
作成日時:2026年9月25日 12時
予想期間:2026年9月25日〜10月2日
監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 小野直人
【この記事でわかること|SP500見通し】
- SP500予想レンジ:7,550〜7,820ポイント
- 上昇要因:PCE・ISM価格指数・平均時給の落ち着き、米金利の上昇一服、中東情勢の緊張緩和
- 下落リスク:米10年債利回りの5.3%台への上昇、ブレント原油110ドル方向、インフレ指標の強さ
- 判断軸:米金利、インフレ指標(PCE・ISM価格指数・平均時給)、原油・ディーゼル価格
- テクニカル:7,675(25日)・7,586(75日)・7,556(100日)・7,550〜7,590支持帯、7,750〜7,780・7,800〜7,820抵抗帯
SP500は7,550〜7,820ポイントでの推移がメインシナリオです。見通しを左右する判断軸は、米10年債利回りの水準、PCE・ISM価格指数・平均時給が示すインフレの行方、そして中東情勢を受けた原油価格の3つです。
あなたなら、どの材料を最も重視するでしょうか。ご自身の見立てと照らし合わせながら読み進めてみてください。
今週のS&P500(SP500):7,800ポイントの壁を再び意識
SP500は今週、前週末の7,650.50ポイントから7,780ポイント前後まで上昇しました。21日に原油安と米金利低下が重なり、AI・半導体株への買いが指数を押し上げた格好です。原油と金利という二つの重しが同時に軽くなったことが、上昇の原動力でした。
しかし、その流れは続かず、SP500は7,800ポイントを前に失速しました。背景にあるのは、米景気の強さと、それを受けた米金利上昇です。9月の米総合購買担当者景気指数(PMI)は58.4と2021年7月以来の高水準となり、物価圧力も強まりました。
「景気が強いなら、株には良い話では?」と感じる方もいるかもしれません。実際、景気の強さは企業業績には追い風です。ただ、景気の底堅さがかえって追加利上げ観測を高めるという悩ましさも抱えています。
いまのSP500は、景気・業績が下値を支える一方、それを背景とした金利上昇が上値を抑える状態にあるとみられます。この綱引きのどちらが強まるのかを確かめる材料が、来週の経済指標です。
来週の焦点:PCE・ISM・平均時給でインフレ鈍化を見極め
来週の経済指標で確かめたいのは、米景気が強いか弱いかではありません。強い景気の中でもインフレが鈍化できるのかという点です。
PCEデフレーター:前年比より前月比と金利反応が重要
まず注目されるのが、9月30日の個人消費支出(PCE)デフレーターです。今回は米商務省経済分析局(BEA)の年次改定と重なり、資産運用・投資助言サービスなどの算出方法も変更されます。これにより過去のコアPCEが下方修正され、前年比の伸び率も低く出る可能性があります。
「PCEが下がれば、インフレ鈍化と受け止めてよいのでは?」と考えたくなるところです。しかし今回は、前年比が低下しても、それだけで足元のインフレが鈍化したとは判断されにくいでしょう。筆者は前年比より前月比と、発表後の米金利の反応を重視しています。
ISM価格指数・平均時給:インフレ圧力の残存をチェック
PCEだけで判断せず、10月1日の米供給管理協会(ISM)製造業景況指数では価格指数を、2日の米雇用統計では平均時給まで確認したいところです。
PCEの前年比が低下しても、ISM価格指数や平均時給が強ければ、市場は「インフレ圧力は残っている」と判断しやすくなります。反対に、この3つがそろって落ち着けば、追加利上げ観測が後退し、米長期金利も上昇しにくくなり、株価上昇を後押しするとみられます。
中東情勢と原油価格:インフレを外から押し上げる経路
インフレを左右するのは、米経済指標だけではありません。もう一つの経路が、中東情勢と原油・ディーゼル価格です。
今週21日に原油価格が下落した背景には、米国とイランの対話進展期待などがありました。これがインフレ懸念を和らげ、米金利低下と株高につながりました。一方、24日はフーシ派によるサウジアラビアへの攻撃を受け、ブレント原油が一時108ドル台まで上昇しました。その後は米国とイランの協議期待から上げ幅を縮めています。
注意したいのは、外交進展への期待で原油が下がっても、実際の需給が十分に改善したわけではない点です。ディーゼルなど精製品の在庫も低水準にあり、中東情勢への期待が崩れれば、石油製品価格は再び上昇しやすい状態にあります。
そのため、中東情勢悪化→原油・ディーゼル高→インフレ懸念→米金利上昇→SP500の上値圧迫という流れには、引き続き注意が必要とみられます。PCEが多少弱くても、原油が110ドル方向へ上昇すれば、金利低下を打ち消す可能性があります。
AI関連株:下値を支えるが選別色が強まる
