
作成日時:2026年9月17日 12:00
予想期間:2026年9月17日〜9月24日
監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 小野直人
【この記事でわかること|金価格(XAUUSD)週間見通し】
- 今後1週間の金(ゴールド)/XAUUSDの予想レンジ:4,100〜4,430ドル
- 反発条件:中国人民銀行の金購入や中国金ETFへの資金流入、原油高の一服と米長期金利の低下、100日移動平均線(4,321ドル)の回復
- 下落リスク:FOMCの利上げと年内の追加利上げ観測、米10年債利回り5%台とドル高、原油100ドル超によるインフレ懸念、投機筋の買い越し(約23.2万枚)の手仕舞い売り
- 重要な分岐点:4,431ドル(25日移動平均線)・4,321ドル(100日移動平均線)・4,239ドル(75日移動平均線)の攻防
米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決まり、金相場は大きく下落しました。今後は、この下落が75日移動平均線付近でいったん下げ止まるのか、それとも下落基調がさらに続くのかが焦点です。高金利の長期化や原油高が逆風となる一方、中央銀行や中国の上場投資信託(ETF)による買いは下値を支える材料として残っています。
ベースシナリオは、金の上値は重く、75日移動平均線が位置する4,239ドル前後で下げ止まれるかを確認する展開です。
見通しを左右する判断軸は、米長期金利とドルの動き、原油価格の行方、そして75日線を維持できるかの3点とみられます。このうちどの材料を最も重視するかで、描くシナリオも変わってきます。ご自身ならどこに注目するかを考えながら、読み進めていただければと思います。
金価格(XAUUSD)前回予想の振り返り
前回は4,280〜4,510ドルを予想していました。25日線を回復できるまでは上昇再開とみなしにくい一方、4,300ドル台ではETFや中央銀行の買いが下値を支えるとみていました。
しかし実際には、原油高、米景気の底堅さや物価の高止まりにFOMCの利上げが重なり、金は想定以上に下押しされました。では、今回の利上げで市場の関心はどこへ移ったのでしょうか。
金価格(XAUUSD)見通し――FOMC後は高金利長期化が重し
ドットプロット(政策金利見通し)は年内の追加利上げを示唆
米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%としました。18人の政策当局者のうち16人が、年内に少なくとももう1回の利上げを想定しています。政策金利見通しの中央値は、2026年末、2027年末ともに上方修正されて4.1%となりました。
米10年債利回り5%台とドル高が金の逆風に
市場の焦点は「今回利上げしたか」から、高金利がどこまで長引くかへ移っているとみられます。米10年債利回りは14日に一時5%台へ上昇し、FOMC後にも再び5%を上回りました。高い長期金利とドル高は、利息を生まない金にとって引き続き逆風となりそうです。
もっとも、今回の金価格の下落は米金利だけでは説明しきれず、もう一つの要因として原油価格があります。
原油100ドル超が金価格の逆風に――インフレと米金利を警戒
中東情勢を背景に、ブレント原油は一時109ドル近辺まで上昇しました。今回は地政学リスクによる安全資産としての金買いよりも、原油高→インフレ懸念→米金利上昇→金売りという経路が強く意識されたとみられます。
足元では供給懸念がやや後退し、原油価格は高値から低下していますが、なお100ドルを上回っています。来週も原油高が続けば、インフレ懸念を通じて米金利の高止まりを支え、金には逆風となる可能性があります。一方で原油高が一服すれば、インフレを通じた金利上昇圧力が一つ弱まることになります。ただし、それが金の反発につながるかは、米長期金利とドルの動きを合わせて確認する必要がありそうです。
こうした逆風のなかでも、需給面には下値を支える材料が残っています。
金の需給関係
中国人民銀行とETFの買い需要
中国人民銀行は8月に20.2トンの金を購入しました。中国の金ETFにも9月上旬まで資金流入が続くなど、中長期の買い需要は残っています。一方で中国の現物需要には弱さもみられ、需給が全面的に強いとまではいえない状況です。
CFTC建玉にみる手仕舞い売りのリスク

