LBMA(ロンドン地金市場協会)の年間相場予想ゴールド部門で、日本人として初めて世界1位を獲得した池水雄一氏。金市場の第一人者として知られる池水氏は、外為どっとコムの口座を利用し、トルコリラを中心としたスワップ投資も実践しています。
本記事では、池水氏がトルコリラを選んだ理由、スイスフラン/トルコリラに注目する背景、そして長期運用で重視している投資手法とリスクについて紹介します。
池水雄一氏の「スワップ投資の魅力」解説動画
池水雄一氏がトルコリラのスワップ投資を始めた理由
池水氏がトルコリラに注目したきっかけは、その高い政策金利でした。
「政策金利37%。これは損しないんじゃないかな、と思ったのが最初のきっかけです」(政策金利は取材時点の水準)
複数のFX会社を比較した結果、当時スワップポイントが最も高かった外為どっとコムを選択。2024年12月頃から、トルコリラ/円とメキシコペソ/円の2通貨ペアで運用を始めました。
目的は、為替差益を狙った短期売買ではありません。
「売り買いのポジションで儲けようという気は全くなくて、本当にある意味、外貨預金のつもりです」
高金利通貨を長期保有し、スワップポイントを積み上げていく運用が基本方針です。
池水氏が注目する通貨ペア「スイスフラン/トルコリラ」の売り
ゼロ金利のスイスフランと高金利のトルコリラ
外為どっとコムが2025年4月末に取り扱いを開始したスイスフラン/トルコリラにも、池水氏は注目しています。
「ゼロ金利のスイスフランと、37%のトルコリラ。これは最強の組み合わせだなと思っていました。ただ、提供している会社がそんなに多くないんですよね」
低金利通貨を売り、高金利通貨を買うことで金利差から生じるスワップポイントを狙う、いわゆるキャリートレードの考え方を活かせる通貨ペアです。
「売り」から入ることへの心理的ハードル
スイスフラン/トルコリラでスワップポイントを受け取るには、売り(ショート)ポジションを保有する必要があります。
池水氏は、売りから取引を始めることに抵抗を感じる投資家は少なくないと指摘します。
「人間は基本的にショートには恐怖感がありますよね。持っていないものを売るというイメージは、普通の人にはなかなか難しい。株で言えば信用取引ですから」
買いから入るほうが自然に感じられる——こうした心理的な傾向を自覚しておくことも、高スワップ通貨を運用するうえでは重要になります。
トルコリラのスワップ投資で池水氏が重視する3つのポイント
1.一度に資金を投入しない
池水氏は「全軍投入・全軍撤退」を避け、価格が下落した局面で段階的にポジションを積み増していく方法を取っています。ドルコスト平均法に近い考え方で、エントリーを分割することで平均取得単価を抑える狙いがあります。長期的に下落傾向が続いてきたトルコリラ/円では、一度に資金を投入しないことがリスク管理につながります。
2.スワップポイントを再投資する
受け取ったスワップポイントを追加ポジションの購入に回し、再投資することも池水氏の運用方法の一つです。インカム収益を再び運用に回すことで、長期的な複利効果を狙います。
3.短期的な利益確定を繰り返さない
池水氏が自身の経験として挙げたのが、メキシコペソ/円の利益確定です。
「すごく上がったので、一旦利食ってまた下がったら買おうかと。そうしたら下がらないんですね。そこから一方的に上がっていった」
短期的な値上がりを理由に利益を確定した結果、その後の上昇局面を逃したと振り返ります。
「株もゴールドも同じですが、短期でキャピタルゲインを取るのは、結局最終的に後悔することが多い。一番儲かる人は長期で持っている人だと思います」
100社以上に投資している株式運用でも、結果的にリターンが大きくなったのは長期間保有し続けた銘柄だといいます。
スワップ投資はいつ利益確定すべきか
ゴールドを一度も売却したことがないという池水氏は、資産を売却するタイミングについて次のように説明します。
「お金が必要な時に売ればいい。家を買うとか、子どもが大学に行くとか。そういう時にこそ有効に使えばいいじゃないですか」
一方で、含み益が増えるほど利益確定への誘惑も強くなります。
「利食いの誘惑はすごく強い。今売ればこれだけ儲かる、と。ただ、それを取りたいだけのために売るのはやめた方がいいと思います。利食ったら、そこでゲームオーバーなんですよ」
長期運用を前提とするなら、短期的な値上がりだけを理由に売却するのではなく、資金を必要とするタイミングまで保有し続けるという考え方です。