金利と原油が上値の重しになる一方、高金利でもSP500が大きく崩れない理由の一つがAI関連株です。AI需要は依然として強く、企業の設備投資もSP500の下支え材料になっています。
とはいえ、資金市場では変化も出ています。AI関連企業による起債が増えるなか、投資家の選別が強まり始めました。オラクルのProject Jupiter(プロジェクト・ジュピター)でも、融資や電力確保をめぐる問題が表面化しています。これをAI市場全体の失速とみるのは早いものの、高金利下でもAI投資なら無条件に評価される局面ではなくなりつつある点は、7,800ポイント台を考えるうえで頭の片隅に置いておきたいところです。
テクニカル分析:三角もち合いが煮詰まり支持帯・抵抗帯が明確化

こうしたファンダメンタルズの綱引きは、チャートの形にも表れています。SP500の日足は、高値を切り下げる線と安値を切り上げる線に挟まれ、三角もち合いが煮詰まりつつあります。相対力指数(RSI)も49.1と中立圏です。
下値では、まず25日移動平均線の7,675ポイントが第一の支持です。その下には75日線の7,586ポイントと100日線の7,556ポイントがあり、7,550~7,590ポイントが第二の支持帯になります。上値は7,750~7,780ポイント、その上の過去最高値圏を含む7,800~7,820ポイントが抵抗帯です。
SP500のシナリオ:7,550〜7,820ポイント中心の推移を想定
筆者のメインシナリオは、7,550~7,820ポイントでの推移です。米景気が底堅く企業業績への安心感もあるため、大きく売り崩される展開は想定しにくいとみています。その一方で、景気の強さが追加利上げ観測を支えているため、7,800ポイント台では上値も重くなりやすいとみています。
上方向シナリオ:金利上昇一服なら7,820突破を試す
焦点は、7,750~7,780ポイントを抜け、7,800~7,820ポイントを突破できるかです。そのために必要なのは、PCEや平均時給の落ち着き、中東情勢の緊張緩和などを受けて、5.2%台まで上昇した金利が5.1%台へ低下する、あるいは少なくとも上昇が止まることが条件になるとみられます。7,820ポイントを明確に上抜ければ7,850~7,900ポイント、さらに上では8,000ポイントが意識されます。
下方向シナリオ:金利5.3%・ブレント原油110ドルで下値試し
米10年債利回りが5.3%方向へ上昇し、原油が110ドルを試す、あるいはISM価格指数や平均時給が上振れるなら、下方向への警戒が必要です。その場合、まず25日線の7,675ポイント、次に7,550~7,590ポイントの支持帯を維持できるかが試されそうです。
ポジション別の戦略:買いは支持帯、売りは抵抗帯を基準に判断
すでに買いポジションをお持ちの方にとっては、7,550~7,590ポイントの支持帯が、上昇基調が保たれているかを測る一つの目安になりそうです。売りポジションをお持ちの方にとっては、7,800~7,820ポイントの抵抗帯が上値の目安になります。ただし、上抜けた場合の7,850~7,900ポイントも視野に入れておく必要があるかもしれません。
「景気が強いから株高」なのか、それとも「景気が強いから追加利上げ観測が強まり、上値が抑えられる」のかで、描くシナリオは変わってきます。
【あなたの見通しは?】
A.米金利上昇や原油高が重しとなり、7,550ポイントを下回る
B.景気の強さと金利上昇が拮抗し、7,550~7,820ポイントでもみ合う
C.インフレ指標の落ち着きや米金利の上昇一服で、7,820ポイントを上抜ける
今後の重要イベント
- 9月25日(金) 21:30 米国 8月耐久財受注
- 9月29日(火) 22:00 米国 7月住宅価格指数
- 9月29日(火) 23:00 米国 9月消費者信頼感指数
- 9月29日(火) 23:00 米国 8月JOLTS求人件数
- 9月29日(火) 27:00 米国 NY連銀総裁発言
- 9月30日(水) 21:15 米国 9月ADP雇用統計
- 9月30日(水) 21:30 米国 8月PCEデフレーター
- 9月30日(水) 21:30 米国 8月個人所得・個人消費
- 9月30日(水) 21:30 米国 4-6月期GDP確定値
- 9月30日(水) 28:25 米国 クックFRB理事発言
- 10月1日(木) 07:00 米国 ミネアポリス連銀総裁発言
- 10月1日(木) 18:30 米国 9月チャレンジャー人員削減数
- 10月1日(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
- 10月1日(木) 23:00 米国 9月ISM製造業景況指数
- 10月2日(金) 21:30 米国 9月雇用統計
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
