
作成日時 2026年8月21日 11時19分
監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 小野直人
今週(8月21〜28)のSP500は7,500〜7,850ポイントのレンジを想定します。 最大の焦点は7,600ポイントの支持帯を維持できるかと、米長期金利の動向・エヌビディア決算(8月26日)の2点です。 金利が落ち着き決算が強ければ上昇余地、逆に金利高止まりなら調整が進む可能性があります。ご自身がどちらの材料をより重く見るかを考えながら読み進めてみてください。
予想レンジ:7,500〜7,850ポイント
米長期金利の高止まりがSP500の上値を抑制
足元の米国株で最も警戒したいのは、米国債利回りの高止まりです。
米30年債利回りが2007年以来の高水準まで上昇した局面では、SP500やナスダック総合指数が下落し、AI・半導体関連株には特に強い売りが出ました。背景には財政不安に加えて、中東情勢の緊迫を受けた原油高があります。エネルギー価格の上昇がインフレ懸念を通じて長期金利を押し上げ、株式を圧迫するという流れです。
その後、米財務省による長期国債の買い戻し拡大を受けて金利が低下すると株価は下げ止まりましたが、上げ幅は小幅にとどまり、翌日には再び長期金利が上昇しています。市場が財政の構図そのものは変わらないと見ている表れとも受け取れます。
現在のSP500は企業業績だけでなく、10年債や30年債など米長期金利の動きに敏感な状態です。PER(株価収益率)の高いグロース株は金利上昇の影響を受けやすいため、株価が再び高値を目指すには、まず米国債市場が落ち着く必要があるとみられます。前回時点で意識していた8,000ポイント回復のシナリオが後ずれしたのは、消費以上にこの金利要因が効いたためです。
米消費の減速と景気後退リスクの評価
金利に続いてもう一つ、前回よりやや慎重に見ているのが個人消費です。
7月米小売売上高が弱かったことに加え、ウォルマートの米既存店売上高の伸びも鈍化し、決算発表後には株価が大きく下落しました。売上高・利益そのものは市場予想を上回り、通期の売上高・利益見通しも引き上げられています。それでも株価が売られたのは、次の四半期の売上見通しが市場予想に届かず、通期の利益見通しもコンセンサスと比べれば見劣りしたためです。数字自体が崩れたというより、先行きの伸びしろに対する期待が切り下がったと整理するのが実態に近いでしょう。
これまでの「消費は底堅く、企業業績を支える」という見方から、消費の減速が企業収益にどこまで波及するかを確認する局面に移りつつある、ということになります。SP500にとって理想的なのは、景気が大きく悪化せず、同時にインフレ圧力が和らいで長期金利も低下する組み合わせです。今後の経済指標も、強いか弱いかだけでなく、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策や米国債利回りにどう跳ね返るかという順路で確認したいです。
PCEとエヌビディア決算、8月26日が最大の山場
その「指標から金利へ、金利から株価へ」という道筋が最も凝縮されるのが、8月26日です。
米7月PCE(個人消費支出)価格指数やGDP(国内総生産)改定値などの経済指標に加え、米国市場終了後にはエヌビディアの決算が予定されています。
PCEでインフレの落ち着きが確認されれば、米長期金利の低下を通じてSP500には追い風となりそうです。反対に物価上昇への警戒が強まれば、金利上昇によってハイテク株や半導体株には売り圧力がかかる展開も想定されます。原油高がインフレ指標に波及しているかどうかも、あわせて確認しておきたい点です。
AI関連株の上昇をけん引してきたエヌビディアについては、単に好決算かどうかではなく、現在の高い株価水準を正当化できる成長率や業績見通しを示せるかが焦点になります。
27〜29日のジャクソンホール会議、28日のウォーシュFRB議長発言も、利上げの有無そのものより、発言を受けて米長期金利がどう反応するかを重視したいイベントです。
SP500テクニカル分析|7,600ポイント攻防が焦点

日足では、25日移動平均線が7,603ポイント、75日線が7,516ポイント、100日線が7,405ポイント付近です。株価はまだ主要な移動平均線を上回っていますが、25日線との距離はごくわずかで、支持帯の入り口で踏みとどまっている状態です。
一方、14日RSI(相対力指数)は54.9まで低下し、買われ過ぎ感は解消されました。ただしこれは、株価の調整によって過熱感が抜けた結果でもあります。
下方向では、チャート上の節目である7,627ポイントと25日線を含む7,600〜7,630ポイントが重要な支持帯です。ここを明確に割り込めば、75日線の7,516ポイント付近まで調整幅が広がる可能性があります。上値では、まず7,750〜7,800ポイントを回復できるかが焦点で、長期金利が落ち着きエヌビディア決算も市場期待を上回れば、予想レンジ上限の7,850ポイントを試す余地が出てきます。
SP500の視点とシナリオの組み立て方
筆者のメインシナリオは、SP500は中期的な上昇トレンドを維持するものの、今週はまず7,600ポイント台を守れるかを確認する展開です。予想レンジは前回の想定から引き下げ、7,500〜7,850ポイントとしています。8,000ポイントを急いで追うより、金利と企業業績の両面で再上昇の条件が整うかを見極める週、という位置づけです。
すでに買い持ちの方にとっては、7,600ポイント台の攻防が「維持するか、いったん軽くするか」の判断材料になりそうです。逆に売り持ちの方は、26日のPCEとエヌビディア決算という2つのイベントを同じ日に通過する点をどう見るかが分かれ目でしょう。いずれの立場でも、シナリオが崩れる水準をあらかじめ決めておけるかどうかが違いを生みます。上記はあくまで一つの見方ですので、ご自身の見立てに合わせて戦略を組み立ててみてください。
【あなたの見通しは?】
A.強気シナリオ:米長期金利が落ち着き、エヌビディア決算も期待を上回る。7,750〜7,850ポイントを試す
B.中立シナリオ:7,600〜7,630ポイントの支持帯を維持しながら、方向感の出にくいもみ合いが続く
C.弱気シナリオ:金利の高止まりが続き、7,600ポイントを割り込んで75日線の7,516ポイント付近まで調整する
今後の重要イベント
- 8月25日(火) 23:00 米国 8月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)
- 8月26日(水) 21:30 米国 7月個人所得、個人消費支出(PCE)、PCEデフレーター
- 8月26日(水) 21:30 米国 7月耐久財受注、4〜6月期GDP改定値
- 8月26日(水)米国市場終了後 エヌビディア決算(日本時間 8月27日(木)午前6時00分頃、決算会見)
- 8月27日(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
- 8月27日(木)〜29日(土) 米国 ジャクソンホール会議
- 8月28日(金) 23:00 米国 ウォーシュFRB議長発言
なかでも26日のPCEとエヌビディア決算、28日のウォーシュFRB議長発言は、米長期金利とAI関連株の双方を通じてSP500の方向を左右する可能性があり、特に注目したいイベントです。
※リアルタイムの価格はこちらから確認できます。
株価指数・商品CFDチャート|はじめてのFXなら外為どっとコム
外為どっとコムの「CFDネクスト」とは
CFD(CFDネクスト)について|はじめてのCFDなら外為どっとコム
関連レポート
- S&P500(SP500)見通し、8,000ポイント到達はウォルマート・ターゲット決算次第? 2026年8月14日
- S&P500(SP500)見通し、7,850を試せるか7,500まで押すか、雇用統計とCPIで方向感探る 2026年8月7日
- S&P500(SP500)見通し、7,250~7,600ポイント予想・景気強弱が利上げ/後退懸念に 2026年7月31日
小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
