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「『ここだけの話』は意味がない」松本英毅 FX特別インタビュー(中編)

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ニューヨークから様々なマーケット情報を発信する、「よそうかい.com」の松本英毅さんに直撃インタビュー。松本さんがマーケットに関わるようになったきっかけ、市場の変遷のほか、トレードの心構えを聞いています。

前編:
https://www.gaitame.com/media/entry/2020/04/16/125825

※2020年3月13日取材

▼目次

1.投資上手な人とは
2.FX投資家が気にしておきたい他金融商品

投資上手な人とは

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PickUp編集部:
これまで、様々な投資家とお会いになって来たと思いますが、ズバリ、どういう方が投資上手なんでしょうか。
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松本:
やっぱり、慎重な人です。
言い方を変えると、チキンがベストなんです。

私なんかは性格的に「いてまえ~」ですから、ちょっと違いますけどね。
ジョージ・ソロスも言っていますよね、「まず生き残れ、儲けるのはそれからだ」と。こういうことが大事だと思います。もちろん、生き残ればいいやという考えだけではダメなんですけどね。
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PickUp編集部:
上手な投資家は具体的にはどう動くんでしょうか。
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松本:
損切りの判断は早く。そして、利食いも早く、なんです。

あとは、余計なトレードをしない。これは鉄則だと思います。 スケベ心を出すと、だいたいロクなことはないですからね。

まめな人も上手だと思います。
例えば普段の生活でも必要な連絡をきっちり取れる人などは、トレードの調子もよいと思います。 つまり、トレードって結局はこまめにやるしかないので、それに対応できるっていうのはまめな人ですよね。 あとは、相場で大儲けを狙わない人、でしょうか。
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PickUp編集部:
そうなんですか?
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松本:
大儲けする人は、どこかで大損もしていると思いますからね(笑)。

相場で生き残ることを目指すのであれば、大儲け・大損している方は見習ってはいけないと思っています。大儲けした人の話を聞かないっていうのも良いんじゃないでしょうか。
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PickUp編集部:
1億円もうけるぞ、など金額目標を立てるのがよくないんでしょうか。
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松本:
ええ。トレードでは「ターゲットプライス」という考え方がありますけど、私としては、どうなんだろうと思います。

「あと5銭で目標レートになるけど、ずっと待っていたら逆に行っちゃった」などはよくありますからね。下手に目標金額を持ってしまうと、その数字にこだわりすぎてしまうこともあるでしょう。 押し目を待ってトレードを控えていたら、大相場(おおそうば)が始まることもありますし。なので、目標金額にこだわらず、売り時、買い時を見つける癖をつけて行ったほうがいいのかもわからないですね。

ちなみに私は、値ごろ感などは重視しないです。 重視するのは、タイミングです。
例えば商品先物で下げ相場だったら、マーケットクローズの20分くらい前から買い戻しが入ってくる可能性が高いと考えて、そこから入ろうかな、という感じで考えます。 繰り返しますが、値ごろ感で「ここまで値を下げたら反発するだろうから」と買ったりすることはないですね。

つまりプライスで見るのではなく、タイミングで見ることが多いです。この場合、一番の問題は、トレードのタイミングっていうのは、後に残らないものだということなんです。 プライスは、チャートに記録が残るんですが。
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PickUp編集部:
タイミングは残らない、と。言われてみれば、なるほどです。
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松本:
そういうことを考えると、結局は経験でトレードするしかないんです。

毎日相場を見ていれば、トレードタイミングがだんだんわかってきます。私はそこまではやらないですが、まめな人なら毎日相場の記録をつけて、データベースを作るかもしれないですね。経験が増えると、変なタイミングでトレードしないことが身につくかと思います。また、商品先物の場合ですが、トレンドが出やすいので素直に乗っていったりします。

あとはボラティリティが高い時にはトレードしないです。 理由は、まあまず良いトレード結果にならないからですね。 私はファンダメンタルズで相場観を組み立てていますから、次の相場の展開を考えて、ボラティリティの低い、相場がもみ合っているときにトレードに入ります。 もみ合いから新しく動き始めて、思惑どおりになればそのまま、思惑と違う方向に行ったら、諦めて撤退し次のチャンスを待ちますね。
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PickUp編集部:
その、ボラティリティが低い時、というのはどういう状態でしょうか?
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松本:
そのままの意味で、相場が激しく動いていない時です。 ボラティリティが高いと、変な値動きでレートが跳ねて、損切りになってしまうことがあるのですが、それを防止する意味で低ボラティリティの時のトレードを重視しています。
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PickUp編集部:
事前に仕掛ける感じなんですね。ちなみに、ご自身のトレードスタイルについて、順張り、逆張りで言うとどちらだと考えていますか?
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松本:
特にこだわらず、どっちもありにしています。

