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金(ゴールド)週間見通し|物価鈍化でも金は低迷、4,240ドル回復の条件は 2026年10月1日

 

金相場見通し 物価鈍化でも金は低迷 2026年10月1日

作成日時:2026年10月1日 11:30

対象期間:2026年10月1日〜10月8日

監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 小野直人

【この記事でわかること|金価格(XAUUSD)週間見通し】

  • 予想レンジ:3,950〜4,300ドル(中心ゾーンは4,110〜4,240ドル)
  • 上昇要因:米雇用統計・ISM景況指数の発表後に米長期金利が低下するか、中東情勢の落ち着きで原油価格が下がること
  • 下落リスク:物価鈍化でも財政赤字・国債増発への警戒から米長期金利が高止まりすること、原油高の再燃でインフレ懸念と追加利上げ観測が強まること
  • 重要な分岐点:4,110〜4,120ドル(9月28日安値付近)、4,240ドル(75日移動平均線)

10月1日〜10月8日の金スポット(XAU/USD)は、9月28日の急落を四半期末のポジション調整による一時的な下げとみるか、米長期金利の高止まりが続くなかでの下落基調の延長とみるかで、市場でも見方が分かれています。判断軸は2つあります。雇用統計などを受けて米長期金利が低下に転じるか、そして原油高が一服するかです。ご自身ならどちらの材料をより重く見るか、考えながら読み進めてみてください。ベースシナリオは、4,110〜4,240ドルを中心に自律反発を探りつつ、戻りが続くかは米長期金利次第という展開です。

今後1週間の予想レンジ:3,950〜4,300ドル

金価格は前回の予想レンジを下抜け、4,110ドルまで急落

前回は、米金利の上昇が重しになる一方、上場投資信託(ETF)や中央銀行の買い需要が金価格を支える展開を想定し、予想レンジを4,150〜4,400ドルとしていました。しかし9月28日、金スポットは一時4,110.55ドルまで急落しました。重要視していた75日移動平均線と4,200ドルに加え、前回レンジ下限の4,150ドルも割り込んでいます。

(「75日線で下げ止まると思っていたのに……」と感じた方もいるかもしれません。)想定を下回った背景には何があったのでしょうか。まず急落の要因を確認します。

金相場急落の背景:原油高・米金利上昇とポジション調整

原油高からインフレ懸念、米利上げ観測へ

9月28日の下落では、中東情勢への警戒から原油価格が上昇し、インフレ懸念と米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測が強まりました。米金利とドルも上昇し、利息を生まない金には逆風となりました。

四半期末を控えた持ち高調整も重なる

そこに、月末・四半期末を控えた持ち高調整も重なったとみられます。米商品先物取引委員会(CFTC)の統計では、ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物で、マネージドマネー(ヘッジファンドなどの投機筋)のネットロングが8月25日の14万4,747枚から9月22日には12万7,389枚へ減少しています。急落前から、買い持ちは縮小していたことになります。

四半期末を通過したことで、ポジション調整の一巡から自律反発が入る余地はあるものの、その反発が続くかどうかは別の問題です。では、反発を阻む要因はなにかを次にみていきます。

CFTC金先物 投機筋(Non-Commercial)のネットポジション 2026年10月1日

CFTC金先物 投機筋(Non-Commercial)のネットポジション 公表データを基に外為どっとコム作成

金価格はPCEが弱くても戻らず、焦点は米長期金利

先週から今週にかけて最も気になったのは、物価指標が弱くても、金と米国債が十分に反応しなかったことです。

9月30日に発表された8月の個人消費支出(PCE)物価指数は、総合が前年比3.4%と市場予想の3.7%を下回り、10月の追加利上げ観測も後退しました。それにもかかわらず、金は4,200ドル台に定着できず、米長期金利も大きくは低下しませんでした。

(「物価が鈍化したのなら、金は買い戻されてもいいはずでは……」)この疑問を解くカギは、長期金利を押し上げている要因にあるとみられます。

財政懸念と米長期金利の高止まりが金相場の重しに

財政赤字や国債増発への警戒は、本来ならドルの価値が薄まるとの見方から金を支える面があります。実際、8月にはこうした「ディベースメント」が金の買い材料として意識されました。

