
作成日時 2026年9月11日 12時00分
対象期間 2026年9月11日~9月18日
監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 小野直人
【この記事でわかること|SP500見通し】
- 今後1週間(9月11〜18日)のSP500の予想レンジ:7,400〜7,750ポイント
- 上昇要因:企業業績の底堅さ、AI需要の継続、FOMC後に米長期金利が落ち着く場合のリスク資産回復
- 下落リスク:米長期金利の上昇(米10年債利回り5%接近)、中東情勢の不透明感、エネルギー高、インフレ再加速懸念、AI大型株の選別売り
- 重要な分岐点:7,696ポイント(25日線)・7,600ポイント・7,557ポイント(75日線)・7,514ポイント(100日線)・7,500ポイント・7,400ポイントの攻防
9月11〜18日のSP500(米国株価指数)の見通しは、企業業績の底堅さを評価して押し目買いを入れる向きがある一方、米長期金利の上昇を理由に上値を追えないとみる向きもあり、同じ材料を見ても結論が割れているのが実情です。判断を左右する軸は一つ、米長期金利が落ち着くかどうかです。以下では前週からの変化、米連邦公開市場委員会(FOMC)、長期金利、人工知能(AI)関連株、テクニカル分析の順に整理します。ご自身がどの材料を重く見るかを考えながら読み進めていただければと思います。
なお、11日21時30分には8月米消費者物価指数(CPI)が発表されます。結果次第ではFOMCの利上げ観測や米長期金利の水準が変わる可能性があり、来週のスタート地点を左右する材料です。
前提が崩れた前週|SP500は7,600ポイントと25日移動平均線を割り込む
今週のSP500は、企業業績の底堅さとAI需要を支えに、7,600ポイントを維持できれば最高値圏を再び試す展開を想定していました。ただしその前提として、米長期金利が落ち着くことを挙げていました。
実際には、この前提が崩れました。SP500は9月10日に7,600ポイントを割り込み、25日移動平均線も下回っています。企業業績が急速に悪化したわけではありません。重しとなったのは、中東情勢の不透明感、エネルギー価格の上昇、そして強い米雇用や物価指標を背景としたインフレ懸念と米長期金利の上昇です。
前週は「金利が落ち着けば最高値更新」を想定していましたが、今週はインフレ懸念→米連邦準備制度理事会(FRB)の引き締め警戒→米金利上昇という下振れシナリオのほうが強まった格好です。この変化を踏まえ、予想レンジを7,400〜7,750ポイントに設定しています。
SP500見通し|米長期金利5%の攻防が株価を左右
FOMCと8月雇用統計|FRBがハト派に傾きにくい背景
来週の最大の焦点は、9月15〜16日のFOMCです。
8月雇用統計では非農業部門雇用者数が16.2万人増と市場予想を大きく上回り、労働市場の底堅さが確認されました。加えて、エネルギー価格の上昇などからインフレ再加速への警戒も残っています。この組み合わせでは、FRBが積極的にハト派へ傾くのは難しいとみられます。
もっとも、株式市場にとって重要なのは政策金利そのものだけではありません。経済見通しやドットプロット、ウォーシュFRB議長の会見を受けて、米長期金利がどちらへ動くかのほうが、株価への影響は直接的になりそうです。据え置きでも追加利上げの可能性を残せば金利は高止まりしやすく、株価の戻りも限られる可能性があります。逆に、今後の利上げに慎重な姿勢が示されれば、SP500が7,700ポイント台を回復する条件が整うとみられます。
米10年債利回りと国債バイバック|金利低下の効果は限定的
金利の動きが焦点になるのは、足元で米長期金利そのものが株式市場の重しになっているためです。
中東情勢の不透明感やエネルギー価格の上昇がインフレ懸念を強めれば、米長期金利には上昇圧力がかかりやすくなります。特に米10年債利回りが5%へ接近すれば、債券の投資妙味が高まる一方、株式のバリュエーションには一段の低下圧力がかかることになります。
金利を抑える側の材料としては、米財務省による国債バイバックの拡大がありますが、これまでのところ長期金利を大きく押し下げる効果は確認できていません。バイバックはあくまで市場流動性の改善策であり、インフレや財政赤字、国債供給といった金利上昇要因そのものを解消するものではないためです。
そのため来週は、FOMCや米財務省の対応を受けて、長期金利が実際に落ち着くのかどうかを見極めることになりそうです。
