本日の東京市場でドル円は、底堅さを崩さぬまま上値を試す展開となりそうだ。足もとでは、先月23日につけた年初来高値から為替介入でつけた安値まで下落した幅の半値戻しとなる159.61円をどこまで試せるかが焦点となる。
7日に弱い米雇用統計が伝わっても、先週は157円台半ばから159円台半ばまで水準を切り上げた。その後も弱い米経済指標や日銀利上げ観測などでも、158.60円付近を下値に見ながらドル買い・円売りが優勢な地合いが続いている。前述した半値水準を上抜くようだと、上値余地を探る動きが一段と強まるだろう。
8月3日の円買い介入以降、ドル円は円安推移が続いている。介入によって生じた市場の歪みが、逆に円安圧力を強めている構図だ。英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙も、日米協調介入で160円を割り込み、155円台まで押された後、投資家が連日で円売りポジションを積み増していると指摘。円キャリー取引の再拡大がドル円を再び159円台まで押し上げた背景にあると分析している。介入が市場の圧力にどこまで抗えるか、当局は改めて正念場を迎えている。
週末に発表された米指標もねじれた内容だった。7月小売売上高は前月比0.6%減と予想外に落ち込み、8月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)速報値も予想より弱く、9月の米連邦準備理事会(FRB)利上げ観測は後退した。一方、消費者態度指数の1年先期待インフレ率は4.3%へ上昇。景気減速とインフレ懸念が同時に進むねじれた構図は、FRBを板挟みにしており、ドル相場の綱引きに直結しやすい。
日銀については9月利上げの織り込みが進んでおり、元財務官が「政策金利を1.5-1.75%程度まで引き上げる可能性」に言及したことも報じられている。もっとも、高市政権がリフレ派の審議委員を指名するなど利上げに慎重な布陣を敷いているため、大幅な利上げは期待しにくいのも実情だ。今のところ、円買い材料としての力は乏しいというほかない。
このほか、ホルムズ海峡を巡る米国とイランの対立も緊張緩和には至っていない。米国は経済的圧力の強化や海上封鎖の長期継続を示唆する一方、イラン側との協議は進展を欠いている。原油高を通じたインフレ再燃への警戒も残り、ドル円は週明けも日米の金融政策や中東情勢をにらんだ綱引きが続きそうだ。
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
