
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野直人
執筆日時 2026年8月14日 10時00分
来週のユーロ円は181.50〜185.50円、ポンド円は212.00〜216.00円のレンジを予想します。方向感は出にくく、英CPIと日銀の利上げ観測が焦点です。判断を左右するのは、ユーロ円では電力価格の上昇を「インフレ材料」と捉えるか「景気の重し」と捉えるか、ポンド円では18日の英雇用統計と19日の英CPIがBoEをどこまで利上げ方向へ傾けるかです。そしてどちらにも、日銀の利上げ観測という共通の下押し要因がかかります。
予想レンジ:ユーロ円 181.50~185.50円
予想レンジ:ポンド円 212.00〜216.00円
今週のユーロ円・ポンド円まとめ
2026年8月10〜14日のユーロ円・ポンド円は、7月末の日米協調介入で進んだ円高の反動の流れが継続して、週前半に戻した後、高値圏でもみ合う展開となりました。10日は、中東情勢を巡る不透明感から原油価格と米金利が上昇し、円売りが強まったことで、ユーロ円は183円台後半、ポンド円は215円台まで上昇しました。特にポンド円は前週末の212円台から大きく水準を切り上げました。
その後はドル円が159円台で膠着したこともあり、ユーロ円は184円手前、ポンド円は215円前後を中心に方向感を欠きました。ポンドは13日に発表された英4〜6月期GDPが前期比0.4%増、6月単月も0.3%増と底堅さを示し、ポンド売りを抑えました。もっとも、両通貨とも前週の急落分をある程度取り戻した後は上値を伸ばし切れず、介入後の反発が一服する形となりました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
来週のユーロ円の見通し(2026年8月17日~8月21日)
ECBの利上げ観測はユーロの支え
2026年8月17〜21日のユーロ円は、ユーロの底堅さと日銀の利上げ観測が綱引きとなり、方向感の出にくい展開を予想します。ユーロ圏では、4〜6月期GDPが前期比0.4%増となったほか、8月のセンティックス投資家信頼感指数も0.9と4カ月連続で改善し、景気への過度な懸念は後退しています。
加えて、7月ユーロ圏HICPは前年比2.9%、コア2.5%、サービス3.3%となり、インフレの粘着性は残っています。さらに、熱波や干ばつによるフランス原発の出力低下や電力価格の上昇も新たなインフレ要因として意識され、ECBの9月追加利上げ観測を支えています。こうした景気の底堅さと利上げ期待は、ユーロの下支えとなりそうです。
ただし、電力価格の上昇が長期化すれば、企業や家計の負担を通じて景気を圧迫するため、インフレ上昇を単純なユーロ買い材料とは捉えにくくなります。一方、ユーロ円では日銀の9月利上げ観測や円買い介入への警戒も上値を抑えそうです。
ユーロ円テクニカル分析
日足では、7月末の急落で8月3日に179.37円まで下げた後、足元では183.80円台まで持ち直しています。ただし、現在値付近には200日移動平均線の183.96円が位置しており、まずはここを明確に上抜けられるかが焦点です。上抜ければ、25日線の184.54円(付近にはフィボナッチ61.8%ラインも位置します)、100日線の185.07円が次の抵抗となり、185円台前半〜185.50円では戻り売りが強まりやすいでしょう。
一方、下値ではフィボナッチ50%付近の183.40円前後が目先の支持です。ここを割り込むと、38.2%付近の182.40円台、さらに181円台が視野に入ります。RSIは50前後まで回復しており、急落後の売られ過ぎ感は解消しましたが、強い上昇モメンタムが出ているわけではありません。
したがって、テクニカル面では反発余地は残るものの、184.50〜185.10円付近では上値が重くなりやすいとみます。
【ユーロ円チャート 日足】

来週のポンド円の見通し(2026年8月17日〜8月21日)
CPI・失業率に対するBoEの反応に警戒
2026年8月17〜21日のポンド円は、英国景気の底堅さを背景にポンドが支えられる一方、雇用統計やCPIの結果次第で振れやすい展開を予想します。4〜6月期GDPは前期比0.4%増、6月単月も0.3%増となり、英国景気は想定ほど弱くありません。景気が持ちこたえていることは、BoEが追加利上げを検討する余地を残すため、ポンドにはプラス材料です。
ただ、労働市場はGDPほど強くありません。18日の雇用統計で失業率の上昇や賃金鈍化が続けば、BoEは景気への配慮を強める可能性があります。一方、19日のCPI、とくにサービス価格が再加速すれば、追加利上げ観測が強まり、ポンドを押し上げそうです。来週は、「景気は底堅いが雇用は弱い」という状況の中で、インフレがBoEをどこまで利上げ方向へ傾けるかが焦点です。
ただし、ポンド円では日銀の9月利上げ観測も上値を抑えやすく、英国指標が強くても一方向に上昇する展開にはなりにくいとみています。
ポンド円テクニカル分析
日足では、7月末の急落で209.55円まで下げた後、足元では215円台まで大きく値を戻しています。現在値は100日移動平均線の214.59円を上回っており、急落後の戻り基調は維持されています。一方、上方には25日移動平均線の216.04円が控えており、215円台後半〜216.00円は戻り売りが出やすいゾーンになりそうです。
下値では、まず100日線の214.59円を維持できるかがポイントです。ここを割り込むと戻りの勢いが鈍り、213円台を経て、200日移動平均線の212.21円が次の重要な支持として意識されます。212円付近は今回の予想レンジ下限とも重なり、下値の目安として妥当でしょう。
RSIは50前後まで回復しており、急落時の売られ過ぎは解消した一方、上昇モメンタムが強まっているわけでもありません。したがって、テクニカル面では100日線を支えに底堅さを保ちつつも、25日線が上値を抑える形を想定します。基本線は212.00〜216.00円のレンジ内でもみ合う展開とみます。
【ポンド円チャート 日足】

重要イベント・経済指標(2026年8月17日〜8月21日)
- 8月17日(月)
- 08:50 日本 4-6月期四半期実質国内総生産(GDP、速報値)
- 21:30 アメリカ 8月ニューヨーク連銀製造業景気指数
- 23:00 アメリカ 8月NAHB住宅市場指数
- 8月18日(火)
- 15:00 イギリス 6月失業率(ILO方式)
- 18:00 ユーロ 8月ZEW景況感調査
- 21:30 アメリカ 7月輸入物価指数
- 21:30 アメリカ 7月住宅着工件数
- 21:30 アメリカ 7月建設許可件数
- 8月19日(水)
- 15:00 イギリス 7月消費者物価指数(CPI)
- 18:00 ユーロ 7月消費者物価指数(HICP、改定値)
- 27:00 アメリカ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
- 8月20日(木)
- 08:50 日本 7月貿易統計(通関ベース、季調前)
- 18:00 ユーロ 6月建設支出
- 21:30 アメリカ 新規失業保険申請件数
- 23:00 アメリカ 7月景気先行指標総合指数
- 8月21日(金)
- 08:30 日本 7月全国消費者物価指数(CPI)
- 15:00 イギリス 7月小売売上高
- 17:00 ユーロ 8月製造業/サービス業購買担当者景気指数(PMI、速報値)
- 17:30 イギリス 8月製造業/サービス業購買担当者景気指数(PMI、速報値)
- 22:45 アメリカ 8月製造業/サービス業購買担当者景気指数(PMI、速報値)
- 23:00 ユーロ 8月消費者信頼感(速報値)
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小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
