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「クロス円の上昇は一服か」外為総研 House View ポンド/円・豪ドル/円 2020年8月

【外為総研 House View】

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目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 7月の推移
・7月の各市場
・7月のポンド/円ポジション動向
・8月の英国注目イベント
・ポンド/円 8月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 7月の推移
・7月の各市場
・7月の豪ドル/円ポジション動向
・8月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 8月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

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ポンド/円 7月の推移

7月のポンド/円相場は132.948~139.199円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約3.5%上昇(ポンド高・円安)した。

英国でも新型コロナウイルスの感染者が30万人を超えるなど感染拡大が顕著となった他、欧州連合(EU)との将来関係を巡る交渉に進展は見られなかったが、そうした悪材料にポンドが強く反応する事はなかった。世界的に株価が堅調に推移する中、むしろポンド高・円安基調が続いた。

後半は、EUが復興基金に合意した事を好感したユーロ/円の上昇に連れた他、ドルが全面的に下落する中でポンド/ドルが上昇した事もポンド/円の上昇に繋がった。31日には139.199円まで上値を伸ばして6月8日以来の高値を付けた。

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7日
英首相報道官は、英国と欧州連合(EU)の将来関係を巡る交渉について、EUのバルニエ首席交渉官と英側で交渉を担うフロスト首相顧問がこの日の夜に夕食会を開催して非公式に協議すると明らかにした。これを受けて交渉進展への期待が高まりポンドが上昇した。

8日
英国は、減税や雇用を維持した企業への報奨金などを柱とする300億ポンド規模の景気支援策を導入する。スナック英財務相が下院での演説で明らかにした。これを受けて英国景気の回復期待が高まりポンドが上昇した。

13日
英中銀のベイリー総裁は、「新型コロナウイルス感染拡大抑制策が緩和され始めているため、経済は幾分か回復し始めている」としながらも、「この先の道のりは長い。多くの人々と同様、われわれも雇用について大変懸念している」と述べた。

14日
英5月鉱工業生産は前月比+6.0%と、前回(-20.2%)から持ち直したものの、市場予想(+6.5%)には届かなかった。英5月国内総生産(GDP)も前月比+1.8%と、前回(-20.3%)から回復したが予想(+5.5%)を下回った。

15日
英6月消費者物価指数は前月比+0.1%、前年比+0.6%と市場予想(±0.0%、+0.4%)を上回った。食品とエネルギーを除いたコア指数も前年比+1.4%と予想(+1.2%)以上の伸びとなった。英6月生産者物価指数は前月比+0.3%、前年比-0.8%(予想:+0.3%、-1.1%)であった。

16日
英6月失業率は7.3%、英6月失業保険申請件数は前月比2.81万件減となった。英3-5月のILO失業率は3.9%、3-5月の週平均賃金は前年比-0.3%と、いずれも予想(4.2%、-0.5%)より良好だった。

20日
英オックスフォード大と同国製薬大手アストラゼネカが共同で開発中の新型コロナウイルスワクチンが、初期の治験で有望な結果を示したと医学誌が発表。

新型コロナウイルスワクチンについては、その他にも米ファイザーが独バイオ企業と開発中のワクチンが追加データで有望性を確認したと報じられた。これらを受けてリスク選好の動きが強まりポンド/円は上昇した。

24日
英7月製造業PMI・速報値は53.6、同サービス業PMI・速報値は56.6(予想:52.0、51.5)であった。英国も含めて、欧州ではサービス業を中心に景況感が急回復している模様。

なお、これより前に発表された英6月小売売上高は前月比+13.9%と、5月(+12.3%)に続いて大幅増を記録。予想(+8.3%)も大幅に上回った。ただ、米中が双方の領事館閉鎖を命じるなど対立が激化する中でリスク回避の円買いが強まりポンド/円は下落した。

30日
前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で大規模緩和の長期化が示唆された他、この日の米4-6月期国内総生産(GDP)・速報値が史上最大の落ち込みを記録した事などからドル売りが加速。

ドルに対して円が買われたものの、ドルに対するポンドの上昇幅が大きかったためポンド/円は上昇した。

31日
月末のポジション調整と見られる動きでドルに買戻しが入ったが、ポンド/ドルの下げは限定的だった。一方で、ドル/円ではドル買い・円売りが活発化。ポンド/円はドル/円の急反発に連れて6月8日以来の139円台に上昇した。

なお、ジョンソン英首相は、新型コロナ感染拡大を受けてイングランドの都市封鎖(ロックダウン)の緩和を少なくとも2週間延期すると発表した。

7月の各市場

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7月のポンド/円ポジション動向

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8月の英国注目イベント

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ポンド/円 8月の見通し

7月のポンド相場は全面的なドル安にも支援されて堅調だったが、8月に入りドル安は一服しており、ポンドの上昇も鈍っている。

注目されていた英国と欧州連合(EU)の将来関係を巡る交渉に大きな進展は見られなかった。中でも、交渉開始当初からの懸案事項である「公正な競争条件」の問題と「漁業権」の問題は平行線のままのようだ(他方、貿易面では何らかの進展があったとされている)。

8月も英・EU交渉が予定されており、英国のフロスト主席交渉官によると次回は8月17日-21日に行われる(必要なら24日の週も延長協議を行う)。「公正な競争条件」の問題と「漁業権」の問題に進展があればポンドのプラス材料となるが、残念ながらその期待は薄いようだ。交渉はこの先も10月まで予定されているため、8月の交渉が不調でもポンドに大きな崩れはないと見るが、7月のポンド高の反動による調整的な下落には警戒が必要だろう。

