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【豪ドル円見通し】政策金利発表で豪ドル/円はどう動く? 〜RBA会合直前分析〜 2026年9月28日

 

執筆:テクニカルアナリスト・岩田仙吉氏

各国中央銀行による政策金利の発表前は、為替市場に特有の緊張感が漂います。豪ドル/円相場は、すでに110円台まで水準を切り下げました。直近の戻り高値である114円台後半から見れば、下押し圧力が勝る展開で先週の取引を終えています。こうした局面では、「金利が上がったら豪ドルを『即買い』し、据え置きなら『即売り』する」という単純な二択で判断しがちです。しかし、そのような「前のめり」の姿勢は、相場の”思惑”に、あなたをハマりやすくさせるだけです。

意識するべきは「下値110円前半、上値112〜113円台」です。RBA(オーストラリア準備銀行)の政策金利発表を挟み、この110〜113円台というレンジのなかで、相場がどちらへ振れるかが今回の焦点です。政策金利とともに発表されるRBAの声明も重要です。私たち投資家は、その前に何を押さえておけばよいのか。順を追って確認していきましょう。

織り込み消化なら初動は限定、様子見が本線

こうしたイベントで足をすくわれるケースは、「結果の数字」だけに目を奪われた時です。「追加利上げが決まったのに豪ドルが売られた」「据え置きなのに急騰した」というような、予想とは逆の現象も珍しくありません。

相場を動かしているのは事実だけでありません。むしろ、実際の数字と事前に期待が寄せられていた数字の差分が相場を動かします。好材料でもその内容が想定内なら、発表の瞬間に「利益確定」の売りが出るのです。

オーストラリアの政策金利(キャッシュレート)は現在4.35%です。2026年5月の利上げで4.35%に到達した後、6月と8月の理事会では据え置きとなりました。根強いインフレ圧力を背景に、市場関係者のあいだで、今回4.60%への追加利上げが意識されているとの報道もあります。

ただ、その観測を相場がすでに織り込んでいるなら、金利が引き上げられても、初動の豪ドル買いの推進力は限られて、すぐに上値の重さで押し戻されるでしょう。だから「利上げなら豪ドル買い」と、単純に考えないことが大切です。

今回は期待が先行しているだけに、裏のシナリオに注意しましょう。利上げ観測が意識されるなか、政策金利が4.35%に据え置かれたら、豪ドル買いの期待が剥落し、失望売りに走る可能性があります。相場が鋭く下振れするリスクがあります。

一方で、市場の想定を大きく超える強いタカ派姿勢とともに、利上げが決まった場合には、上値を試す足場になるでしょう。ただし、現状の織り込みから見れば、このシナリオを本命に据えるのはリスクが大きいです。

利上げが意識される局面だからこそ、織り込みが消化されるのを見守り、発表直後に大きな相場変動が起きても、それには乗らないほうが無難です。ポジションサイズは発表前から抑えるようにして、RBAの発表内容と相場の反応を確かめてから動いても、遅くありません。

追加利上げが決まっても、想定内なら上値は重く、豪ドル/円相場の「初動買い」を追う局面ではないと考えています。

インフレ警戒が従来通りなら豪ドルは上値が重い

政策金利の数字以上に、相場トレンドを変えやすいのが、同時に公表される声明のニュアンスです。政策金利が予想通りでも、声明のニュアンス次第で、市場は次の政策が「追加利上げ」なのか、「据え置き長期化」なのか、「緩和方向」なのか、バイアスを書き換え始めます。インフレ警戒感の強さ、労働市場に対する評価、成長率見通しのわずかな変化から、次の方向性を拾います。

