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【ファイナンス】外貨預金とFXの為替変動リスクは同じなの?初心者に伝えたいレバレッジの正しいイメージ

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「外貨預金は高金利なので、複利運用すると資産を大きく増やせるため長期投資向きです」と紹介するようなサイトが多く見かけられます。
逆に、「FXは値動きが大きくレバレッジをかけられるので短期投資向き」と書いてあるサイトもありました。

しかし、外貨預金もFXも外国為替取引なので、値動きに対する損益の変動は、まったく同じはずです。
今回は外貨預金もFXも為替変動リスクはまったく同じであることを紹介し、初心者の方々に理解していただきたいレバレッジの正しいイメージについて、解説してみたいと思います。

外貨預金の「預金」という言葉に惑わされてはいけない

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「預金」という言葉のせいか、安全な印象を受ける外貨預金。
預貯金以外の運用経験がなく、資産運用の知識を持たない人が、銀行窓口で外貨預金をお勧めされると、検討に入るお客さまが多いと聞きます。
「低金利時代なので、何か資産運用をしましょう」というセールス文句とともに、株式投資、投資信託、外貨預金の3つを並べられると、外貨預金はさらに安全に見えるようです。

外貨預金は金利よりも手数料は高く、その手数料よりも為替変動率は大きい

前回の記事で紹介したメガバンクグループ系信託銀行の外貨預金の金利、手数料率、終値の年間変動率を図にしてみました。

>>【ファイナンス】年間の変動率と手数料から判断するFXが外貨預金よりもお得な理由


米ドルの外貨預金について

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年間変動率は平均値±標準偏差の値です。
統計学では、ある値が正規分布に従うと仮定した場合、その値は約70%の確率で、(平均値−標準偏差)~(平均値+標準偏差)の範囲に落ち着くと理解されます。

この図から、外貨預金は金利の割には手数料率が高く、それ以上に年間の変動率によってパフォーマンスは大きく変わってくることがわかり、高金利でもなければ安全でもないことがわかります。

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為替レートの変化に対する外貨預金の損益の変化とFXの損益の変化は同じ?!

次に、外貨預金とFXについて、為替レートの変化に対する損益の変化はどのようになるのかを説明します。

為替レートが1ドル100円のときの外貨預金とFX(外貨預金の通貨数と同数の買いポジションを持つ)を比較します。

ここでは、為替レートの変化のみに着目したいので、外貨預金の手数料とFXのスプレッドの両方をゼロ、そして外貨預金もFXも同じ為替レートを使用していると仮定しています。

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外貨預金
100万円を1ドル100円のときに米ドルで預金をするとします。

1,000,000 [円] / 100 [円/米ドル] = 10,000 [米ドル]

1万米ドルが預金できることがわかります。

FX
1ドル100円のときに外貨預金と同じ通貨数量、つまり1万米ドルの買い注文を発注すると、約定代金は

100 [円/米ドル] × 10,000 [米ドル] = 1,000,000 [円]

の買いポジションを持つことになります。

1ドル100円のときの評価損益

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※比較のため、外貨預金の手数料とFXのスプレッドの両方をゼロとしています。また、両者とも同じ為替レートを使用していると仮定しています。


1ドル100円が99円になったときの評価損益はどうなるでしょうか?

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※比較のため、外貨預金の手数料とFXのスプレッドの両方をゼロとしています。また、両者とも同じ為替レートを使用していると仮定しています。


1ドル100円が101円になったときの評価損益はどうなるでしょうか?

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※比較のため、外貨預金の手数料とFXのスプレッドの両方をゼロとしています。また、両者とも同じ為替レートを使用していると仮定しています。

外貨預金の評価損益とFXの評価損益は、まったく同じになることが確認できます。

上記の説明は、FXや投資の知識・経験のある方にとっては当たり前のことです。
投資対象の金融資産が1%変化すれば、その金融資産に対する投資金額やポジションの評価額は1%変化します。
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つまり、外貨預金とFXの為替変動リスクは同じなのです。
外貨預金をするということは、実は変化の激しい為替レートに投資しているという認識をもつようにしてください。
「預金」という言葉のイメージに惑わされてはいけません。

外貨預金は「高金利な預金」ではなく「手数料の高いFX」

このように外貨預金は「高金利」をうたっている割には、金利と同じくらいか、それ以上の手数料を取ります。
また、「預金」が持つ安全な印象とはまったく異なり、為替レートは大きく変動します。
そして、その為替レートによって変化する元本の変化は、同じ通貨数量を用意したFXの買いポジションの評価額の変化と同じです。

私は、このような事実から、
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と認識しても良いのではないかと考えています。

外貨預金と同じポートフォリオを、FXを使ってより効率的に実現

為替変動に対する損益の変動について、外貨預金とFXを比較してみました。
ただ、FXには外貨預金にはない資金効率をあげる仕組みがいくつかあります。

そのひとつがレバレッジです。

外貨預金では1ドル100円のレートのとき、100万円の元本であれば、1万米ドルの外貨を保有することが可能でした。
100万円と1万米ドルを交換したことになります。