高金利下のAI関連株|投資額より「収益性」が問われる局面へ
金利が高止まりした場合、影響は債券市場だけにとどまりません。これまで株価をけん引してきたAI関連企業にも、より厳しい評価が向かいやすくなります。
AI需要そのものが弱くなったわけではありません。ただ、高金利が長期化するほど、巨額のAI投資については「どれだけ投資するか」ではなく「その投資をどれだけ利益につなげられるか」が問われやすくなります。
一方で、米企業の業績そのものはまだ底堅く、株価の下支え材料として残っています。そのため、米10年債利回りが5%手前で落ち着けば、7,500ポイント近辺では企業利益を評価した押し目買いが入りやすいとみています。
しかしながら、前週と比べれば、中東情勢、エネルギー高、インフレ再加速、米長期金利上昇と、株価を取り巻くリスク要因は増えています。そこへAI大型株の選別売りが重なった場合、企業業績の底堅さだけでは下落を止めきれない可能性も残ります。
テクニカル分析|移動平均線とRSIで見る上値の節目と支持帯

上方向では、まず7,600ポイントを回復できるかが焦点です。その上には25日移動平均線の7,696ポイント付近があり、ここを明確に上抜ければ7,750ポイントが視野に入ります。
下方向では、75日移動平均線の7,557ポイント、100日移動平均線の7,514ポイント、心理的節目の7,500ポイントが重要な支持帯となります。
14日相対力指数(RSI)は44.2で、まだ売られ過ぎとはいえない水準です。米長期金利が一段と上昇し、AI関連株にも売りが広がれば、7,500ポイントを割り込み、7,400ポイント方向まで調整余地が広がる可能性があります。逆にFOMCを受けて長期金利が落ち着けば、企業業績の底堅さが改めて評価され、7,700ポイント台を回復する展開も考えられます。
SP500の視点とシナリオの組み立て方
筆者のメインシナリオは、企業業績の底堅さから大幅な下落を基本シナリオとはしないものの、外部環境の悪化を踏まえ、来週は上値追いより下振れにやや警戒するというものです。予想レンジは7,400〜7,750ポイントとします。
これはあくまで一つの見方です。ご自身の見立てに合わせて、判断の材料として使い分けていただければと思います。
- 上方向へ修正する条件:FOMC後に米長期金利が低下し、米10年債利回りが5%から距離を取ること。この場合、7,696ポイント(25日移動平均線)の上抜けから7,750ポイント、さらに7,700ポイント台の定着が現実味を帯びます。
- 下方向へ修正する条件:米長期金利が一段と上昇し、AI関連株に選別売りが広がること。7,500ポイントを明確に割り込めば、7,400ポイント方向までの調整も想定に入ります。
すでに買い持ちの方にとっては、7,557ポイント、7,514ポイント、7,500ポイントという支持帯がどこまで機能するかが判断材料になりそうです。売り持ちの方であれば、企業業績を評価した押し目買いが入りやすい水準に近づいている点と、FOMCで金利が落ち着いた場合の戻りの余地をどう見積もるかが焦点になります。
【あなたの見通しは?】
A.FOMCを受けて米長期金利が落ち着き、SP500は7,700ポイント台を回復する
B.7,500ポイント近辺で下げ止まり、方向感の出にくいレンジ推移が続く
C.米長期金利の上昇が続き、7,500ポイントを割り込んで7,400ポイント方向を試す
今後の重要イベント
- 9月11日(金) 米国 21:30 8月消費者物価指数
- 9月15日(火) 米国 21:30 9月NY連銀製造業景気指数
- 9月16日(水) 米国 21:30 8月米小売売上高
- 9月16日(水) 米国 21:30 8月米輸入物価指数
- 9月16日(水) 米国 23:00 9月NAHB住宅市場指数
- 9月16日(水) 米国 27:00 FOMC政策金利発表・経済見通し・ドットプロット
- 9月16日(水) 米国 27:30 ウォーシュFRB議長会見
- 9月17日(木) 米国 21:30 新規失業保険申請件数
- 9月17日(木) 米国 21:30 8月住宅着工・建設許可件数
- 9月17日(木) 米国 米財務省バイバック(7〜10年、上限40億ドル)
- 9月18日(金) 米国 22:15 8月米鉱工業生産
※「27:00」「27:30」は翌17日午前3:00、3:30を示します。
※リアルタイムの価格はこちらから確認できます。
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