追加利上げが意識されている現状では、声明でのインフレ警戒感が、市場の予想範囲で、前回と同じ強さにとどまるなら、豪ドルを買う新しい燃料にはなりにくいです。従来スタンスの踏襲なら「材料出尽くし」と判断されて、上値の重い展開になりやすいです。物価鈍化や景気減速を強くにじませるハト派トーンなら、持つ理由はさらに薄れて、下落圧力が一段と強まります。金利が動かなくても、声明の文言だけで豪ドル/円相場のトレンドが変わる局面です。

逆にRBAが「インフレ抑制のためには追加の引き締めも辞さない」という強いタカ派姿勢を前面に出してきた場合は、調整を抜けて1豪ドル=112〜113円台の上限を試すかもしれません。ただ、私はその可能性は「あまり高くない」と見ています。

おそらく声明が想定内にとどまり、上値が重くなる展開でしょう。日本時間の9月29日14時30分に始まる豪準備銀行(RBA)のブロック総裁の会見が、どのようなトーンになるかを確かめてから、次の一手を決めましょう。声明が想定内なら、豪ドル買いの勢いは続きにくく、上値の重さを確かめる展開になるとみています。

日銀の1.25%と円高材料で上値は限定

豪ドル/円相場の見通しを、豪ドル側だけの要因で判断すると、落とし穴に落ちるかもしれません。クロス円の通貨ペアですから、豪ドルの強さだけでなく、円の地合いもフィルターになります。豪ドル側に買い材料が出ても、円買いが同時に強まれば、上昇幅は打ち消され、上値は重くなりやすいです。

日本銀行はすでに政策金利を1.25%程度に引き上げています。諸外国との金利差を理由にした円売りは、以前ほど続きにくくなっています。さらに米ドル/円相場で円安が進みすぎると、為替介入への警戒が強まります。また、地政学リスクや景気減速で市場がリスク回避に傾けば、円は買われやすくなります。

RBAがタカ派でも、こうした理由から円買いが重なれば、豪ドル/円相場の上昇幅は限定されてしまうでしょう。反対に円安が同時に進む場面となれば、RBAのタカ派姿勢がそのまま豪ドル/円相場の上昇につながりやすくなります。

RBAの発表前後では、豪ドルの強弱だけを追うのではなく、ドル/円相場を中心に円全体の地合いも見てください。豪ドル側に強い材料が出たからといって、それだけで大きく上値を追う展開を期待するのではなく、ポジションサイズを抑えた「様子見」の姿勢を取るほうが安全です。豪ドル/円相場のようなクロス円では、「豪ドル側の話」と「円側の話」を同時に見なければなりません。

私は日銀の引き締めと円買い圧力が相場の”上フタ”となり、RBAの会合で豪ドルの買い材料が出ても、豪ドル/円相場だけが一方的に上昇する展開にはなりにくいと見ています。

豪ドル/円相場のテクニカル分析

ファンダメンタルズ分析が示している上値の重さは、テクニカル分析にも表れています。まずは週足チャートでみてみましょう。

週足では−2σ付近まで下落圧力、110〜113円は調整観察

 

豪ドル/円相場(週足チャート)

週足チャートをみると、豪ドル/円相場の価格は短期・中期移動平均線を下回り、その下に潜り込んだ状態にあることがわかります。長期移動平均線は108円台後半にあって、依然として価格はその上を保っています。

ボリンジャーバンドは−1σを下抜けて、−2σ付近まで接近しています。調整色が一段と強い状況です。MACDもシグナルの下で推移し、下落の勢いが衰えていないことを示しています。114円台後半の高値圏からの下押しはまだ残っており、110円台は「絶好の押し目」ではなく、下落の勢いが試されている観察ゾーンとして扱うべきでしょう。今は短期・中期線の下にある以上、「戻り売り目線にある」と考えるのが自然です。

週足チャートでみておきたい点は、1豪ドル=110〜113円台で下落の勢いが弱まるのか、それとも108円台後半の長期移動平均線に向けてさらに下落が深まるのかということです。