ただ、逆張りの時はある程度相場が落ち着くのを待ってから取引しますね。例えば一度バーッと上がってから下がりはじめても、そこで慌てて売りで入らず、少し待って、徐々に値動きが収まってからにしています。理想ですが、次に相場が動き始める5分くらいの間に、自分がポジションを持てれば効率が良いですよね。なので相場の動く直前に入れるか、というのを結構気にしています。理想的なエントリータイミングを狙っていると、売りで入ったとして、レートが上がったらすぐに損切りになるんですが、ノーポジションになったあと、また下がりそうだと思ったら、しつこく売りで入りますね。

そんな感じで、見通しが外れても、動き出すタイミングがつかめるようになれば、結構効率が良いトレードになってくると思いますね。
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PickUp編集部:
そういうトレードの感覚って、ある程度の期間値動きを追いかけていかないと、わからないものですよね。
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松本:
はい。相場にはいろいろなパターンがありますからね。あと、タイミングといえば、相場の節目もありますよね。私は特にマーケットのクローズの時、オープンの時は値動きを気にするようにしています。

経済指標の発表は、出てくる時間が事前にわかりますから、チェックします。事前に時間がわからないのは要人発言ですトランプ米大統領の就任当初は突発的な発言にマーケットが振らされて大変でしたけど、最近は彼が何を言ってもマーケットは反応しなくなってきたのでやりやすくなってきました。

FX投資家が気にしておきたい他の金融商品は…

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PickUp編集部:
また質問を変えます。FX投資家が気にしておきたい他の金融商品についてはどうでしょうか。
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松本:
商品先物はファンダメンタルズを確認しておく必要があって、例えば原油は、なぜ今下げているのか、理由がわかっていないといけませんね。 原油急落について、3月にサウジが増産するというのはサプライズではあったんですが、そもそも新型コロナウイルス感染拡大で世界的に景気が悪くなり原油の需要が減る、というのは先にベースがあったわけですから、そういう意味では景気が素直に原油価格に反映されている、と見ることができます。

あとは、アメリカの債券市場はしっかり見ておかなければいけないです。 景気が悪い場合、債券価格に織り込んできますので、金利は下がって反応します。

為替の場合は、アメリカと日本、どっちが景気が悪いのかなどに話が行きがちです。確かに現在のマーケットは景気動向を気にしているので、そのあたりを押さえたいですね。 結局はマーケットが注目をしているものを見ておかないと、なんの意味もないということなんです。
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PickUp編集部:
マーケットが見ているもの、ですか?
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松本:
はい。マーケットが注目していないものを見ても、トレードにはほとんど意味がないですね。 インターネットのブログやSNSなどで「とっておきの相場情報」や、「ここだけの話」を言う人がいるじゃないですか。これって、マーケットが注目していない情報ということだと思うので、そんなのは、意味がないです。

誰も知らない情報で、マーケットは動かないんです。 仮にその情報で正しいとしても、聞く必要はないですね。
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PickUp編集部:
はあ、そういうものですか。
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松本:
そうです。誰も知らない相場情報を探し回っているより、新聞を広げて、今どんなことが書いてあるか、世の中のトレンドを見ているほうがいいと思います。

もちろん、「とっておきの相場情報」がいずれかの時点でみんなが知る情報になって、さらにそれが正しい情報なのであれば、価値がありますけど。 でも、そういう情報って、法律的に危ないものも多いでしょうからね。株式の場合は特にそうです。FXでも、当てはまると思いますよ。

繰り返しますが、冷静に考えて、誰も知らない「とっておき情報」ではマーケット動かないと考えていいと思います。
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PickUp編集部:
みんなが見ている高値、安値の情報のほうが、よっぽど大事ということですよね。
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松本:
ええ。なので、個人投資家が考えることとして、この先みんなが知るであろう情報を予測する、ということになります。

今世の中に出ている情報でマーケットのレートは形作られているので、では次にどんな情報が出てくるか、その時はマーケットはどう動くかを頑張って予想するっていうのが、一番良いのではないでしょうか。 相場の先を読むヒントは、これまで出ている情報にヒントが隠されていることが多いので、そういうのを見ておいたほうがいいですね。

世界的に新型コロナウイルスが感染拡大している今の経済状況なら、3月4月の経済指標の結果は悪くなる可能性は高いと予想できますよね。 なので、影響の大きい経済指標は悪くなることを前提に考えておいたほうがいいです。悪くなった指標を確認してからトレードするのではなく、その前に相場に入っておきたいですよね。 今のマーケットはAIが台頭しているので、経済指標の結果が出た瞬間にトレードしようとしても、短かい時間に大きく動きますから人間は太刀打ちできないということも言えます。
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PickUp編集部:
すでに出ている情報から、次の情報の予想と、相場展開を考えておくということなんですが、松本さんはこれまでの相場経験から、相場展開がわかるものなんでしょうか。
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松本:
わかるというか、相場について常に考えている感じです。こうなったらこうなる、さらにこうなるだろう、というふうに。これはもう、考える癖をつけなくてはいけませんね。 相場展開を組み立てて、上手く行くとき、行かないときがありますが、事前に考えておく大きなメリットは、想定通りにいかなかったとき、ポジションへの見切りがつけやすいということです。想定から外れたことがすぐわかるので、損切り判断などがやりやすいですね。