米商品先物取引委員会(CFTC)が公表するニューヨーク商品取引所(COMEX)金先物の建玉では、9月8日時点の非商業部門(投機筋)の買い越しが約23.2万枚と、前週から増加しました。価格が下落してもロングポジションは十分に整理されていません。そのため、重要な支持水準を割り込んだ場合には、手仕舞い売りが下落を増幅する可能性にも注意が必要とみられます。
金価格(XAUUSD)テクニカル分析
移動平均線とRSIの位置
FOMC後、金は一時4,240ドル前後まで急落し、75日移動平均線の4,239ドルに接近しました。現在値は100日線4,321ドル、25日線4,431ドルを下回っており、上値の重い状態が続いています。
14日相対力指数(RSI)は35.3まで低下しています。ただ、一般的な売られ過ぎの目安とされる30には達しておらず、現時点で反発を積極的に示すシグナルは確認できません。このため75日線は、「ここから反発する水準」というより、下落がもう一段進むかを見極める分岐点と考えています。

金スポットの上下の節目
4,239ドルを維持したうえで100日線4,321ドルを回復できれば、FOMC前の高値4,365ドル、さらに25日線が位置する4,430ドル前後まで戻す余地があります。ただ、25日線を回復できないうちは、こうした上昇も下落後の自律反発の範囲にとどまる可能性があります。
反対に4,239ドルを明確に割り込めば、まず4,200ドルを試し、そこも崩れる場合は4,100ドル方向への下振れが警戒されます。
予想レンジ:4,100〜4,430ドル
今後の金価格を左右するシナリオ
メインシナリオは、FOMC後も高金利長期化への警戒から金の上値は重く、75日移動平均線の4,239ドル前後で下げ止まれるかを確認する展開です。これはあくまで一つの見方であり、同じ材料を前にしても、強気・弱気の双方に根拠があります。
上方向へ見通しを修正する条件
4,239ドルを維持して100日線4,321ドルを回復し、さらに25日線4,431ドルを明確に上回って定着した場合です。このとき初めて、下落基調の修正を意識する段階に入るとみられます。原油高の一服や米長期金利の低下、中央銀行・ETFの買いの継続は、この見方を後押しする材料になりそうです。
下方向へ見通しを修正する条件
4,239ドルを明確に割り込んだ場合です。4,200ドル、さらに4,100ドル方向への下振れが視野に入ります。米10年債利回りの5%前後での定着や原油高の継続に加え、投機筋の手仕舞い売りが重なれば、下げが加速する可能性も考えられます。
立場ごとの見え方
すでに買いポジションをお持ちの方にとって、75日線は保有を続けるかどうかを判断する目安の一つになりそうです。4,321ドルや4,431ドルまでの戻りを、自律反発とみるか、基調転換の入り口とみるかで、対応は分かれるでしょう。
売りポジションをお持ちの方にとっては、75日線割れで下落が一段進むかが焦点とみられます。一方、4,321ドルの回復は、想定を見直すきっかけになる可能性があります。
新規で検討される方も含め、どの条件を重視するかは人それぞれです。ご自身の見立てやポジションの状況に合わせて、戦略を組み立てていただければと思います。
【あなたの見通しは?】
A.75日線4,239ドルを守り、100日線4,321ドル方向への戻りを試す
B.4,239ドルを割り込み、4,200ドルから4,100ドル方向への下落が進む
C.米金利と原油の方向感が定まらず、4,239〜4,321ドル付近でのもみ合いが続く
今後の重要イベント
- 9月17日(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
- 9月22日(火) 26:00 米国 2年債入札
- 9月23日(水) 22:45 米国 9月製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値
- 9月23日(水) 22:45 米国 9月サービス業PMI速報値
- 9月23日(水) 26:00 米国 5年債入札
- 9月24日(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
- 9月24日(木) 23:00 米国 8月新築住宅販売件数
- 9月24日(木) 26:00 米国 7年債入札
- 9月24日(木) 26:40 米国 20〜30年債バイバック
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
