだった。

10日
前週6日に投票が行われたスコットランド議会選の結果が8日に判明。英国からの独立を掲げるスコットランド民族党(SNP)が第一党を維持したものの、単独過半数には僅かに届かなかった。これを受けてポンドは上昇して取引が始まった。スコットランドが独立の是非を問う住民投票を直ちに実施するとの懸念が緩和した模様。

ただ、独立に賛成の立場を取るスコットランド緑の党の議席を合わせると議会における「独立派」は過半数を超えた。また、この日はジョンソン英首相が、イングランドで5月17日からロックダウン(都市封鎖)終了に向けた第3段階に進むと発表。一定の規則の下でパブ、カフェ、レストランなどの店内飲食が可能になる他、映画館や屋内スポーツ施設なども営業を再開する事になった。

なお、英政府は夏までのロックダウン終了に向けて4段階の計画を策定している。

12日
英1-3月期国内総生産(GDP)は前期比-1.5%と予想(-1.6%)をやや上回った。また、英3月鉱工業生産は前月比+1.8%(予想+1.0%)、英3月貿易収支は117.10億ポンドの赤字(予想143.00億ポンドの赤字)であった。

18日
英4月失業保険申請件数は1.51万件減(前回1.94万件減)、同失業率は7.2%(前回7.2%)であった。また、英1-3月期ILO失業率は4.8%と予想(4.9%)を下回り前回(4.9%)から低下した。

19日
英4月消費者物価指数は前年比+1.5%と予想通りの伸びとなり、前月(+0.7%)から加速。同生産者物価指数も前年比+3.9%と、予想(+3.4%)および前月(+2.3%)を上回る伸びとなった。なお、この日はビットコインなど仮想通貨の暴落を受けてリスク回避の動きが強まる中、ポンド/円は下落した。

21日
英5月製造業PMI・速報値は66.1と予想(60.8)を大きく上回った。同サービス業PMI・速報値は61.8と予想(62.2)を下回ったものの高水準を維持した。なお、これより前に発表された英4月小売売上高は前月比+9.2%と市場予想(+4.5%)を大幅に上回り、前月(+5.1%)を超える高い伸びを記録した。

27日
ブリハMPC委員が「労働市場の回復が予想以上に速まれば、BOEは2022年前半にも利上げを行う可能性がある」と発言。これを受けてポンド買いが活発化した。

5月の各市場

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5月のポンド/円ポジション動向

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【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

6月の英国注目イベント

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ポンド/円 6月の見通し

新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とする英国のロックダウン(都市封鎖)は解除に向けた最終段階にあり、予定通りに進めば21日をもって完全に解除される見込みだ。英国では5月29日時点で1回目のワクチン接種を受けた割合が成人の74.5%に上り、2回目の接種を済ませた人の割合も48.1%に達した。ただ、一時1000人台に減少していた新規感染者数(7日平均)は、インド型変異株の流行によって3000人台に増加している。

これまで、ポンド高をけん引してきたのは、ワクチン接種の進展に伴う英景気の早期回復期待であった。それだけに、予定通りに21日にロックダウンを終了させられるかどうかが6月のポンド相場の焦点となるだろう。無事に終了できれば、英中銀(BOE)による金融政策の正常化期待も高まると見られ、ポンド高の流れが加速する可能性もある。なお、5月MPCで緩和策の維持に反対票を投じたホールデン氏(6月MPC後に退任)に続き、5月27日にはブリハMPC委員も早期利上げに言及した。

6月は24日のBOE金融政策委員会(MPC)にも注目が集まりそうだ。
(予想レンジ:152.500~159.000円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

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豪ドル/円 5月の推移

5月の豪ドル/円相場は83.934~85.800円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.5%上昇(豪ドル高・円安)した。10日には85.80円前後まで上昇して2018年2月以来の高値を付けたが、その後は伸び悩んだ。

なお、5月の豪ドルは対米ドルでほぼ横ばい、対ユーロでは下落とマチマチの動きであった。豪中銀(RBA)が、景気回復ペースは想定以上としながらも、少なくとも2024年まで利上げの条件は整わないとする慎重な見通しを維持した事から、金融政策の正常化期待が高まりにくかった。

また、世界的に株価は底堅く推移したものの、鉄鉱石やビットコインが中国の規制強化の影響などから下落した事で、市場のリスク選好ムードも高まりにくかった。そうした中、豪ドル相場に方向感が出にくかった。

