
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野直人
執筆日時 2026年9月11日 15時30分
【この記事でわかること|ユーロ円・ポンド円見通し】
- ユーロ円の予想レンジ:177.00〜181.50円
- ポンド円の予想レンジ:205.50〜211.00円
- 今週は円高が想定以上に進行(円キャリー巻き戻し・日銀利上げ観測の強まり)
- ユーロ円:ECB追加利上げ観測が下支え、RSIは売られ過ぎ水準へ
- ポンド円:英国金利上昇と財政懸念、BoEの慎重姿勢との温度差に注意
今週のユーロ円・ポンド円の動向|想定以上の円高進む
ユーロ円、ポンド円は今週、そろって前週の予想レンジ下限を割り込みました。ユーロ円は177.85円、ポンド円は207.09円まで下落しました。その後は11日15時時点で、それぞれ179円台、208円台まで戻しています。
前週の記事では日銀の追加利上げ観測を警戒していましたが、実際には9月利上げだけでなく、その先の利上げ継続や円キャリー取引の巻き戻しまで意識され、円高の勢いは想定以上となりました。
ただし、9月の日銀利上げはすでに相当程度織り込まれています。筆者のメインシナリオは、日銀が市場の期待ほど追加利上げを急ぐ姿勢を示さなければ、円買いがいったん一服し、ユーロ円、ポンド円とも今週安値から持ち直す余地があるというものです。日銀内でもその後の利上げペースには見方の違いがあり、植田総裁が明確な利上げ経路を示す可能性は高くないとみられています。
なお、11日21時30分の米CPIは執筆基準時点では未発表です。結果次第ではFOMCの利上げ観測やドル/円が動き、週明けのユーロ円、ポンド円のスタート地点にも影響する可能性があります。
(各レート水準は執筆時点のもの)
ユーロ円予想|ECB追加利上げ観測と日銀会合後の反発余地
欧州中央銀行(ECB)は10日、3つの政策金利を0.25ポイント引き上げ、中銀預金金利を2.50%としました。ECBは2027年、2028年のインフレ見通しも上方修正しており、エネルギー高などによる物価上昇への警戒を強めています。
これを受け、市場では追加利上げを意識する動きがみられました。一方で、2.50%でいったん利上げを休止するとの見方も残っており、ここからさらに利上げが続くかについては市場でも見方が分かれています。
それでもECBの金融引き締め姿勢は、ユーロの下支え材料になりそうです。来週のユーロ円は、ECB材料に支えられるなか、日銀会合を通過して円買いが一服するかが反発の鍵になりそうです。
ユーロ円テクニカル分析|RSI30%割れと移動平均線の位置
ユーロ円の日足では25日移動平均線が183.47円、100日移動平均線が184.57円と現在値より上にあり、上値の重さが意識されやすい状態です。一方、14日RSIは28.5まで低下し、短期的には売られ過ぎに近づいています。
ユーロ円の下値目安|177円台のサポート
- 今週安値の177.85円
- 予想レンジ下限の177.00円
ユーロ円の上値目安|180円・181円台の戻り余地
- 心理的節目の180.00円
- 円買いが一服すれば181.00〜181.50円までの反発も視野
ユーロ円の予想レンジ:177.00〜181.50円
【ユーロ円チャート 日足】

ポンド円予想|市場とBoEの温度差が戻りを左右
英国では10年債利回りが5.378%と2007年8月以来、約19年ぶりの高水準まで上昇しました。足元の上昇には、中東情勢やエネルギー価格、世界的な金利上昇に加え、10月28日の予算案を前にした財政運営への警戒も影響しているとみられます。
ただし、英中銀(BoE)は市場ほど利上げを急いでいません。市場では11月利上げへの思惑がくすぶる一方、エコノミストの多くは17日の据え置きを予想しており、市場の期待とBoEの慎重姿勢にはやや温度差があります。
来週は雇用統計、消費者物価指数(CPI)、17日のBoE会合と材料が続きます。特にBoE会合では、政策金利そのものに加えて票割れや声明の内容にも注目したいところです。
ポンド円テクニカル分析|RSI低下と移動平均線の重さ
ポンド円も25日移動平均線が214.10円、100日移動平均線が214.76円と現在値を大きく上回っています。14日RSIも26.9と30を下回っており、短期的には売られ過ぎ感がみられます。
ポンド円の下値目安|206円・205円台の節目
- 今週安値の207.09円
- 次の節目となる206.00円
- 予想レンジ下限の205.50円
ポンド円の上値目安|210円・211円台の戻り余地
- まず210.00円を回復できるか
- 円買いが一服すれば211.00円まで戻す余地
ただし、ユーロにはECBの追加利上げ期待が残る一方、ポンドは市場の利上げ期待にBoEが追いつかない可能性があります。両通貨とも戻り余地はあるものの、ポンド円については英国指標とBoEの反応をやや慎重に確認したいところです。
ポンド円の予想レンジ:205.50〜211.00円
【ポンド円チャート 日足】

重要イベント・経済指標(2026年9月14日〜9月18日)
- 9月15日(火)
- 13:30 日本 7月第三次産業活動指数
- 15:00 イギリス 7月失業率(ILO方式)
- 18:00 ドイツ 9月ZEW景況感調査
- 18:00 ユーロ 9月ZEW景況感調査
- 21:30 アメリカ 9月ニューヨーク連銀製造業景気指数
- 9月16日(水)
- 08:50 日本 8月貿易統計
- 15:00 イギリス 8月消費者物価指数
- 18:00 ユーロ 7月鉱工業生産
- 21:30 アメリカ 8月小売売上高
- 21:30 アメリカ 8月輸入物価指数
- 23:00 アメリカ 9月NAHB住宅市場指数
- 27:00 アメリカ 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
- 27:30 アメリカ ウォーシュ米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
- 9月17日(木)
- 08:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
- 18:00 ユーロ 8月消費者物価指数(HICP、改定値)
- 20:00 イギリス イングランド銀行(BOE、英中央銀行)金利発表
- 20:00 イギリス 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
- 21:30 アメリカ 新規失業保険申請件数
- 21:30 アメリカ 8月住宅着工件数
- 21:30 アメリカ 8月建設許可件数
- 9月18日(金)
- 未定 日本 日銀金融政策決定会合、終了後政策金利発表
- 08:30 日本 8月全国消費者物価指数(CPI)
- 15:00 ドイツ 8月生産者物価指数(PPI)
- 15:00 イギリス 8月小売売上高
- 15:30 日本 植田和男日銀総裁、定例記者会見
- 17:00 ユーロ 7月経常収支
- 18:00 ユーロ 7月建設支出
- 22:15 アメリカ 8月鉱工業生産
ハロンズFX「来週のユーロ円 ポンド円見通し」
- ユーロ円 ポンド円見通し:ECBと英GDPが反発の鍵 2026/9/5
- ユーロ円 ポンド円見通し:日欧英の利上げ期待で上値は限定か 2026/8/29
- ユーロ円 ポンド円見通し:ともに上昇も強さに差 2026/8/22
小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