トルコリラのスワップ投資で注意したい4つのリスク
高金利通貨のスワップ投資には、高いスワップポイントを期待できる一方で、次のようなリスクがあります。
●為替変動リスク
高金利通貨は中長期的に下落する場合があり、為替差損が受け取ったスワップポイントを上回る可能性があります。
●スワップポイントの変動リスク
スワップポイントは固定ではありません。政策金利の変更などによって受取額が変動し、大きく低下する場合もあります。
●レバレッジ・証拠金リスク
保有するポジションが大きすぎると、相場下落による含み損の拡大でロスカットに至る可能性があります。十分な証拠金余力を確保したうえでの運用が必要です。
●通貨ペアの取り扱い状況
スイスフラン/トルコリラのように、取り扱うFX会社が限られている通貨ペアもあります。池水氏が重視する「一度に資金を投入しない」「長期保有を前提とする」という運用方法は、こうしたリスクを踏まえた考え方でもあります。
まとめ|トルコリラのスワップ投資で重要な3つの考え方
池水雄一氏は、トルコリラの高い金利水準に注目し、外為どっとコムの口座でスワップ投資を実践しています。
特に注目しているのが、低金利のスイスフランを売り、高金利のトルコリラを買う形となるスイスフラン/トルコリラです。
運用で重視しているポイントは、以下の3点です。
・一度に資金を投入せず、分割してエントリーする
・受け取ったスワップポイントを再投資する
・短期的な値上がりだけを理由に利益確定しない
短期的な為替差益を追うのではなく、金利差から得られる収益を長期にわたって積み上げていく。これが、池水氏のスワップ投資に対する基本的な考え方です。
<店頭FX(外国為替保証金取引)における新興国通貨取引のリスクについて>
当社取扱通貨のうち、いわゆる新興国通貨に分類されるトルコリラはインターバンク(銀行間為替市場)における流動性が主要国通貨に比べ相対的に低く、経済指標発表のみならず金融政策変更やその他政治的要因、さらには地政学的リスク等の要因による突発的な相場急変動が起こりやすい環境下にございます。
また、こうした急変動時には実勢インターバンクレートのスプレッド(BidとAskの差)も平常時に比べ大幅に拡大する傾向にあり、その場合には当社でもやむなく提示スプレッドを一時的に拡大することがございます。あわせて、相場状況により「ダイレクトカバーの対象となる注文」の基準Lot数(最低数量)を一時的に変更する場合がございますので、あらかじめご承知おきくださいますようお願いいたします。
これら新興国通貨のお取引、およびこれらを対象とするキャンペーンへのご参加に際しては、以上につきあらかじめご留意のうえ、ポジション保有時、特に法人会員様の高レバレッジ取引における口座管理には十分ご注意くださいますようお願い申し上げます。
以上の新興国通貨それぞれのリスク、および直近時点でのリスクレポートにつきましては、こちらのページをご参照願います。
新興国通貨共通のリスクについて
https://www.gaitame.com/beginner/swap-trade/emerging-risk.html
<新興国通貨が高金利である理由について>
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。
<スワップポイント(金利差調整分)について>
通貨ペアを構成する通貨のうち、相対的に高金利の通貨を売った場合、または相対的に低金利の通貨を買った場合には、その取引数量相当のスワップポイント(通貨ペアを構成する両通貨の金利差の調整額)の支払い額が日々蓄積され、時間の経過に比例して損失額が大きくなりますのでご注意ください。また、現時点でスワップポイントを受け取れるポジションであっても、将来にわたって通貨ペアを構成する両通貨の金利差が縮小または逆転した場合には、その受け取り金額が縮小したり、反対に支払いへと転ずる可能性がございます。
1962年生まれ兵庫県出身。1986年上智大学外国語学部英語学科卒業後、住友商事株式会社入社、その後1990年クレディ・スイス銀行、1992年より三井物産株式会社で貴金属チームリーダーを務める。2006年よりスタンダードバンク東京支店副支店長、2009年に同東京支店で支店長に就任。2019年9月より日本貴金属マーケット協会(JBMA)代表理事に就任。一貫して貴金属ディーリングに従事し、世界各国のブリオン(貴金属)ディーラーでブルース(池水氏のディーラー名)の名を知らない人はいない。

