
このレポートでは、メキシコペソとアメリカ経済や日本円との為替レートの動き、メキシコペソの見通し、そしてその影響を受ける可能性がある要因について詳しく解説します
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト 神田卓也
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ペソ堅調 対円では介入による下げ幅をほぼ回復
メキシコペソが堅調に推移している。ペソ/円は17日の東京市場で一時9.373円前後まで上昇し、7月末以降の一連の円買い介入による下げ幅をほぼ回復した。足元で日銀の早期利上げ観測が高まってはいるものの、メキシコの政策金利(6.50%)には到底及ばないことから、キャリートレードの勢いが鈍る様子はない。また、ペソは対ドルで先週14日に2024年6月以来のペソ高水準となる16.9ペソ台へ上昇。今月7日の米7月雇用統計以降、12日の米7月消費者物価指数(CPI)や14日の米7月小売売上高を経て連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測が後退したことでドル安・ペソ高に振れている。
懸案だったUSMCA見直しに楽観的な見方広がる
ペソが好調な理由はほかにもある。USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に対する楽観的な見方が広がった点だ。USMCAについては、今年7月に見直しの期限が到来したが、従来の協定のままの更新をトランプ米政権が拒否。離脱も辞さない姿勢をちらつかせてメキシコやカナダに譲歩を迫っている。しかし、ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターなど自動車メーカーを中心に、メキシコに進出中の米企業の多くがUSMCAの存続を求めていると報じられている。メキシコのエブラルド経済相は「米国が本当に離脱する気なら、とっくに通告してきているはずだ。つまり米国は離脱を望んでいない」との見解を示しており、先週13日には「粘り強く、忍耐強く、根気強い」姿勢で交渉に臨むと強調した。
ペソ円の上値ポイントは?
なお、ペソ/円がこのまま上昇基調を維持した場合、次の上値ポイントは7月末の円買い介入前に付けた年初来高値の9.400円前後であり、その次は2024年5月に付けた2008年12月以来の高値である9.455円前後となる。
メキシコペソ/円 週足チャート

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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年から外国為替市場に携わる為替アナリスト。証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社し、ドル/円スポット、資金(デポジット)、金利デリバティブなど国際金融商品の取引仲介業務を担当。2009年7月、外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・金融市場の調査・分析に従事。2011年12月より現職。
30年以上にわたる市場経験をもとに、個人FX投資家向けの相場解説・情報発信を行う。テレビ東京「Newsモーニングサテライト(モーサテ)」への出演をはじめ、NHK、日経CNBC、ストックボイスTV、ニッポン放送など、テレビ・ラジオ・新聞・WEBメディアへの出演・取材・コメント実績多数。

