
作成日時:2026年8月20日 11:20
予想期間:2026年8月20日〜8月27日
監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 小野直人
今後1週間の金(ゴールド)の予想レンジは4,280〜4,630ドル。急騰後の調整を挟みながらも4,350ドル前後を維持できれば、4,550ドル、その先の4,630ドルを試す展開を考えています。
ただ、4,500ドル台の回復を上昇再開とみるか、一時的な戻りとみるかで市場の見方は割れています。短期は米長期金利、中期は中央銀行や上場投資信託(ETF)の金需要が判断の軸です。ご自身がどちらの時間軸で見ているかを意識しながら読み進めていただければと思います。
今後1週間の予想レンジ:4,280〜4,630ドル
米長期金利と金価格の関係|国債買い戻し倍増で流れが一変
米財務省は19日、10〜30年の長期国債を対象とする買い戻し上限を、1回20億ドルから少なくとも40億ドルへ倍増すると発表しました。実施は9月9日から11月4日までです。
これを受けて米長期金利が急低下し、ドルも下落。金は4,330ドル台まで調整した後、前日の4,300ドル台から4,500ドル台へ急反発し、20日には一時4,525ドル台まで上昇しました。長期金利の上昇が金を押し下げてきた局面から、今度はその金利低下が金を押し戻す局面へと切り替わった格好です。
量的緩和とは異なる措置という点をどう見るか
ただし今回の措置は、米連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和(QE)とは性格が異なります。市場の流動性を改善する技術的な性格が強く、財政赤字など長期金利を押し上げてきた要因そのものを解消するものではありません。実際の買い戻しが始まるのも9月9日からで、現時点では発表による織り込みが先行している状態です。金利低下がどこまで持続するかは、まだ確認できていない段階といえます。
今週の金相場の注目材料|7月PCEと米長期金利の反応
このため26日の7月PCEデフレーターや米4〜6月期国内総生産(GDP)改定値では、結果そのものに加え、いったん低下した米長期金利がどのように反応するかが金相場のポイントになります。指標が強く出て金利が再び上昇するようであれば、今回の急反発の前提は揺らぐことになります。
また、27日からはジャクソンホール経済政策シンポジウムが始まります。5月に就任したウォーシュFRB議長にとっては、議長として初の講演です。足元のインフレ動向をどう評価し、今後の利上げ姿勢をどう示すかが注目されます。予想期間の最終日に開幕するため、主に翌週の金相場を左右する材料となりそうです。
中期の金相場を支える中央銀行の金購入とETF資金
時間軸を伸ばすと、需給面では支援材料が残っています。中央銀行による4〜6月期の金純購入量は289トンまで回復しました。上半期では345トンと近年よりペースは鈍いものの、WGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)の調査では、回答した中央銀行の45%が今後12カ月で金準備を増やす意向を示しています。
世界の金ETFも5月、6月の資金流出から、7月には30億ドルの純流入へ転じました。中央銀行による外貨準備の分散と、投資資金の回帰という金を支える構図は崩れていません。
3年連続上昇の金、年初始値4,331ドルが持つ意味
さらに、金の年間騰落率は2023年+12.85%、2024年+27.16%、2025年+64.53%と3年連続でプラスでした。今年も一時は年初始値4,331ドルまで上昇分をほぼ吐き出しましたが、そこから大きく反発しています。
3年続いたから今年も上昇するという単純な話ではありません。ただ、過去3年を支えた需給要因が大きく崩れていないのであれば、再び4,300ドル台まで調整する場面では、中長期の投資家が買い場を探し始める可能性があります。
金スポットテクニカル分析|200日移動平均線4,510ドルとRSIの過熱感

日足では75日移動平均線が4,272ドル付近、100日移動平均線が4,379ドル付近、200日移動平均線が4,510ドル付近です。14日RSIは76.6まで上昇しており、短期的には過熱感があります。
目先は200日線付近で値を固め、4,550ドルを突破できるかが焦点です。上抜ければ4,595ドル前後を経て、4,630ドルが次の上値候補になります。
一方、急騰の反動で下げた場合は、100日線に近い4,350〜4,380ドルが最初の支えです。ここを割り込めば、75日線4,272ドルに近い4,280ドルまで調整が広がる可能性があります。
金相場のシナリオの組み立て方
筆者のメインシナリオは、急騰後の調整を挟みながらも4,350ドル前後を維持し、4,550ドル、その先の4,630ドルを試す展開です。
上方向へ見方を修正する条件は、200日線の4,510ドル付近で値を固めたうえで4,550ドルを突破すること。この場合は4,595ドル前後を経て4,630ドルが視野に入ります。RSIが76.6と過熱感を残すなかでの突破となるため、いったん値を消化する時間が必要になる可能性もあります。
下方向へ修正する条件は、4,350ドルを維持できなくなることです。PCEの上振れなどで米長期金利が再び上昇に転じた場合、今回の反発の起点が失われるため、75日線に近い4,280ドルまで調整が広がる展開も想定しておきたいところです。
今回は4,350ドルを維持できれば4,550→4,630ドル、4,350ドルを失えば4,280ドルという組み立てで整理しています。これはあくまで一つの見方であり、金利低下の持続性を重く見るか、中期の需給を重く見るかで結論は変わります。ご自身の見立てに合わせて、戦略を組み立てていただければと思います。
【あなたの見通しは?】
- A.強気シナリオ:米長期金利の低下と中央銀行・ETF需要が効き、4,550ドル突破から4,630ドルを試す
- B.中立シナリオ:RSIの過熱感から4,350〜4,380ドルまで押し戻され、そこで下値を固める
- C.弱気シナリオ:財務省の措置は技術的なもので、長期金利の再上昇とともに4,280ドル方向へ
今後の重要イベント
- 8月20日(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
- 8月25日(火) 23:00 米国 8月消費者信頼感指数
- 8月26日(水) 21:30 米国 7月PCEデフレーター・4〜6月期GDP改定値
- 8月27日(木)〜29日(土) 米国 ジャクソンホール経済政策シンポジウム
関連レポート
- 金(ゴールド)週間見通し、金価格は反発、今回は何が違うのか 2026年8月13日
- 金(ゴールド)週間見通し、4,198ドル突破でトレンド転換なのか.. 2026年8月6日
- 金(ゴールド)週間見通し、4,198ドルの壁と米GDP・PCE 2026年7月30日