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FXでは、外貨預金と同数の外貨のポジションを保有するときに、それと同じ価値の元本を用意する必要はありません。
ポジションの約定代金の一部を預け入れるだけでいいのです。
そのお金が保証金です。
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少ない保証金を預けるだけで、大きな金額のポジションが保有できるというレバレッジは、資金効率に優れています。

100万円の余剰資金で外貨運用をしたいと考えたとき、1ドル100円で外貨預金をするのであれば、1万米ドル保有することができます。

しかし、FXでは会社ごとに決められた保証金を預け入れるだけで、1万米ドルと同数の買いポジションを保有することができるのです。

例えば、100万円の半分である50万円を現金として残し、もう一方の50万円を保証金としてFX会社に預け入れて、1万米ドルの買いポジションを保有したとします。
50万円で100万円分の米ドルのポジションを保有しているので、実質レバレッジは2倍です。

外貨預金を利用する前者もFXを利用する後者も、外貨の数量は同数の1万米ドルなので、為替変動に対する損益の大きさはほぼ同じです。

それでいて後者は、残り50万円をまた別の金融資産に投資するといったことも可能なのです。

同じ為替リスクを取るのなら、「手数料が高いFX」といってもいい外貨預金に余剰資金の100%を預けるよりも、手数料の安いFXで、低レバレッジのポジションを持つほうが良いのではないでしょうか。

初心者に持って欲しい正しいレバレッジのイメージ

さて、ここまで外貨預金とFXを比較して、以下のような特徴を説明しました。

・外貨預金は高金利といっている割には手数料が高い
・外貨預金で保有する外貨数量と同じポジションをFXで保有すれば、為替差損益は同じ
・FXでポジションを保有するときにレバレッジを利用すれば、運用の選択肢が増える


最後、FX初心者のためにレバレッジ関する補足説明をします。

FX取引をする際は、まず、「いま自分がどれだけの金額のポジションを保有しようとしているか」を計算してください。次に「その評価額が自分の保証金の何倍なのか」をイメージしてください。

自分が保有しようとしているポジションの評価額は、現在値×枚数で計算できます。
前述の例では、1ドル100円のときに1万米ドルの取引をしようとしているのだから、「100万円分のポジション」ということです。

100万円は自分に取って高い金額ですか?それとも低い金額ですか?それぞれの状況に応じて認識は異なるとは思いますが、高いか、低いかの答えは出ると思います。

次に、その金額が預けている保証金の何倍になっているのか。
つまり、実質レバレッジはどのくらいかをイメージしてください。

「100万円の保証金を預けて、100万円分のポジションを持つのであれば、実質レバレッジは1倍です。
外貨預金とほぼ同じです。ロスカットはありえないでしょう。

「50万円の保証金を預けていて、100万円分のポジションを持つ」のであれば、実質レバレッジは2倍です。

FX初心者は、自分が預けている保証金に対して、ポジションの評価額が何倍になるのかを考えると、高レバレッジは掛けにくくなります。

しかし、このポジションの評価額(枚数×現在値)の値がわかりにくく、FX初心者は必要保証金から発注可能額だけを計算して取引してしまうので、結果的にハイレバレッジの取引をすることが多いのです。

例えば、1ドル110円のときに「必要保証金として5000円くらいを預け入れておけば、1 Lotの米ドルの取引ができるのか。それならば、50万円預けているのだから、

50 Lot × 110円 = 50 × 1,000 × 110円 = 5,500,000円

50万円の保証金で、550万円の取引をしていることになり、実質レバレッジは11倍です。
意図せずにハイレバレッジな取引をしているのです。

100 Lotを発注することは1,100万円の発注をすることです。
1,100万円は自分に取って高い金額でしょうか?

1,100万円のポジションを持つと、為替レートが悪い方向に1%動いたとき、1,100万円の1%の評価損が発生します。
つまり11万円を損するのです。
このような取引を続けると、保証金の50万円はあっという間になくなります。

このようなハイレバレッジの取引で、自分の保証金を大きく減らさないようにするために、自分がどれだけの金額の投資をしようとしているのか、ポジションの評価額(枚数×現在値)の計算をして、そして、それが保証金の何倍になっているのかをイメージするようにしましょう。

この実質レバレッジのイメージを持つことが、ハイリスク・ハイリターンの取引をしないようにするためのポイントなのです。

 

岩田仙吉(いわたせんきち)氏
株式会社タートルズ代表/テクニカルアナリスト
2004年、東京工業大学から一橋大学へ編入学。専門は数理経済学。卒業後、FX会社のシステムトレードプロジェクトのリーダーになり、プラットフォーム開発および自動売買プログラムの開発に従事。その後、金融系ベンチャーの立ち上げに参画。より多くの人に金融のことを知ってほしいと思い金融教育コンテンツの制作に集中するために会社を創業。現在は、ハイリスク・ハイリターンの投資手法ではなく、初心者でも長く続けられるリスクを抑えた投資手法を研究中。