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第2部 第3部

2部 「どうなる!?米国経済そして米大統領選挙」

中岡望氏

オバマ大統領、ヒラリー上院院内総務が望ましい


中岡 まず、米国大統領選挙の行方だが、民主党候補について大勢はオバマ氏に傾いているが、私はまだヒラリー・クリントン氏にも可能性があると思う。予備選に大きな影響を与える特別代議員約800名のうち半数は、まだ態度を表明していないことを考えれば、彼らの動きで状況が変わる可能性もあるだろう。

吉崎 イラク政策も経済政策も両者にそれほどの違いはない。ただ、私はオバマ優勢だと思っている。カーター元大統領などの大物がオバマ氏支持をほのめかしている。何よりも大きいのはお金の問題だ。私が米国大統領選の予想をする際には、選挙資金がいくら残っているかに注目する。ヒラリー陣営は、すでに限度額いっぱいまで集めており、今後の伸びしろが少ない。ところが、オバマ陣営は1人25〜50ドルなど少額単位の資金を100万人を超える人から集めていて、まだ伸びしろがある。軍資金でオバマ氏優勢と見ている。

中岡 予備選で問われるのは指導者の資質だ。共和党のマケイン候補は、共和党の支持層を代表する候補者になりきっていない。また、米国の選挙民はワシントンを嫌う傾向がある。その意味では、「私の実績を評価してください」というヒラリー氏より、「チャレンジ」を掲げるオバマ氏が受け容れられやすい。ただ、オバマ氏の政治論は弱い気がする。

吉崎 今の時点の政策は、あくまでもたたき台。選挙戦を通じて練り上げていく。経済政策について言えば、ヒラリー氏は医療保険改革について蓄積があるし、有利と言える。一方、オバマ氏は、「サブプライム問題はあまりサブプライムではない」と言っている。「重要なことは、1999年にグラス・スティーガル法が廃止され、その後、金融市場が急速な発展をとげ、運用が複雑化高度化した。それに対する規制、監督が追いつかないなかで問題が起きた」と述べている。他の候補より的確に問題を把握していると思う。

中岡 確かに、米国がこの10年間進めてきた金融の自由化は大きな転換に来ている。しかし、金融規制改革では、クリントン氏は規制派、オバマ氏は市場メカニズムを重視するとしており、民主党と共和党との間に経済政策では大きな差はない。むしろ両党は、社会政策、社会倫理や宗教に関わることが対立の要素になっている。

吉崎 クリントン氏が大統領になった場合、民主党内にも彼女を嫌う層がいるため、共和党が議会選挙で勝つ可能性もある。そうなると議会運営で苦しむことになりかねない。オバマ大統領が誕生し、議会も民主党有利でヒラリーが上院院内総務になって改革案をドンドン出す。これが一番いい体制ではないだろうか。

吉崎達彦氏

米国経済は年後半から回復に向かう?


中岡 ところで、米国経済についてだが、IMFの予想では、08年の米国の成長率は0.2%と急速な落ち込みを示すとしている。特に上半期はリセッションを避けられない見込みだ。雇用統計を初めとする各種経済指標を見ても急速に悪化している。

吉崎 私は去年までは、今年の1−3月期がボトムで、6月から回復するとの見方をしていた。しかしそれは少し甘かった。ひとつは金融の問題が予想以上に深刻だった。もう一つは住宅価格の下落が予想以上に早かった。ただ、6月には戻し税がある。利下げの効果も半年後くらいから現れる。6月はひとつの山でそこから状況が変わると考えている。

中岡 私はもう少し厳しくなると思う。利下げはしたが、長期金利、特に住宅ローン金利は下がっていない。これではサブプライム問題の抜本的な対策にはならない。長期金利が下がらない理由としては、住宅ローンのリスクプレミアムが高いこと、インフレ懸念などがある。しかし、長期金利が下がらないと米国経済は良くならない。また、年後半は米国の景気を支えている個人消費も落ちる可能性がある。そうなると後半回復というシナリオは楽観的すぎるのではないか。

中岡望氏 吉崎達彦氏

極端な円安も超円高もありえない


吉崎 ドル円相場について言えば、私は当面はドル安が続くと見ている。もちろん、ドル安はインフレを起こすなどの問題もあるが、輸出を増やすことにもつながる。ドル円は当面100円を挟む展開が続くだろう。その後については、はっきりしたイメージはないが、ドルが基軸通貨でなくなるとか、極端な円安の可能性はないと思う。

中岡 ドルも安くなっているが、実は、円も安くなっている。円はけして強くない。日本の魅力は相対的に低下しており、円を持つポートフォリオはそれほど魅力的ではなくなっている。その状況で、世界の大きな資金の流れが、もう一度日本に返ってくるかどうかは正直なところ疑問だ。
一方、ドルは、ドルとペッグしている通貨も多いことから、実質相場はそれほど下がっていない。米国の人々自身もドル安はそれほど懸念していない。ドル安の問題は、輸入インフレと海外から資金が環流しなくなることだが、輸入インフレについてもあまり心配されていない。問題は、世界的に見た場合の円の位置づけ。私は、資本が日本から逃げる構造は変わらないと考えている。
もちろん市場はオーバーシュートすることもあるが、日本の成長率が高まる状況にならない限り、1ドル=90円を超える相場は考えられない。その後は110円前後には戻る局面はあるだろうが、米国の景気が悪くなると同時に日本の景気も悪くなるから、マイナスを競い合う局面になる。超円高は幻想に近いのではないかと思っている。

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