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出所:外為どっとコム

4日
RBAは政策金利と3年債利回りの誘導目標(いずれも0.10%)を据え置いた。声明でも、景気回復ペースは想定以上としながらも、少なくとも2024年まで利上げの条件は整わないとの見方を維持した。一方、7月会合で2024年4月債を3年債利回り誘導目標のターゲットとして維持するか、2024年11月債に移行するかを検討するとした他、7月会合では国債購入プログラム第2弾に基づく1000億ドルの購入が9月に完了した後の将来的な債券購入についても検討すると表明した。

5日
豪3月住宅着工件数は前月比+17.4%と、市場予想(+3.0%)を大きく上回り、前月(+20.1%)に続き大幅な伸びを記録した。

7日
米4月雇用統計が期待外れの結果に終わった事でドル売りが強まると豪ドル/米ドルが上昇。豪ドル/円も連れ高となり、85円台を回復した。冴えない雇用統計を受けて米長期金利が低下した事を好感して米国株が上昇した事も豪ドルを支援した。

17日
中国4月鉱工業生産は前年比+9.8%、中国4月小売売上高は前年比+17.7%(予想+10.0%、+25.0%)であった。小売売上高については、予想を下回った上に前月(+34.2%)から伸びが大きく減速した。

18日
RBAは5月理事会の議事録を公表。「豪経済は以前の予想よりも早く回復から拡大に移行」としながらもインフレ率が目標の2-3%に収まるまで利上げをしない方針を維持し、2024年までにそうした状況になる公算は小さいとの見通しを改めて表明。また、「インフレ目標の達成には賃金上昇率が持続的に3%を超える事が必要になる公算が大きい」との見解を示した。

19日
ビットコインなどの仮想通貨が暴落する中、NYダウ平均も一時500ドル超値下がりするなど、リスク回避ムードが高まった。豪ドル/円は一時84.00円台に下落したが、仮想通貨の持ち直しなどを受けて下げ渋った。

20日
豪4月雇用統計は、失業率が5.5%と予想(5.6%)を下回り、前月(5.7%)から低下した一方、新規雇用者数は3.06万人減と予想(2.00万人増)に反して減少した。一時豪ドル売りが入ったが、雇用者の内訳で正規雇用者が3.38万人増加(非常勤雇用が6.44万人減少)していた点などが見直されて下げ渋った。

21日
豪4月小売売上高は前月比+1.1%と、市場予想(+0.5%)を上回る伸びを記録。ただ、中国当局がコモディティ価格の抑制を表明した事で鉄鉱石先物価格が下落する中、豪ドル相場は上値の重い展開となった。なお、中国は金融リスクを制御する取り組みの一環として仮想通貨採掘(マイニング)を取り締まる意向を改めて表明。これを受けてビットコイン価格にも再び下落圧力がかかった。

26日
NZ中銀(RBNZ)が金融政策声明から「利下げの用意がある」との文言を削除した上に2022年9月までの利上げ見通しを示した事からNZドルが急伸。豪ドル/円は、NZドル/円の上昇に連れた他、中国人民元(オフショア)が対ドルで一段高となった事も材料視された。

31日
中国5月製造業PMIは51.0、同非製造業PMIは55.2と、いずれもほぼ予想通りであった(予想51.1、55.1)。 豪ドルは中国PMIへの反応は薄かったが、その後は中国人民元の上昇に連れて強含んだ。中国人民銀行はこの日、元の対ドル基準値を約3年ぶりの高値水準に設定した。

5月の各市場

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5月の豪ドル/円ポジション動向

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【情報提供:外為どっとコム】

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6月の豪州・中国注目イベント

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豪ドル/円 6月の見通し

6月1日に豪中銀(RBA)が発表した声明によれば、RBAは次回7月6日の理事会で3年債利回りを0.10%に誘導する対象を2024年4月償還債のままとするか、2024年11月償還債に移行するかを決める模様だ。

このまま4月償還債を対象とし続ければ、イールドカーブ・コントロール(YCC)の期間が事実上3年を下回る事になり、金融政策正常化に向けた市場へのメッセージとなり得る。一方で11月償還債に対象を移行すれば、金融緩和の時間軸延長との解釈が可能になる。その他、7月のRBA理事会では、1000億豪ドル規模の国債購入プログラム第2弾が9月に終了した後の将来の国債購入についても検討するとの事だ。足元の市場では、カナダやニュージーランド、あるいは米国などの「緩和縮小」が大きな関心事となっている。それだけに、7月のRBA理事会も強い関心を集める可能性が高い。

こうした中、6月の豪ドル相場には、7月のRBA理事会待ちのムードが色濃く漂う事になると見られ、主要国の株価や国際商品価格の動向に一喜一憂する展開が見込まれる。
(予想レンジ:83.250~86.500円)

神田卓也