
作成日時:2026年9月3日 11:20
予想期間:2026年9月3日〜9月10日
監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 小野直人
【この記事でわかること】
- 今後1週間の金(ゴールド)/XAUUSDの予想レンジ:4,250〜4,550ドル
- 上昇要因:米金利低下・利上げ観測の後退、ディベースメント警戒、4,300ドル割れからの買い戻し
- 下落リスク:FRBの利上げ観測強まり、米金利上昇、投機筋ネットロングの手仕舞い
- 重要な分岐点:4,422ドル・4,339ドル・4,250ドル台の攻防
金相場(ゴールド)の見方は、いま市場でもはっきり割れています。米財政やドルの希薄化(ディベースメント)を理由に押し目買いを続ける参加者がいる一方で、米金利上昇を重く見て戻り売りに回る参加者もいます。ベースシナリオは4,250〜4,550ドルのレンジ内での推移で、その方向を決める判断軸は、9月4日の米雇用統計を受けて米金利と利上げ観測がどちらへ動くかという一点だとみています。以下では今週の下落要因と反発の条件を整理していきますので、ご自身がどの材料を重く見るのかを意識しながら読み進めていただければと思います。
金(ゴールド)価格は前回予想の下限を割り込み、主役は再び米金利へ
金スポットは大きく調整しました。前回は4,400〜4,750ドルを予想し、4,530ドルを維持できれば4,700ドル台を試す展開を想定していました。しかし、8月28日のウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長によるジャクソンホール講演をきっかけに利上げ観測が強まり、金価格は急落。9月2日には一時4,300ドルを割り込み、前回予想の下限を明確に下回りました。
前週までの金相場には、米財政への警戒やドルの希薄化、投資資金の流入という強い追い風がありました。そのため米金利が上昇しても金が崩れにくい状態が続いていましたが、今週は状況が一変しています。「米金利上昇=金安」という従来の関係が再び強まり、相場の主役が米金利へ戻ったとみられます。
下落を決定づけたのは、FRBの金融政策を巡る見方の変化です。ウォーシュ議長がインフレへの警戒姿勢を示したことで9月利上げ観測が強まり、米国債利回りとドルが上昇し、金相場に下押し圧力がかかりました。
さらに米国とイランを巡る緊張も、今回は「有事の金買い」にはつながっていません。原油価格の上昇がインフレ懸念を強め、債券売りを通じて米金利を押し上げたためです。つまり、地政学リスク → 原油高 → インフレ警戒 → 米金利上昇 → 金安という経路が優勢でした。ディベースメントへの警戒が消えたわけではありませんが、短期的には金を支える追い風より、米金利上昇という向かい風の方が強くなったと整理できます。
4,300ドル割れからの反発が示した条件と、米雇用統計
ただし、金相場が一方的に弱くなったわけでもありません。9月2日は一時4,300ドルを割り込んだものの、その後は米金利とドルの上昇が一服すると買い戻されました。8月のADP民間雇用者数が市場予想を下回ったことも、利上げ観測を抑える材料となっています。
この値動きが示しているのは、経済指標そのものの強弱より、それを受けて米金利やFRBの利上げ観測がどう動くかが値動きを決めているという点です。指標の数字だけを見て方向を決めると、思惑の逆を行かれる場面が出てくるかもしれません。
次の焦点は9月4日の米雇用統計です。雇用の減速が鮮明となり米金利が低下すれば、金価格の反発が続く可能性があります。一方、雇用が底堅ければ利上げ観測が維持され、再び下値を試す展開も考えられます。

需給面では、投機筋のネットロングが8月18日の22万2,189枚から25日には24万3,334枚へ増えています。米金利が再び上昇する局面では、積み上がった買いポジションの手仕舞いが下落を増幅する可能性にも目配りが要りそうです。
テクニカルの分岐点は4,339ドルと4,422ドル
日足のテクニカルでは、25日移動平均線が4,392ドル、100日移動平均線が4,356ドル、75日移動平均線が4,259ドル付近に位置します。14日RSI(相対力指数)は50.0まで低下し、過熱感はほぼ解消しています。

まず、9月2日に一度割り込んだ4,339ドルを再び下回らずに推移できるかが、下値安定の目安になりそうです。
上方向では、25日移動平均線とフィボナッチ38.2%戻しが重なる4,392〜4,422ドルが最初の関門です。ここを明確に上抜ければ、4,524ドルから予想レンジ上限の4,550ドルまで反発余地が広がります。
反対に4,339ドルを再び割り込めば、75日移動平均線の4,259ドルとフィボナッチ61.8%戻しの4,256ドルが重なる4,250ドル台が次の下値メドとして意識されそうです。
金スポットの視点と、シナリオの組み立て方
筆者のメインシナリオは、4,250〜4,550ドルのレンジ内で、米雇用統計を受けた米金利の方向を探る展開です。前週までの強烈な追い風から一転、今週は米金利という向かい風に押し戻されましたが、金利が低下すれば買い戻しが入ることも2日の値動きで確認されています。
すでに買い持ちの方にとっては、4,339ドルを維持できるかどうかが、含み損の拡大を測る一つの目安になるかもしれません。4,422ドルを回復すれば、ディベースメント警戒を背景とした買いが再び前面に出る展開も想定できます。売り持ちの方にとっては、4,250ドル台という下値メドと、雇用統計が弱かった場合の急な買い戻しリスクの両にらみになりそうです。
もっとも、これはあくまで一つの見方にすぎません。4,422ドルを超えて反発を強めるのか、それとも4,339ドルを再び割り込み4,250ドル台を試すのか。米雇用統計と米金利の動きがその分岐を決めることになりそうですが、どちらの材料を重く見るかで結論は変わります。ご自身の見立てに合わせて、見通しを変える条件をあらかじめ決めたうえで戦略を組み立てていただければと思います。
【あなたの見通しは?】
A.米雇用統計は弱含み、米金利低下とともに4,422ドルを回復して反発が続く
B.4,339ドルを再び割り込み、4,250ドル台まで下値を試す
C.方向感は出ず、4,250〜4,550ドルのレンジ内でもみ合いが続く
今後の重要イベント
- 9月3日(木) 米国 21:30 7月貿易収支
- 9月3日(木) 米国 21:30 4-6月期非農業部門労働生産性・改定値
- 9月3日(木) 米国 21:30 新規失業保険申請件数
- 9月3日(木) 米国 23:00 8月ISM非製造業景況指数
- 9月4日(金) 米国 21:30 8月雇用統計
- 9月7日(月) 米国 レーバーデー
- 9月10日(木) 米国 21:30 8月卸売物価指数(PPI)
- 9月11日(金) 米国 21:30 8月消費者物価指数(CPI)
- 9月15日(火)〜16日(水) 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
