
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野直人
執筆日時 2026年8月28日 14時00分
【この記事でわかること】
- ユーロ円の予想レンジ:184.00〜187.50円
- ポンド円の予想レンジ:214.00〜218.50円
- 今週のユーロ円・ポンド円が上値を伸ばせなかった理由(円相場・日銀要人発言)
- ユーロ円:ECB利上げ後の政策見通しと、ドイツCPI・ユーロ圏HICPが分岐点
- ポンド円:BoE早期利上げ観測の後退と、円相場(G20・日銀要人発言・米雇用統計)の影響
今週のユーロ円・ポンド円は上昇一服、円相場にも左右される
2026年8月24〜28日のユーロ円・ポンド円は、前週までの戻り基調を維持しつつも、上値を伸ばし切れない展開となりました。ユーロ円は185円台を中心に推移し、7月高値187.47円には届かず、ポンド円も25日に217.46円前後まで上昇した後は216円台へ押し戻されました。
今週は欧州・英国の材料だけでなく円相場の影響も大きく、27日の氷見野日銀副総裁が「毎回の会合でしっかり議論する」と述べ、物価の上振れリスクへの警戒を強めました。28日の東京都区部消費者物価指数(CPI)もコアが前年比+1.8%へ3カ月連続で伸びを拡大し、コアコアは+2.0%となるなど、基調的な物価の底堅さが意識されました。両通貨とも戻り基調は維持したものの、日銀の9月利上げ観測が上値を抑えた一週間と整理できます。
ユーロ円予想|ECB利上げ後まで意識できるか
来週のユーロ円予想レンジは184.00〜187.50円で、上値は限定的となりやすい見通しです。ユーロを支えているECBの9月利上げは、もはや「実施されるか」よりも、その先まで金融引き締めが続くかを考える段階に入っています。27日に公表されたECB議事要旨では、7月の据え置きを引き締め終了とは位置付けず、インフレ見通しが大きく改善しなければ追加利上げが必要になる可能性が高いとの認識が示されました。しかし、市場では9月利上げをかなり織り込んでおり、期待だけではユーロを一段高へ押し上げにくくなっている点が重要です。
そこで焦点となるのが、8月31日のドイツCPIと9月1日のユーロ圏HICPです。インフレの粘着性が改めて確認されれば、9月利上げだけでなく、その後の政策金利見通しも意識され、187円方向を試す余地が広がりそうです。逆にHICPが鈍化すれば、積み上がった利上げ期待の巻き戻しからユーロ売りが強まる可能性があります。
ユーロ円テクニカル分析
テクニカルでは、185.15円の100日移動平均線を維持できるかが目先のポイントです。186.00円を明確に突破すれば7月高値の187.47円が視野に入る一方、下値は184.25〜184.39円に200日線と25日線が集中しており、このゾーンを割り込むと戻り基調を見直す必要がありそうです。(各レート水準は執筆時点のもの)
【ユーロ円チャート 日足】

ポンド円予想|BoE早期利上げ観測の後退が重し
来週のポンド円予想レンジは214.00〜218.50円で、上値は円相場の影響を受けやすい展開となりそうです。今週は217円台まで上昇しましたが、その勢いは続きませんでした。英国ではインフレ圧力が残る一方、労働市場の弱さを背景にBoEの早期利上げ観測は後退しています。ただし、利上げ観測そのものが消えたわけではなく、市場では利上げ時期が2027年方向へ後ずれする形となっていて、ECBによる9月利上げをかなり織り込むユーロとは、金融政策の時間軸に差が出ています。
来週は英国の重要経済指標が少なく、ポンド独自の材料で上値を追うにはやや力不足です。4日の建設業PMIに加え、日銀や米雇用統計を受けた円相場の影響を受けやすいでしょう。とくに8月31日〜9月1日のG20では、植田総裁の発言機会やベッセント米財務長官との接触があれば、9月の日銀利上げ観測を動かす可能性があります。さらに2日には高田日銀審議委員の発言も予定されており、円側の材料には注意が必要です。
ポンド円テクニカル分析
テクニカルでは、215.08〜215.37円に100日線と25日線が集まり、重要な下値支持帯となっています。この水準を維持する間は戻り基調を保ちやすいものの、割り込めば214円方向への調整に注意が必要です。上値は今週高値の217.50円前後が最初の壁となり、突破できれば218.50円を試す余地があります。(各レート水準は執筆時点のもの)
【ポンド円チャート 日足】

重要イベント・経済指標(2026年8月31日〜9月4日)
- 8月31日(月)〜9月1日(火)
- G20財務相・中央銀行総裁会議
- G7財務相・中央銀行総裁会議
- 8月31日(月)
- 21:00 ドイツ 8月消費者物価指数(CPI、速報値)
- 9月1日(火)
- 08:50 日本 4-6月期四半期法人企業統計調査・ソフトウェア含む全産業設備投資額
- 18:00 ユーロ 8月消費者物価指数(HICP、速報値)
- 23:00 アメリカ 8月ISM製造業景況指数
- 23:00 アメリカ 7月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
- 9月2日(水)
- 10:30 日本 高田日銀審議委員、発言
- 21:15 アメリカ 8月ADP雇用統計
- 27:00 アメリカ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
- 9月3日(木)
- 18:00 ユーロ 7月卸売物価指数(PPI)
- 21:30 アメリカ ウォラーFRB理事、発言
- 21:30 アメリカ 新規失業保険申請件数
- 23:00 アメリカ 8月ISM非製造業景況指数
- 9月4日(金)
- 15:00 ドイツ 7月製造業新規受注
- 17:30 イギリス 8月建設業購買担当者景気指数(PMI)
- 18:00 ユーロ 7月小売売上高
- 21:30 アメリカ 8月雇用統計
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
