
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野直人
執筆日時 2026年9月4日 15時00分
【この記事でわかること】
- ユーロ円の予想レンジ:179.00〜183.00円
- ポンド円の予想レンジ:208.50〜213.00円
- ユーロ円・ポンド円が急落した主因(円買い・日銀利上げ観測)
- ユーロ円:ECB利上げ後の政策見通しと、HICP・エネルギー高が焦点
- ポンド円:BoE利上げ観測と英国財政懸念、円相場(国債入札・日銀要人発言)の影響
今週のユーロ円・ポンド円は急落|主役は日銀利上げ観測
前回はユーロ円を184.00〜187.50円、ポンド円を214.00〜218.50円と予想しましたが、今週は想定以上に下方向のレンジが拡大しました。ユーロ円は185円台から181円台、ポンド円も216円台から211円台まで水準を切り下げています。
ユーロやポンドが対ドルで大きく崩れたわけではなく、日銀の9月利上げ幅が拡大するとの思惑や、その後の利上げペース加速を織り込む円買いが主因です。一方、日銀を巡っては関係者の話として、9月の利上げ幅は0.25%にとどまるとの見方も報じられました。
来週は8日に日本で5年国債入札があります。入札後、2〜5年金利を中心に金利が上昇し長短金利差が縮小すれば、日銀の利上げ加速観測を映して円高を支ええる、一方、財政懸念から長期・超長期金利がより大きく上昇すれば、「悪い金利上昇」として円売りへ戻る可能性もあります。円側の動きを確認しながら、ECBや英国の財政・景気など、ユーロとポンド固有の材料を見極める一週間になりそうです。
ユーロ円予想|ECBは「次の利上げ」までの距離が焦点
ユーロ圏の8月消費者物価指数(HICP)速報値は前年比+3.3%へ上昇し、9月10日のECB理事会では0.25%の利上げが有力視されています。一方、コアインフレは前年比+2.4%へ鈍化しており、物価上昇にはエネルギー高の影響もみられます。
そのため、利上げそのものよりラガルドECB総裁が「次の利上げ」までの距離を近づけるのか、遠ざけるのかが重要となります。今回はECBスタッフの経済見通しも公表されるため、インフレや成長率の見通しがどう変わるかも判断材料です。
インフレ上振れやエネルギー高の波及への警戒を強めれば、追加利上げが近いとの見方からユーロを支えそうです。一方、基調インフレの鈍化や景気への配慮を強調すれば、次の利上げまで時間があるとの見方が広がり、ユーロ/円の上値を抑える可能性があります。
ユーロ円テクニカル分析
ユーロ円の日足では、25日移動平均線が184.06円、100日移動平均線が184.97円、200日移動平均線が184.31円付近です。14日RSIは33.0です。
前回は184円台前半を下値支持とみていましたが、現在は3本の移動平均線をすべて下回り、184円台が戻りの抵抗帯へ変わっています。
まずは予想レンジ上限の183.00円を回復できるかが焦点です。下方向では181円を割り込むと180円、さらに8月安値の179.37円付近が次のポイントです。ここも下抜ければ、予想レンジ下限の179.00円が視野に入ります。RSIは売られ過ぎに近く、急落後の反発にも注意が必要です。(各レート水準は執筆時点のもの)
【ユーロ円チャート 日足】

ポンド円予想|財政懸念とBoE利上げ期待の綱引き
英国では物価圧力への警戒を背景に、年内のBoE利上げを見込む動きが強まっています。ただし、利上げのタイミングは9月会合ではなく、現状は11月以降との見方が中心です。
来週はまず、7日のヒーリー財務相の発言に注目です。英国債利回りは高水準にあり、財政規律への懸念が再燃して長期・超長期債が売られれば、金利高でもポンドが売られる「悪い金利上昇」となる可能性があります。
BoEの利上げ観測が強まるなか、11日の7月月次GDPも重要です。GDPが強ければ、景気は追加利上げに耐えられるとの見方からBoEの利上げ期待を支えそうです。反対に弱ければ、BoEが利上げを急がず待てるとの見方を強め、ポンドの上値を抑える可能性もあります。
BoEの次回金融政策委員会(MPC)は9月17日です。11日のGDPは会合直前の主要な景気材料となるため、結果に対するポンドの反応も大きくなる可能性があります。
ポンド円テクニカル分析
ポンド円の日足では、25日移動平均線が214.89円、100日移動平均線が215.01円、200日移動平均線が213.05円付近です。14日RSIは32.6です。
25日線、100日線だけでなく200日線も下回っており、テクニカルは前回から明確に悪化しました。まずは213.05円前後の200日線を回復できるかが上方向に向かうかのチェックポイントです。
下方向では210円が心理的な節目となり、その下は8月安値の209.55円付近が重要です。ここを割り込むと、予想レンジ下限の208.50円前後まで調整が広がる可能性があります。RSIは売られ過ぎに近く、下値を追う場面では反発にも注意したいところです。
(各レート水準は執筆時点のもの)
【ポンド円チャート 日足】

重要イベント・経済指標(2026年9月7日〜9月11日)
- 9月7日(月)
- アメリカ レイバーデーで米国市場休場
- イギリス ヒーリー財務相、主要政策演説
- 15:00 ドイツ 7月鉱工業生産(前月比)
- 18:00 ユーロ 4-6月期四半期域内総生産(GDP、確定値)
- 9月8日(火)
- 12:35 日本 5年債入札
- 08:30 日本 7月毎月勤労統計調査・現金給与総額(前年同月比)
- 08:50 日本 4-6月期四半期実質国内総生産(GDP、改定値)
- 26:00 アメリカ 3年債入札
- 9月9日(水)
- 26:00 アメリカ 10年債入札(リオープン)
- 9月10日(木)
- 08:01 イギリス 8月RICS住宅価格指数
- 08:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
- 10:30 日本 増・日銀審議委員、発言
- 15:00 ドイツ 8月消費者物価指数(CPI、改定値)
- 21:15 ユーロ 欧州中央銀行(ECB)政策金利・スタッフ経済見通し
- 21:30 アメリカ 8月卸売物価指数(PPI)
- 21:30 アメリカ 新規失業保険申請件数
- 21:45 ユーロ ラガルドECB総裁、定例記者会見
- 26:00 アメリカ 30年国債入札(リオープン)
- 26:40〜27:00 アメリカ 米財務省10〜20年国債バイバック
- 9月11日(金)
- 08:50 日本 7-9月期四半期法人企業景気予測調査
- 08:50 日本 8月国内企業物価指数
- 15:00 イギリス 7月月次国内総生産(GDP)
- 15:00 イギリス 7月鉱工業生産
- 15:00 イギリス 7月製造業生産指数
- 15:00 イギリス 7月貿易収支
- 21:30 アメリカ 8月消費者物価指数(CPI)
- 23:00 アメリカ 9月ミシガン大学消費者態度指数・速報値
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