逆に、一番避けたいのは相場展開を考えているうちに「こうなるべきだ」という発想になってしまうことですね。「いまは景気がいいから、株は上がるべきだ」など、自分の考えにとらわれてしまうと、投資判断がおかしくなります。 今ですと、新型コロナウイルスで世界が混乱しているので株は下がるべきだ、という考えですね。「こうなるべきだ」という思い込みと、相場展望の分析は別のものです。 マーケットは、現在よりも良くなるか、悪くなるかを見ているものです。新型コロナウイルスで傷んだ経済についても、どこかの時点で、経済指標が改善するでしょうし、財政政策や経済政策が機能してくることで、いつか状況が変わるんですよね。そうすると、景気が悪くても株価などが上がるということが起きます。

なので、自分の考えや、今現在にこだわらないこと、もう一歩先を見ておくことが大事ですね。考えが固まってしまうと、身動きがとれず、損切りができなくなることにつながると思います。
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PickUp編集部:
そうですね。あと、「こうなるべき」というより「こうなってほしい」と考えてトレードする方も多いと思います。
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松本:
それはあるでしょうね。100万円増えるポジションを持ちたい、と思ったとして、ではどのようになれば大きな利益を得られるか、シナリオを組み立てられるかということでしょうね。 願望が実現するのに、どんなシナリオがあり得るかを考えるんです。シナリオが組み立てられず、漠然と相場が上がってほしい、下がってほしいだけではダメですよね。
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PickUp編集部:
つまり、シナリオが組み立てられればいいんですね。
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松本:
まあそうですね。
私は原油相場を見ていますので、例えば原油価格が現在の1バレル20ドル台(※取材当時)から100ドル台へ上昇するシナリオがあり得るかを考えるんです。 各国中銀の利下げと経済対策で、どこかの時点で原油の需要が戻ってきたとして、それまでは原油の低価格が続き、アメリカのシェールオイルの会社が壊滅し、アメリカでの産油量が下がると考えます。増産をしかけるサウジだって、原油開発投資のためお金が必要なんですよね。ひとつの井戸で取れる原油量は限られますので、どんどん開発していかなければいけない。その開発資金が無ければ、開発が遅れ、原油の生産は減ってしまう。そんな状況で、原油需要が高まる時期が重なれば、原油高になるかもしれない、というシナリオですね。

今の段階では1年後なのか5年後なのかはわかりませんが、このシナリオが実現する可能性は高いと思います。 価格が上がって、シェール業者が再参入したくても、これまた掘削開始までは時間がかかりますから、すぐに原油の供給が増えることもなさそうですし。
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PickUp編集部:
今のシナリオですと、原油価格上昇になりますね。
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松本:
このシナリオは、いずれ景気が回復してくる、そのときに原油の供給が細っている、ということが前提になっています。繰り返しですけど、今の段階ではいつそうなるかはわからないです。原油100ドルの可能性を占う意味では、景気回復を示す指標や、原油の供給量というのがわかりやすいチェック項目になります。

・・・という感じで、願望から始まる相場シナリオ作りも、組み立てられるのなら良いと思いますよ。無理な願望は、シナリオが組み立てられないですから、諦めがつきますね。
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PickUp編集部:
あきらめ・・・。大事かも。
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松本:
個人投資家の皆さんがシナリオを組み立てる助けとして、またシナリオのチェックポイントを確認するため、私のようなマーケット情報を発信する人のレポートを活用するのがいいかもしれません。レポートを書く人たちは、専門分野についてずーっと調べているわけですから、参考になると思います。

PickUp編集部

松本さんの投資シナリオについての解説が印象的でした。4月20日はNY原油先物価格が史上初のマイナス40ドル台まで暴落し、異例の価格形成となりましたが、果たして原油高シナリオは実現するのか、気になるところです。また、マーケットが注目をしているものを見ておかないと意味がないともお話されていました。 
インタビューの後編は、大荒れの相場についての見方をお伺いしています。

<前編>

f:id:gaitamesk:20050928094155j:plain 松本英毅 氏
よそうかい・グローバル・インベスターズ・インク代表。 会員制米国市場情報サイト「よそうかい.com 」を運営。ニューヨークを拠点に活動し、実際のトレードに役立つ情報提供を身上とする。金融から商品市場まで幅広い知識を有しており、一つの銘柄に捉われることなく総合的な判断を下すことができるのが強み。中でも、1バレル=10ドル時代から追い続けてきた原油市場については造詣が深い。トレード経験を活かした切り口の鋭い分析に定評がある。