ただ足元では、財政赤字や国債増発への警戒が長期金利を押し上げ、その金利上昇の影響が金価格に強く表れているとみられます。このため来週は、米雇用統計や米供給管理協会(ISM)の景況指数の結果だけでなく、発表後に米長期金利が実際に低下するかまで確認したいところです。

また、米長期金利のほかに、金価格の反発を左右しそうな材料はあるでしょうか。

金価格の今後を左右する材料:原油と需給

原油安なら米金利低下を通じて買い戻しも

今週は中東情勢の緊張が原油高につながり、そこからインフレ懸念、米金利上昇へと波及しました。反対に、中東情勢が落ち着いて原油価格が低下すれば、インフレ懸念の後退を通じて米金利が低下し、金の買い戻しを後押しする可能性があります。今回は「中東情勢の悪化=金高」と単純には考えにくい局面です。

ETF・中央銀行需要は「下落時の支え」として

一方、ETFや中央銀行による金需要は続いており、中期的な下支えは残っています。ただし今週は、こうした需要があっても4,150ドルを守れませんでした。当面は上昇を引っ張る材料というより、下落した際の支えとみておきたいところです。

では、価格面ではどこが分岐点になるのでしょうか。テクニカルで確認します。

金(XAU/USD)テクニカル分析:移動平均線とRSIで見る4,110ドルの分岐

金スポットテクニカル分析 日足/移動平均線/14日RSI 2026年10月1日

金スポット 日足/25・75・100日移動平均線/14日RSI 外為どっとコム「CFDネクスト」

日足では、25日移動平均線が4,323ドル、75日線が4,240ドル、100日線が4,281ドル付近にあり、金価格はすべての移動平均線を下回っています。14日相対力指数(RSI)は34.21です。

下値では4,110〜4,120ドルが最大の分岐です。ここを守れば4,200ドル、その上は4,240ドルへの戻りが視野に入ります。反対に4,110ドルを明確に割り込むと、4,000ドル、さらに3,950ドルまで下値余地が広がります。

金相場の視点とシナリオの組み立て方

メインシナリオは、4,110〜4,240ドルを中心とした推移です。四半期末の通過でポジション調整が一巡し、自律反発の可能性はありますが、その反発が続くかは米長期金利が低下するかどうかにかかっているとみています。

上方向へ見通しを修正する条件は、雇用統計やISMの発表後に米長期金利が低下に転じる場合です。中東情勢が落ち着いて原油価格が下がり、インフレ懸念の後退を通じて米金利が低下する場合も、これに当たります。その際は4,200ドル、さらに75日線の4,240ドルへの戻りが目安になりそうです。

下方向へ見通しを修正する条件は、指標を受けても米長期金利が下がらない場合や、原油高が再燃してインフレ懸念と利上げ観測が強まる場合です。4,110ドルを明確に割り込めば、4,000ドル、さらに3,950ドルが意識されます。ETFや中央銀行の需要は、こうした下落局面での支えとして働く可能性があります。

買い持ちの方にとっては、4,110〜4,120ドルを守れるかどうかが、保有を続けるか見直すかを考える目安の一つになりそうです。売り持ちの方にとっては、米長期金利の低下や原油安をきっかけとした買い戻しが、ポジションを見直す場面になるかもしれません。

【あなたの見通しは?】金価格の3つのシナリオ

A.米長期金利が下がらず、4,110ドルを割り込んで4,000ドル方向へ

B.金利と需給の綱引きが続き、4,110〜4,240ドルのレンジにとどまる

C.米長期金利の低下で買い戻しが進み、75日線の4,240ドルを上回る

今後の重要イベント

  • 10月1日(木) 18:30 米国 9月チャレンジャー人員削減数
  • 10月1日(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
  • 10月1日(木) 23:00 米国 9月ISM製造業景況指数
  • 10月2日(金) 21:30 米国 9月雇用統計・失業率
  • 10月5日(月) 23:00 米国 9月ISM非製造業景況指数
  • 10月6日(火) 21:30 米国 8月貿易収支
  • 10月7日(水) 27:00 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
  • 10月8日(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数

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外為どっとコム総合研究所
小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。