
作成日時:2026年9月24日 11:30
対象期間:2026年9月24日〜10月1日
監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 小野直人
【この記事でわかること|金価格(XAUUSD)週間見通し】
- 米長期金利5%超でも金価格は4,200ドル台を維持、需給の強さが下支え
- 上値を抑える要因:米実質金利の高止まり、金保有の機会費用増加
- 下値を支える要因:世界の金ETF保有量が過去最高、中国人民銀行の金購入(20.2トン)
- 重要な分岐点:4,400〜4,412ドル(25日線・抵抗帯)、4,308ドル(100日線)、4,246ドル(75日線)
- 来週の焦点:米8月PCEデフレーター、実質金利の反応が方向性を決定
- 来週の予想レンジ:4,150〜4,400ドル
米長期金利が5%を超えるなかでも、金価格は4,200ドル台を維持しています。金利が上がれば金は売られやすいはずなのに、なぜ崩れないのでしょうか。「金利の重さがいずれ効いてくる」のか、それとも「需給の強さが上回る」のかが、今後の方向を見るポイントです。
金利と需給、あなたはどちらをより重く見ますか。ご自身ならどの材料を重視するかを考えながら、読み進めてみてください。
金価格は75日線で反発も、4,400ドル台には定着できず
前回は、米連邦公開市場委員会(FOMC)後も米金利の高止まりが重しとなる一方、4,200ドル台前半の75日移動平均線が下値支持になるとみていました。
実際の金相場は、原油安によるインフレ懸念の後退や米金利・ドルの低下を受けて反発しました。9月18日には一時4,399ドル台まで上昇しています。しかし4,400ドル台には定着できず、その後は追加利上げ観測や米金利上昇を受けて反落しました。
(「4,400ドルを超えれば一段高もあるのでは……」と期待した方もいたかもしれません。)結果として、75日線では買いが入りやすい一方、4,400ドル近辺では上値を抑えられる構図が続いています。では、何が金の上値を抑えているのでしょうか。まず米実質金利から確認します。
金相場(XAU)見通し|米金利と需給に挟まれて停滞
上値を抑える要因:米実質金利の高止まりと機会費用
米景気の底堅さや、米連邦準備制度理事会(FRB)高官のインフレ警戒を背景に、23日に5%を超え、5.11%まで上昇しました。
金は利息を生まない資産です。そのため金価格にとって特に重要なのは、インフレを差し引いた実質金利です。実質金利が上昇すれば金を保有する機会費用が高まり、価格には下押し圧力がかかります。
このため筆者は、基本線として米実質金利が金の方向を左右するとみています。ただ、金利が大きく上昇している割に、金価格は崩れていません。この底堅さを支えているのが、次に見る需給面です。
下値を支える要因:過去最高のETF保有量と中国の金購入
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、8月の世界の金ETFには180億ドルの資金が流入し、保有量は121トン増の4,189トンと過去最高を更新しました。9月に入っても資金流入は続いています。
また、中国人民銀行は8月に20.2トンの金を購入しました。中国では宝飾品などの実需は弱いものの、中央銀行やETFを通じた公的・投資需要は底堅く推移しています。
つまり足元の金相場では、実質金利上昇による売り圧力と、ETFなどの買い需要が拮抗していると考えられます。(「では、どちらが先に崩れるのか……」)その答えを左右しそうなのが、来週の米物価指標です。
均衡を崩すのは米物価指標か、PCEまではレンジ推移の見方
9月30日には米8月PCEデフレーターが発表されます。物価が予想を上回れば追加利上げ観測が強まり、実質金利の上昇を通じて金には下押し圧力がかかりそうです。反対にインフレ鈍化が確認されれば、利上げ織り込みの後退から金が買い戻される可能性があります。
発表までは金利と需給のどちらにも決定打が乏しく、筆者は少なくとも米物価指標まではレンジ推移が続きやすいとみています。
金(スポット)テクニカル分析:移動平均線が示す上値抵抗と下値支持

テクニカル面では、上値は4,308ドルの100日線、その上は25日線を含む4,400〜4,412ドルが抵抗帯です。下値では4,246ドル付近の75日線が最大の分岐点です。75日線を割り込めば4,200ドル、その下は4,150ドルが意識されます。
予想レンジは4,150〜4,400ドルです。まずは75日線を守れるかを確認し、その後は米物価指標を受けて実質金利がどちらへ動くかが、次の方向を決めるポイントになりそうです。
金相場の視点とシナリオの組み立て方
メインシナリオは、米物価指標の発表までは75日線(4,246ドル付近)と4,400ドル近辺に挟まれたレンジ推移が続き、発表後の実質金利の動きが次の方向を決める、というものです。
上方向へ見通しを修正する条件は、PCEデフレーターでインフレ鈍化が確認され、実質金利が低下する場合です。利上げ織り込みが後退すれば、4,308ドルの100日線、さらに25日線を含む4,400〜4,412ドルの抵抗帯が次の目安になります。
下方向へ見通しを修正する条件は、物価が予想を上回り、追加利上げ観測とともに実質金利が上昇する場合です。ただし、ETFへの資金流入や中央銀行の金購入が続く限り、下値を支える需要は残ります。
買い持ちの方にとっては、75日線を維持できるかどうかが、保有を続けるか見直すかを考える一つの目安になりそうです。売り持ちの方にとっては、インフレ鈍化をきっかけとした買い戻しが、ポジションを見直す場面になるかもしれません。これから取引を検討する方は、PCEの結果と実質金利の反応を確かめてから判断するという考え方もあります。
【あなたの見通しは?】
A.物価上振れで実質金利が上昇し、75日線(4,246ドル付近)を割り込む
B.金利と需給の綱引きが続き、4,250〜4,330ドルのレンジにとどまる
C.インフレ鈍化で買い戻しが進み、4,400ドルトライ
今後の重要イベント
- 9月24日(木) 米国 21:30 新規失業保険申請件数
- 9月24日(木) 米国 23:00 8月新築住宅販売件数
- 9月25日(金) 米国 21:30 8月耐久財受注
- 9月29日(火) 米国 23:00 9月消費者信頼感指数
- 9月29日(火) 米国 23:00 8月JOLTS求人件数
- 9月30日(水) 米国 21:15 9月ADP雇用統計
- 9月30日(水) 米国 21:30 8月PCEデフレーター・コアPCE
- 9月30日(水) 米国 21:30 4-6月期GDP・確定値
- 10月1日(木) 米国 18:30 9月チャレンジャー人員削減数
- 10月1日(木) 米国 21:30 新規失業保険申請件数
- 10月1日(木) 米国 23:00 9月ISM製造業景況指数
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