RBA会合で想定外のタカ派サプライズが出れば、111円台半ばにある中期移動平均線あたりまで買い戻される場面もありそうです。ただ、週足チャート全体では下落の勢いが勝っており、急いで買い場を探す必要はないでしょう。下げ止まったかどうかの判断を急ぐと、余計な損失が増える可能性があります。トレンドが上向きになったと考えるのは、週足チャートで短期・中期移動平均線(111円台半ば〜112円台前半)を上回るところまで戻してからでも遅くありません。

日足では長期線付近で上昇一服、発表前後は様子見

 

豪ドル/円相場(日足チャート)

日足チャートは、相場の調整をより細かく映してくれます。豪ドル/円相場は短期移動平均線が中期移動平均線の下にあり、上昇トレンドの終わりを示唆する並びです。

なお、終値は短期移動平均線の下にあります。−1σを下抜けたあと、110円台前半にある日足の長期移動平均線付近まで接近しています。MACDはマイナス圏でシグナルの下なので、日足でも売りの勢いが優勢です。RBAの政策金利と声明が想定内なら、1豪ドル=110〜113円台のレンジで方向感のない値動きが続きそうです。

私が考える裏シナリオは2つです。まず、RBA会合の結果がタカ派サプライズなら112〜113円台への戻りを試すでしょう。逆にハト派寄りや円高が重なれば、長期移動平均線の明確な下抜けです。長期線を割り込めば、−2σ方向へ深掘りするリスクが高まります。

上昇が一服して、長期線付近にいる以上、RBAの発表前から”決め打ち”する必要はありません。短期線の上抜けか、それとも長期線の下割れか、その決着がついてからでも遅くないのです。イベント前はポジションサイズを抑えて、どちらに相場が抜けるかを見極めることに集中しましょう。

ポジションは小さく、反応を確かめてから

まず発表時刻を押さえましょう。日本時間で9月29日13:30に政策金利と声明が発表されます。その後、14:30からRBAのブロック総裁会見です。この時間帯は注文が交錯し、数十pips上下に往復する可能性があります。発表直後の1本の足だけで方針を決めないようにしましょう。

イベント直後の急騰や急落への飛びつきや、ノイズでの慌てた損切りは避けます。相場の波が落ち着くまで、手出しは控えて、ポジションサイズを小さくするか、ポジションを持たずに静観するほうが、損を出しにくくなります。スプレッドが広がる局面で、普段通りにエントリーすると、不利になりやすいので気をつけましょう。

RBAの発表後に確認するのは次の3点です。
・金利結果が事前予想に対してどうだったか
・声明と会見で、インフレや労働市場のトーンにどんな変化があったか
・110〜113円台を維持しているか、長期移動平均線を割り込んだか

上振れする条件は、想定超の強気と、チャートが日足の短期移動平均線を明確に上抜けて定着した場合です。そこから上向きの追随を検討しても十分に間に合います。

下振れする条件は、ハト派な声明と円高が重なり、長期移動平均線を明確に割り込んだ場合です。戻り売り目線に切り替えましょう。やるべきことはポジションサイズを抑え、発表後の反応を確かめることです。やってはいけないのは、発表直後の飛びつきと一方通行の追随です。

焦ってリスクを取る必要はありません。状況を確認し、十分に準備を整えてから、落ち着いて相場に入るようにしましょう。

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岩田仙吉(いわたせんきち)氏
株式会社タートルズ代表/テクニカルアナリスト
2004年、東京工業大学から一橋大学へ編入学。専門は数理経済学。卒業後、FX会社のシステムトレードプロジェクトのリーダーになり、プラットフォーム開発および自動売買プログラムの開発に従事。その後、金融系ベンチャーの立ち上げに参画。より多くの人に金融のことを知ってほしいと思い金融教育コンテンツの制作に集中するために会社を創業。現在は、ハイリスク・ハイリターンの投資手法ではなく、初心者でも長く続けられるリスクを抑えた投資手法を研究中。