
作成日:2026年8月24日 11時50分
対象期間:2026年8月24日~8月31日
8月24日〜31日のドル円の予想レンジは157.00〜160.50円。米長期金利の水準を重く見るか、それとも金利が戻してもドルが買われなかった事実を重く見るかで、同じ材料から逆の結論が出るため、市場では見方が分かれています。26日の米PCEと28日のウォーシュFRB議長講演を受けて、米利上げ観測にどのような影響が及ぶか、以下を読み進めながら、ご自身がどの材料に重みを置くのかを確かめてみてください。
今週のドル円の予想レンジ:157.00〜160.50円
ドル円相場を動かした前週の変化|米金利が上がってもドルが買われない
前週のドル円相場を動かしたのは、米財務省による長期国債の買い戻し拡大でした。発表直後は米長期金利が低下し、ドルも大きく売られています。その後、米10年債利回りは4.7%台まで戻したものの、ドルは週間を通して主要通貨に対し軟調なままでした。
金利が元の水準に戻ってもドルがついてこなかった、というのがこれまでと少し違っている点として意識されます。米金利の高さだけではドルを支え切れない場面が出てきたわけで、このずれが一時的なものにとどまるのか、それとも定着するのか。それを見極める材料が、今週の米経済指標に集中しています。
今週の注目材料|米PCEとウォーシュFRB議長のジャクソンホール講演
26日の米PCEと28日の議長講演が利上げ観測を再評価させる
最重要イベントは、26日21時30分の米7月個人消費支出(PCE)物価指数と、28日23時のウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長のジャクソンホール講演です。7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨ではインフレ警戒が強まり、追加利上げの可能性は残りました。この可能性が生きているのか、それとも薄れつつあるのか。物価指標と議長発言は、市場にその再評価を迫る位置にあります。
同時刻に控える米雇用者数のベンチマーク改定にも注意
同じ28日23時には、米非農業部門雇用者数の年次ベンチマーク改定の速報値も公表されます。企業調査による雇用者数を、より包括的な雇用データと照合し、2026年3月時点の雇用水準がどの程度修正される見込みかを示すものです。大幅な下方改定なら「米雇用はこれまで考えられていた以上に弱かった」との見方につながり、ドルの重しになる可能性があります。 もっとも今回は速報値であり、公式の雇用統計が直ちに書き換わるわけではありません。講演と時刻が重なることもあって、週内で最もドル円が振れやすい時間帯になりそうです。
円相場の材料|日銀の追加利上げ観測は残るが、優先度は一段下げて見る
米国側に比重が偏るとはいえ、円側にも確認材料はあります。7月の全国消費者物価指数(CPI)コア指数は前年比1.8%と6月から加速し、日銀の追加利上げ観測は後退していません。27日の氷見野副総裁の発言と28日の東京都区部CPIが、その観測を裏づけるかどうかの次の焦点になります。
それでも、全国CPI発表後の円高は限定的にとどまりました。円買い材料としての効き方が鈍い以上、現時点では米国材料より優先度を一段下げて見ておくのが自然かと思われます。
投機筋のポジションと投資家センチメントと|円売りポジション増加も、ドル円を押し上げ材料には不足

2026年8月18日現在、円買いポジションは前週比で-5,256枚となり、円売りポジションは前週比で+5,552枚とりました。これに伴い、投機筋ポジションの売り越しは前週比で+10,808枚となっています。ポジション面では円安圧力が残っていますが、その後ドル円が158円台まで下落した点を踏まえると、円売りポジションの増加だけではドル円を押し上げにくくなっていることにも注意が必要です。
ドル円テクニカル分析|200日移動平均線158.36円をめぐる攻防

材料を受けた値動きを測る物差しとして、テクニカル面の水準を整理しておきます。25日移動平均線が160.10円、75日線が160.47円、200日線が158.36円、14日RSIは43.1です。現在値は25日線と75日線を下回りながら、200日線近辺で踏みとどまっている格好です。
下方向は、158.36円を明確に割り込めば157.00円が次の下値目安となります。上方向で意識されるのは160.10〜160.20円の帯で、ここを超えられれば75日線160.47円が視野に入ってきます。
ドル円シナリオの組み立て方
筆者のメインシナリオは、158円台を中心としたレンジ相場です。ただ、金利とドルのねじれが表面化した分、前回より下値リスクは高まっているとみています。158.36円を維持できるうちは押し目形成の余地を残し、割れた場合は157円方向への下押しに備える、という組み立てになります。
上方向へ修正する条件は、PCEが強く、ウォーシュ議長も物価抑制を優先する姿勢を示すこと。この場合は160円方向への反発余地が出てきます。下方向へ修正する条件は、物価が鈍化して利上げに慎重な発言となるか、ベンチマーク改定が大幅な下方修正となること。いずれかが重なれば、158円割れを試す可能性が高まりそうです。
すでに買い持ちの方は158.36円を維持できるかが、売り持ちの方は160.10〜160.20円を超えられずに終わるかが、それぞれ判断の分かれ目になりやすい水準といえます。
【あなたの見通しは?】
A.米金利の高止まりと日銀材料の反応の鈍さを重視する。158円台の押し目に妙味があるとみる
B.金利が戻してもドルが買われなかった変化を重視する。158.36円割れから157円方向を意識する
C.どちらとも決めない。158.36円割れか160.20円超えを確認してから、抜けた方向に合わせる
今後の重要イベント
- 8月24日(月)02:00 米国 ベッセント財務長官、会見
- 8月25日(火)14:00 日本 日銀・消費者物価のコア指標
- 8月26日(水)08:50 日本 7月企業向けサービス価格指数
- 8月26日(水)21:30 米国 7月PCE・PCEデフレーター、4〜6月期GDP改定値
- 8月27日(木)10:30 日本 氷見野日銀副総裁、埼玉県金融経済懇談会で挨拶
- 8月27日(木) 21:30米国 新規失業保険申請件数
- 8月28日(金)08:30 日本 8月東京都区部CPI、7月失業率
- 8月28日(金)19:00 日本 外国為替平衡操作の実施状況
- 8月28日(金) 23:00米国 非農業部門雇用者数の年次ベンチマーク改定・速報値
- 8月28日(金) 23:00米国 ウォーシュFRB議長、ジャクソンホールで基調講演