ポンド/円の日足チャートの形状からは、6月高値139.735円前後を超えられなければ「ダブルトップ」が意識される事になりそうだ。

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

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豪ドル/円 7月の推移

7月の豪ドル/円相場は73.911~76.870円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.5%の上昇(豪ドル高・円安)となった。

豪ビクトリア州で新型コロナウイルスの感染が拡大した他、香港国家安全法の制定を巡り米中の対立が深まるなどの悪材料もあったが、豪ドルは底堅く推移。欧州連合(EU)首脳会議が21日に総額7500億ユーロのコロナ復興基金の創設に合意した事をきっかけにリスク選好ムードが強まると22日には76.870円前後まで上伸して2019年5月以来の高値を更新。

]なお、対ユーロでのドル安進行を背景に豪ドル/米ドルは31日に0.72269ドル前後まで上昇して2019年2月以来の高値を示現した。

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2日
豪5月貿易収支は80.25億豪ドルの黒字となり、黒字額は予想(90.00億豪ドル)を下回った。なお、4月貿易収支は黒字額が88.00億豪ドルから78.30億豪ドルへ修正された。

6日
中国本土株(上海、深圳)が景気回復期待から大幅高となる中、リスク選好の円売りが優勢となり、豪ドル円は上昇した。なお、中国人民元も対ドルで大幅高となった。

7日
豪中銀(RBA)は大方の予想通りに政策金利(0.25%)とイールドカーブ・コントロール(YCC、3年もの国債利回りを0.25%前後に誘導するように国債を購入)政策を据え置いた。声明では、必要な場合はさらなる緩和の用意があるとしつつも、「景気後退は当初の想定ほど深刻なものにはならない」との見解を維持。

RBAは、1年以上政策変更を行わないとする市場の見方を変える内容ではなかった事から豪ドル相場の反応は限定的だった。その後、豪州第2の都市・メルボルンが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて6週間に渡る外出制限を導入。この一報が伝わると豪ドルが弱含んだ。

10日
中国政府系の基金が株式の保有を減らすと発表した事から、前日まで8連騰していた中国本土株が下落。アジア株が総じて軟調に推移する中、新型コロナウイルス感染再拡大への懸念も相まってリスク回避の円買いが強まった。

13日
米製薬大手ファイザーが独バイオベンチャーと共同開発中の新型コロナ・ワクチン2剤が、米食品医薬品局(FDA)からファストトラック(優先承認審査)に指定された事を受けて米国株が上昇。豪ドル/円は一時75.00円台に乗せた。

15日
新型コロナウイルスワクチンの開発に取り組んでいる米バイオ企業モデルナ社は、第1段階の臨床試験で被験者全員に免疫反応を確認したと発表。これを受けて米国株先物が上昇すると豪ドル/円も上昇。しかし、ポンペオ米国務長官が中国通信大手ファーウェイの一部社員へのビザ発給を制限すると発表した事などから伸び悩んだ。

16日
豪6月雇用統計は、新規雇用者数が21.08万人増加して予想(10.00万人増)を上回った一方、失業率は労働参加率の回復を受けて7.4%に上昇した(予想:7.3%)。

その後、中国4-6月期国内総生産(GDP)は前年比+3.2%と予想(+2.4%)を上回った。豪ドル/円は、それぞれの指標に一時買いで反応したが、アジア株が総じて軟調に推移する中で上昇は続かなかった。

24日
ポンペオ米国務長官は演説で「歴代米政権は中国が自由と民主主義を享受すると信じてきたが、誤りだった」「中国共産党の見方を変える必要がある。普通の国として扱う事はできない」「習近平中国国家主席は全体主義イデオロギーの信奉者だ」などと述べて対中強硬姿勢を強調した。

一方、中国は米国に対し四川省成都の総領事館を閉鎖するよう求めた。前日に米国がヒューストンの中国総領事館を閉鎖するよう命じた事への報復措置。

29日
豪4-6月期消費者物価指数は前期比-1.9%、前年比-0.3%と予想(-2.0%、-0.5%)ほどには低下しなかった。ただ、豪中銀(RBA)が重視する基調インフレは前年比+1.25%と、市場予想(+1.40%)を下回った。

30日
豪6月住宅建設許可件数は前月比-4.9%と予想(-2.8%)を下回った。なお、豪ビクトリア州の新型コロナウイルスの新規感染者が723人となり過去最多を更新した。

7月の各市場

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7月の豪ドル/円ポジション動向

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8月の豪州・中国注目イベント

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豪ドル/円 8月の見通し

豪中銀(RBA)は8月4日の理事会後に発表した声明で楽観姿勢をやや弱めた模様だ。

前回は、「最近の状況は安定しており、景気後退は以前の予想ほど深刻なものにならない可能性がある」としていたが、今回は「しかしながら、回復は不均一である可能性が高く、ビクトリア州でのコロナウイルス感染拡大は州経済に大きな影響を及ぼしている」と追記。その上で、様々な経済シナリオを検討したとして、シナリオの詳細は金融政策報告で明らかにするとした。これによって、7日にRBAが発表する金融政策報告に注目が集まる事になりそうだ。

今のところ市場では、豪州経済は他の多くの国よりも景気回復ペースが早まるとの見方が多いと見られ、RBAが金融政策報告で悲観シナリオを強調しなければ豪ドル相場は堅調を維持する公算が大きい。ただ、RBAは8月声明で「一方、豪州やその他の国々がさらに広範囲にわたる封鎖を経験した場合、生産高と労働市場の両方の回復は遅れる事になるだろう」としており、コロナ感染の拡大を強く警戒している。豪州に限らず米国や欧州でコロナ感染の拡大が続けば豪ドルの重しになると考えられる。

豪ドル/円相場は8月も、豪州国内要因以上に外部要因に振らされやすい展開が見込まれる。